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第16話 楽しかった過去


ある日の夜中、舞美は寝付けなかったので作業することにした。1人で作業をするのに飽きたころ、何となくれいどろのグループ通話に入ってみた。

(さすがに誰もいないよね…)

誰かが来てくれるといいななんて思いながら依頼絵を完成させていた。
あまりにも誰も来ないため、そろそろ通話を抜けようとした時

『……あ、お疲れ様』

『あっ!!るあ姉だ!!お疲れ様〜』

『私もいるわよ』

『はのもお疲れ様〜!!』

『2人ともよくこんな遅くまで起きてるね』

『あたしは眠れなかったから作業してたんだ☆
るあ姉こそ、こんな時間まで起きてることって滅多にないよね?』

『お姉ちゃんたちとちょっとケンカしちゃったから。昔は全員仲が良くて、遥菜お姉ちゃんが第2のお母さんみたいな感じだったんだよ?
お母さんより優しかったからたくさん甘えてたんだけど……』

『大人になるってそういうことなのかしらね』

『そういうこと……って、どういうこと?』

『ええ、身近にいる人ほど大人になるにつれて距離ができてしまうものなのよ。私のところもそうよ。』

『ええ、身近にいる人ほど大人になるにつれて距離ができてしまうものなのよ。私のところもそうよ。』

『そっかぁ……いつまでも仲のいい兄弟って珍しいのかな…??』

『舞美のところは…………あ、ごめん』

『ふふっ(笑)あたしは大丈夫だよ?』

『今日は満天の星空だね』

『そうだねっ!!
あっ、ねえねえ聞いて!満天の星空で思い出したんだけど……!』



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これは舞美が小学生のころ。家族3人で満天の星空を見に行っていた。

「わああ!きれいなお星様!」

「ここが父さんと母さんが出会った場所なんだよ。舞美にも見せたいと思って連れてきたんだ」

「それと、この時期は特に星が綺麗なんだ。今日は満月だから余計に映えるな」

「あたしもこのお星様みたいに、きれいで美しく輝きたいっ!!」

「はは(笑)やっぱり親子なんだな」

そう言って笑う父の意味がわからなくて、舞美は首を傾げる。

「ええ、そうね。昔の私もそんなことを言っていた気がするもの。」

恥ずかしげに微笑む母の姿がより美しく見えた。

「お星様のきれいさには感動してしまうわね」

「だよね!!すっごくきれい………ねえねえ、明日もここに来れる?」

「明日…?別に行けないことはないぞ」

「ほんと!?!?なら、あたし毎日ここに行きたいっ!!!」

「毎日はきついかもなぁ…(笑)」

「ふふっ…(笑)また機会があったら行こうね」

この日は舞美にとって、とても美しく楽しかった思い出のひとつである。

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