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第8話 青春の1ページ
放課後は帰宅部の綸音と瑠愛子に加え、今日は部活がなかった唯花と舞美の4人で帰宅していた。
「ーーーでさ、シャカシャカしてたら袋が破れてチキンが落ちちゃったの!あたしの大好物にホコリがついちゃって、泣きながらホコリ落としたよ…(泣)」
「うわぁお…それは心中お察しだわ」
昨日夕食に起こった舞美のエピソードに唯花は心中をお察しする。
「チキンも食べられる準備ができてなかったんだろうね」
という綸音の考え方には
「なるほど!?そういう考えもあるわな」
と、舞美もポジティブになる。しばらく4人で歩いていると、瑠愛子が
「そいえば今日は2人とも部活なかったんだね」
と言った。それに対して舞美は、
「そそ!今日は美術部の顧問が休みだったからね☆本来なら今ごろ部活やってたんだよ?」
そして唯花は、
「うちは普通に休みだった」
それを聞いた瑠愛子は、
「はえ〜吹部(吹奏楽部)は忙しいイメージだけど、ちゃんと休みはあるんだね!」
「うーん、でもこんなの滅多にないよ!?
水曜日は職員会議の都合で定休日だけど、今日はイレギュラーだっただけ」
「たしかに今日は月曜日だもんね!」
唯花の話に舞美も頷く。
唯花は吹奏楽部、咲南花はバドミントン部、
舞美は美術部、綸音は帰宅部、
瑠愛子は外部のスポーツクラブ、
花音譜は料理部と放送部の兼部をしている。
ちなみに綸音はれいどろ以外にも曲を提供したり、他の活動者さんと作詞作曲のコラボをしたりしている。
瑠愛子は“スポーツクラブ”とはいっても、テニス、バド、バスケやバレーをはじめとした球技や
新体操、水泳などをすることもあるらしい。そのため瑠愛子は、ほとんどのスポーツが得意だ。
花音譜の所属する放送部は部員が少ないため廃部の危機らしく、いつも忙しそうに活動をしている。部員が少ない割に集会や行事の時は必ず仕事があるため来年度はたくさん後輩がほしいと言っていた。
「それにしても咲南花は大変そうだよね〜
今度地区大会があるらしいし。」
唐突に瑠愛子は呟く。
「え、その大会っていつ!?」
「んー、たぶん3月のどこかじゃない?
前に聞いた話だと16日とかって言ってたよ」
「うわ…定演と被ってる」
「定演って定期演奏会のこと?」
「そうそう、前に話したと思うけど卒業した3年生の先輩と一緒に演奏できる最後の日なんだ!」
と、楽しそうに語る唯花を見て
「ふーん…そういう話を聞いてると部活って楽しそうだよね〜」
「そうだね。青春って感じがする」
瑠愛子と綸音は楽しそうな部活について想像していた。
「練習はハードだし先輩や同級生は怖いけど、部活自体は楽しいよ!」
「たしか、前に1年生同士で揉めて不登校になった子がいるって言ってたよね?吹部って闇深いね…」
舞美は以前に唯花から部活の話を聞いていたので、吹部の闇深さについては知っていた。同じクラスにも吹部の人はいるので、瑠愛子たちも吹部のもめごとについては知っているようだった。
「ふふっ(笑)
でもどこの部活もそんなものじゃない?」
「さあ?美術部は先生がほわほわしてるから、部員もつられてふわふわしてるよ?」
「まあうちのスポーツクラブのそんな感じだけどね☆」
「やっぱ放課後は楽しいことをするに限るよね!!!」
という舞美の発言に、瑠愛子や綸音は賛同する。
「…………」
そうだよね。みんなにとっての“楽しいこと”は現実(リアル)ですることなんだよね────────。