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第14話 乗り越えた過去


それは、私が中学1年生の時。

「…そんなことが、あったんだね」

私は咲南花から部活であったことを聞いた。

「………“ロボット”って言われるだけで、すごく胸がぎゅーってなる。苦しくてたまらない。消えたくなる」

「私も、“優等生”って単語を聞くだけで耳を塞ぎたくなる。
早くここから消えたいって思ったり、とにかく自分を傷つけたかったりする。」

「唯花の方が大変だったんだよな」

「他人の不幸は天秤でははかれないよ。咲南花だって辛かったから、こうやって今話してるんでしょう?」

そう言って、私は改めて咲南花と向き直る。

「私は咲南花たちがそばにいてくれてるから、それだけで安心するよ。」

「それは俺も。唯花が転校してから2年間、ずっと1人で寂しかった」

「咲南花には舞美たちがいたじゃん(笑)」

「舞美たちの前では“完璧”を求められてる気がして、どうしても心が許せなくて。」

「あー、たしかにそういうのはあるかも!
私も咲南花といる時が1番落ち着くもん!!」

ふと何時か気になって時計を見る。気づけば午後5時を回っていた。ここに来た時は午後4時くらいだったのに。

「もう5時!?早いね!
早く帰らないと2人とも親に怒られちゃうね(笑)」

「そうだな。これからも、何かあったらここで話そうな」

「もっちろん!」

そうして2人は解散した。やはり咲南花は、他の人と違って何でも話せる。
そう改めて実感した。

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