時間もお金も、芋粥も
ああ、もっと長い休みが取れたらな
海外旅行とか行くのにな
もっと時間があったら
あれもこれもするのに
あーあ
もっといい職場だったらな
いや、いっそのこと
違う時代に生まれてたら
お金持ちだったら
美人だったら
生き方違ってたんじゃないかな
あの人はいいな
人生イージーモードで
欲しいものみんな持ってて
わたしってなんか
いつも貧乏くじひいて
いっつも損してる気がする
なんでわたしだけ
わたしばっかり
こんななんだろ
…
とか、言いがちですよね。
言わないまでも、思いがち。
今、家が散らかってて
朝から碌なもん食べてなくて
なんか全部面倒くさくて
なんにもやる気が起きない
不満はあるけど
変える気力がない
その辺のこと、なんとなく
人のせいってことにしときたい。
ううん、違うの、今は仕事が忙しいから
ほら、うちの職場アレだからって
言っておきたい。
ただ、芥川龍之介も言ってるけど
ああ、好物の芋粥、こんなぽっちりだけじゃなくて、飽きるくらい、お腹いっぱい食べられたらなぁって妄想してる内がいちばん幸せってことも、ある気がします。
おいしい芋粥も
時間もお金も美貌も
結局、たくさんあっても余るだけ。
今、何も行動できない人は
時間がたくさん出来たって
たぶん、自ら前に進めない。
ああ、もっと時間があったら遠出するのにな、週に5日、1日8時間って絶対働きすぎ、わたしたちって資本主義の奴隷、とか文句言いつつ、散らかった、でも好きなもので溢れた暖かい部屋でダラダラしながら夫と撮り溜めたドラマを順に見たりするのは結構、無上の幸せなんじゃないかと思う日曜日です。
余談ですが「芋粥」の主人公、五位は、藤原基経に仕えるだらしのない格好をした40歳過ぎの侍、なんですね。
40歳過ぎの、侍。
40歳過ぎ。
高校生の頃に初めて芋粥を読んだときは、五位って自分から遠い存在の、なんか小汚いおじさんって位置付けだったけど、いつの間にか五位、同年代になってました。
五位、今なら友だちになれそう。
たぶん、結構気が合うと思う。