価値観を知るのは難しい〜失敗しない人生設計のために
私はわりと健康オタクだ。
子育て期間中は食生活を子供に合わせていたが、子供が独立した今は自由!なので、良さそうと思った事はとりあえず試す、といった生活をしている。
先日『最高の体調』鈴木祐 著 を読んだ。
私はいつも『最高の体調』になりたいと思っているので、この題名に引き寄せられてしまった。
様々な角度から体の不調の原因を科学的根拠に基づいて解説しており、とても興味深い本だった。
その中で私にとって意外だったアプローチが『価値』である。
価値観と体調
ご夫婦で『価値観』を擦り合わせて欲しい。
どっちに向かっているのか、お互いに確認するべきだ。
そのように言ってきた。
私はこの『価値観』という言葉を簡単に考えすぎていたと気付かされた。
この本では『価値』『価値観』が重要な要素になっている。
『人生の価値観を強く持つ』ことで、『ぼんやりとした将来への不安が減る』というのである。
本書では、『ぼんやりとした不安』を『現代的な不安」、『はっきりとした不安』を『原始的な不安」と位置付けている。
現代人の『ぼんやりとした未来への不安』は、文明病の一つであるという。
要するに、原始人にとっては『不安』は危険を知らせる『アラーム』だったが、現代人はいつも『将来になんとなく不安』を感じているせいで『アラーム』が誤作動して脳内で鳴り続けてしまっているということらしい。
私は今まで価値観と体調を結びつけたことがなかった。
価値観は心の問題、体調は健康問題。
ストレスが健康に与える影響は数々指摘されている。
確かに関連性はある。
本書には自分の価値観を探るための方法が紹介されている。
(価値評定スケール、パーソナルプロジェクト分析)
これらはうつ病や不安障害などの治療のため、臨床現場で使われているそうだ。
試しにやってみたがこれが意外と大変。
範囲が多岐にわたって項目が多い。
自分を知ることは骨が折れる作業である。
無意識の自分。
それが体調に影響を与えるとは。。。
私はいい歳なので自分のことはわかっているつもりであった。
だが、全てを言語化することは大変なことだという事を思い知った。
『絶対的な価値』と『相対的な価値』
本書の中で『価値の定義』を次のように紹介している。
だそうである。
『価値』というものは『各々の心の中にあるもの』ということのようだ。
自分自身の『絶対的な価値』と言える。
でも私たちが普段よく使う『価値』という言葉は、少し意味合いが違う。
家の価値、車の価値、宝石の価値。
『価値があるもの=高価なもの』について、『価値』と言う言葉を使う。
その場合は比較する対象がある。
例えば、石とダイヤモンドを比較して「ダイヤの方が価値がある」という使い方だ。
つまり『相対的な価値』だ。
広い家に住みたい
高い車に乗りたい
海外旅行に行きたい
私たちはこういうのを価値観と勘違いしがちだ。
これらはただの希望・目標だろう。
友達が家を買って招待してくれた。
羨ましい。
自分も無理をしてでも家を買って自慢したい。
これは自分の『心の底から思う自分の生き方』ではない。
人と比較して「負けたくない」という気持ちから来ている。
『相対的な価値』だ。
こういう生き方をすると、本当の自分の価値観とズレが生じて『不安』が生まれるらしい。
本書によると、『未来との心理的距離が近い者ほど不安に強く、セルフコントロール能力も高い』そうだ。
そのためには『未来を今に近づける』という戦略を使う。
家を買った友達と賃貸の自分。
それは今現在、たった今だけの状態。
そこで未来を今に近づけて、
「自分は将来、心の底から理想的と思える、素晴らしい家を建てる」という未来の自分の姿にリアリティを持って(本気でそう思って)未来を今に近づけられれば、そもそも「羨ましい」という感情は起きないかもしれない。
価値は自分の中にある。
人それぞれ違う。
『絶対的な価値』を一人一人が持っている。
新築の家は新しいというだけで気持ちが良い。
でもどんな家もパーフェクトはありえない。
友達にとっては『完璧な我が家』でも、招待された自分にとってはいろいろツッコミどころがあったりするかも。
だから、「自慢された!」なんて思うんじゃなく、「ここは良いかも」「これはないな」など将来の自分の理想の家づくりの参考にさせてもらうという視点に立てば、ありがたい経験となるのではないだろうか。
そして自分の『価値観』にあった未来をリアルに考えて計画を立てる。
家を買うということ
『価値観』を知るのは難しいし、将来変わることだってあるだろう。
最も大事なことは、他人の価値観に振り回されて自分の人生を見失わないことではないだろうか。
友達の持っていたブランドバックが羨ましくて、自分も高額なバック買ってしまったとしても、その出費は一度きりで終わる。(お勧めはしないけど)
ところが家の場合は、家計に与えるダメージが桁違いだ。
下手すればローン期間35年、会社員生活の大半を返済に充ててしまうことになる。
家を買うことは自慢になるらしいが、そういう『世間の価値観』から一段上に上がってそのゲームから降りてしまえば、別に大したことではないことに気付くのではないか。
『賃貸は掛け捨てだけど、家を買ったら自分の資産になる』という人がいるが、これは後に『かもしれない』という言葉をつけないと大嘘になる。
家を買うということは、すべてのリスクとコストを自分で持つということだ。
日本では家屋の価値が低く設定されており、木造は22年で価値がゼロになる。
中古で売ろうとしたら、地価が上がっていなければ損をする。
運よく安く買って高く売れた人は存在するが、自分がそうなるかどうかは神のみぞ知る、いわばギャンブルと一緒だ。
家を買ったら、『資産になるかもしれないし、負債になるかもしれない』
どっちに転ぶかは社会情勢にもよるし、誰にもわからない。
人に自慢するためではなく、自分自身がその家が大好きで住んでいるだけで幸せなら、その家は自分にとって『絶対的な価値』がある。
そんな家は焦って見つけられるものではない。
時間をかけてじっくり計画を立てて準備ができた時に、きっと出会えるだろう。
それなら市場価格が上がっても下がっても関係ない。
自分にとっては『最高の価値』のあるものだから。
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