今米国への投資は良いのか?
日本時間で、2022年10月7日21時30分に米雇用統計が公表されました。結果は市場予想通り非農業部門雇用者数は減少しました。
米雇用統計の結果
非農業部門雇用者数 9月 26.3万人増 (8月 31.5万人増)
失業率 9月 3.70% (8月 3.50%)
雇用統計は以上のようになっていますが、中には、この公表された雇用統計の数値は正しいものと認識されていると思います。
しかし、実際にはこの雇用統計の数値は速報値であり後から改定値が公表されます。
株式市場では速報値が重視されますので、速報値の数値しか見ない方もいると思いますが、改定値の数値も並べて示してみたいと思います。
非農業部門雇用者数の推移
今年を見てみると速報値よりも改定値では人数が増加していることがほとんどです。速報値ベースでは市場予想を下回った場合でも改定値では上回っていることもあり、速報値だけを基にして判断するよりは改定値も見てからの方が良いように思います。
FRBは、インフレ抑制を積極的に行っていますが、今のところうまくいっていません。当然できればソフトランディング(景気をできるだけ壊さずにインフレを抑える)となればよいですが、FRBの予想に反してインフレが長引いていることなどを考えるとそう簡単にはいかないと思います。
失業率の推移
これは失業率ですが、米国では4%を下回ると完全雇用状態と言われており現在はその状態になっています。
現在の米国のインフレの原因の1つが、完全雇用状態になっていますが、依然人手不足となっており、そのことによる賃金上昇があると考えられます。
なぜ失業率は低下?
続いてこちらは、失業保険継続申請件数と失業率です。失業保険継続申請件数は継続的に失業手当を申請している件数ですが、2020年2月のコロナ後からは大幅に減少しています。
これを見ていただくと継続的に失業している人数は減少しており、働きたい人は職に就いている人が大方のため、人手不足になっていると考えることができます。失業率の低下は働きたい人が職に着けていると考えられます。
では、なぜ人手不足が続いているのかですが、60歳以上の引退した世代がコロナ前は働いていたのですが、コロナ禍以降は働かなくたっているため人手不足が深刻化しているのではないかと予想されています。
今後も人手の代替としてシステム導入などが進むと考えられます。
物価と失業率の関係性
これは、縦軸をCPI(消費者物価指数)と横軸を失業率の関係性を示したものです。
緑色:2020年
紫色:2021年
赤色:2022年
これを見ていただくと、物価が低くなる(下に動く)ことで失業率は上昇し(右に動く)、物価が高くなる(上に動く)と失業率は下落(左に動く)しています。
CPIの上昇は失業率の低下を引き起こします。コロナ前の米国は好況で2020年1月(コロナ前)はCPIが2%で失業率も低い状態で左下にあります。これが理想なのですが、現在は左上に位置し、景気が過熱しているといえます。
FRBはこのCPIを抑え込もうとしているわけですから、一時的であっても失業率は高まることが考えられます。そうなった場合、景気は冷え込む方向に進むと考えられ、これを想定して現在の株式市場は下落基調になっていると考えられます。
当然FRBがソフトランディングを成功させることができれば良いのですが、なかなか難しいでしょう。
米国経済の見通しと米国は投資先として良いのか?
上記はIMFの世界景気見通しですが、米国は2023年に1%程度まで成長率が下落しています。今後も見通しの改定がありますが、少なくとも景気が鈍化することが予想されています。
米国への投資は、長期の視点で見れば依然として魅力的だとは思いますが、短期的には下押しするリスクがありますのでご注意ください。
また、世界全体を見ていただくと安定して経済成長していますので、リスクを抑えたい方は世界全体に投資するのも1つの方法だと思います。とはいえ米国市場が巨大であることから、世界インデックスに投資した場合でも米国の割合が少し高くなってしまう点には注意してください。
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