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性格が暗くて何が悪い
華の大学生の頃、知り合いの男子高校生に
「チビロさんって暗いですよね!」
と朗らかな口調で言われたことがあります。
暗いって。
当時はわたしなりに、金髪にしてみたり渋谷に繰り出してみたりするなどして精一杯キャピキャピしていたし、
「暗い」なんて、思っていてもなかなか面と向かって言いにくい悪口めいた指摘を受けて大いにたじろいだものです。
幼少期から「落ち着いている」と言われることは多かったし、
その男子高校生は普段からアホそうだったので、ああ語彙力の問題なのかなと思っていましたが、
わたし、暗いのかもしれません。
(20年越しの気付き)
考えてみたら、
煌々と陽のあたる場所より薄闇くらいのほうが好きだし
小説は、主人公が沈着冷静であるほど読みやすい。
みんなの人気者より、端っこのほうで1人でなんかしてる奴に興味を惹かれたものだし、ほとんど誰にも聞こえないような声量でこそっと面白いことを言う夫に惹かれて結婚したのだし。
ONE PIECEのルフィより笑ゥせぇるすまんの喪黒福造が好きな時点で気付くべきでした。
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みんなでワイワイガヤガヤすることが憚られる昨今、性格の暗さは長所にすらなりつつあると思っています。
「暗い」というのがどのような状態を示すかにもよりますが、
ネガティブで後ろ向きな発想は慎重さに繋がり「危機管理能力に長けている」とも言えるわけで
内向的だからこそ、生涯の友というべき幾多の本にも出会えたわけです。
1人を好むという意味では、飲み会なんて死ぬまで無くても何も困らないし
夫以外の人に「会えなくて寂しい」という感情も湧き起こりません。
ソーシャルディスタンス、最高。
(今はフィジカルディスタンスと言うそう)
こちとら元々ディスタンス保ちたかったのに、ぐいぐい食い込むことが是とされる世界で苦労してきたんじゃワレ。
そんな性格でなぜか営業職に就いていたころ、
「挨拶の声が小さい」
と注意を受けたことがあります。
売れっ子の先輩は、相手が会議中でも朝礼中でもいつも元気いっぱいに挨拶するのに、チビロは目礼に毛が生えた程度の挨拶しかしないと。
え?え??
相手が話し合ってるときに大声で挨拶したらご迷惑なのでは?
小声にするのはごく当たり前の気遣いでは?
でも当時は営業たるもの、相手の状況を鑑みることなくどんどんおすすめすることがよしとされていたのであり、
実際その元気な先輩の売上成績はとてもよかったわけで
義は先輩にあり!な状態だったのです。
わたしは、今の世のほうが生きやすい。
性格が暗くても叱られることなく、自分の良さを活かせて落ち着けるスペースがあるって幸せだなと思います。