✨詩✨夜の夢
待っていた
小さな約束を集めて
ずっと待っていた
言葉は頼りなく
編み出した想いに揺さぶられ
どきどきした心で
どぎまぎしながら
待っていた あなたを
あの日のわたしも
あの日のあなたも
もういない黄昏る秋
若葉燃ゆる遠いあの日を
抱きしめる 夜の夢
まぼろしさえ
遠く消えて
見えなくなった日々
失われた時間を
寂しさが離さない
なにもかも消えたというのに
秋薔薇は香る
零れてゆく花びらが
燻んだ薔薇色が
再び
息を吹き返す夜
取り戻したいあの日と
生きていた記憶
このままずっと
夜の夢を見ていたい
奪われまいと
朝を押し留めても
朝が‥‥
乳白色の曇り空を
密やかに染めて
今日を開いてゆく
空に
薄紅色を滲ませながら
果たされなかった約束達を
悼むかのように