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宗教について

 20年近く前だろうか、友だちに悩み事(内容は忘れた)を相談したら「けいこさんに良いところがあるから一緒に行きましょう!」と言われた。この時点で怪しいと思うひとも少なくないのかもしれない。だけど弱っていて、悪い意味で世間知らずのわたしは何も疑わずについていった。連れて行かれた先は大きなマンションの一室。表札も何も出ていない。中は普通のマンションの部屋で、けれども白い祭壇? のようなものがあった。40代くらいの女性が隣の小さな部屋へわたしを招き入れ、手かざしをはじめた。どうやら霊視をしているらしい。そのあと何を言われたのかは覚えていないが、経典や護符を見せられて勧められた。さすがにわたしも「これはヤバいやつだ」と気付き、なんとか穏便に部屋を辞して(しつこくなくて本当に良かった)、二度と訪れることはなかった。その友だちとも会っていない。彼女と最初にどこで出会ったのかも、名前も顔も覚えていない。
 そんなことがあったけれど、でも実はわたしは自分にも信じる宗教があったらいいのにとよく考える。教義もよく知らないくせに、クリスチャンの友だちをうらやましく思ったりもする。だって神さまを、神さまじゃなくても何かを、信じることができるのって生きる上での強さ、心の支えになる。自分軸がぶれぶれだから他人に左右されてばかりで、ちょっとしたことでもすぐに落ち込んでしまう性格はもう直らないから、拠り所がほしいのだ。生きる指針のようなものが。
 幸か不幸か、昔からお金に余裕があったことがないので、お金のかかる宗教にはひっかかりようがないのだが(まあ、人によっては消費者金融を利用してでも宗教のために献金しようとするんだろうけど)、もし本当に自分が心の底から信じることができる宗教が見つかったら入信するかもしれない。こんなことを言っていると、新興宗教にハマりやしないかと周囲から心配されたりするのだが、「心底から信じられる」ものなんて見つかりっこないと思うので大丈夫。一生、これを探し続ける旅になるだろう。

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