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【認定調査員の経験はケアマネの仕事に役立つ】

現在、ケアマネジャーとして働いている。

今も認定調査を行う事はあるが、毎月1、2件程度。ケアマネとしての業務もあり、それでも手一杯だ。

ケアマネとして働く前に、認定調査員として働いていた期間がある。

わずかの期間だったが、その経験は、今のケアマネとしての仕事に役立っている。

認定調査は、介護保険の申請を受けて、病院や施設、在宅へ出向き、心身の様子、介護にかかる手間を調べる。

毎回知らないお宅に出向くには、結構神経を使う。
いわゆる、『一見さん』だから。
でも、一見さんだから耐えられた部分もある。

アポの取り方からコツがいる。
最初から最後まで観察、失礼のない言動が必要。

1日4件も回ればクタクタになった。
調査した内容を特記事項に記載する。

書いても書いても終わりがない。
目も悪くなり、慢性的な疲労感が残った。
これが、最終的に辞める要因となった。

今となっては、さまざまなエピソードが残る貴重な経験となっている。


🌲業務の流れ

1.アポをとる

電話で、本人または家族に連絡し、訪問日時、場所の確認。

人によっては、住まいと調査の場所が違うことがあるため。

立ち会う人の名前、連絡先、あと重要なのが車を停める場所の確認。

看板を背負っている手前、迷惑のかかる場所には停められない。

利用者は耳が遠いか、どの程度歩けるか、会話はできるか、認知症はないか…
それによっては、筆談もあり得るので、準備が必要だ。一応、大まかに全体像を予想しておけば心構えとなる。

どこまでの内容を聞いていいのか、認定調査を受けることを承知しているのか等、細かいことを確認する。

余計なことを言ったために相手を怒らせ、調査にならないことを防ぐため。

毎日多くの訪問があったので、次の訪問との時間を余裕を持ってセッティングする。

訪問時間に遅れないためだ。

何でもそうだが、やっぱり準備段階がまず重要だ。

2.調査当日

余裕を持って出かける。

生活圏ではない所に行く場合もあり、道に迷った事も想定しての行動だ。

もし、時間に遅れそうな場合、当たり前だが早めに家族に連絡を入れる。

着いてからは、まずネームプレートを見せて挨拶。
調査の流れ、調査後の経緯を含め説明する。

コート類は玄関に畳んで置く。

そして調査を始める。

認知症が少し進んでくると、忘れっぽい事を自覚しながらもプライドもあり、調査員の尋ね方によっては怒り出す事がある。

だから私は、かなり認知症が進んでいる方でも、
「わかっている事をお聞きして、大変失礼ですが」と前置きする。

名前(旧姓で答える人もいるが)と生年月日は答えられる人は多いが、年齢は答えられない人がいる。生年月日は変わらないが年齢は毎年変わっていくから。

答えられなくても、
「大丈夫ですよ。誕生日が合っていますので。急に聞かれると、年齢は忘れることありますよね」と言うようにしている。

調査自体を本人は拒否、家族は介護保険のサービスを使いながら生活してほしいと言う、両者で意見が食い違う際は、ケースバイケースだが、

「今80歳以上のお宅には、市から依頼を受けてこうやって体の様子をお聞きするようになっているんですよ」

「〇〇さんは、自分の身の回りのことはほぼできていますが、遠方に住む息子さんが大事なお母さんのことを心配されているようですよ」等々、

うそも方便。
気分を害さないように話しかけて、調査を行う場合もある。

身体面での調査も、転倒等の事故にならないよう、無理な動きはさせないようにする。

長くても30分程度で終わるようにする。

認知症や精神症状で介護に手間がかかっている方については、聞き取りに時間がかかる。

聞き漏らしがないように心がけるが、万が一わかりにくい内容については、デイサービス等の職員から後日聞き取る。

細かい点はケアマネより、日々接しているサービス事業者の方が詳しい事が多いからだ。

その場で聞きにくい事はアポの時、調査が終わった後、家族から外で確認。
またはメモを渡される事もある。

挨拶をして終わり。

特記事項については、車の中や、職場に戻ってから。
これがまた、大変時間がかかる作業だ。
聞き取った介護の手間を記入する。
YES、NOのチェックに収まらない内容について記載する。

結局、利用者の介護度に反映される1番大事な作業だと思う。

3.認定が下りる

調査員の調査内容と主治医意見者を基に、有識者が集った審査会が開かれ、介護度が決まる。

介護度が決まる前後で、病院ソーシャルワーカーや包括支援センターからケアマネの依頼があり、支援の輪がつながっていく。

🌲認定調査について思うこと

1.注意している点


申請は、新規申請、更新申請、区分変更申請がある。
特に初めて申請する、新規申請は右も左もわからない状況の方が多いので、少しでも不安が和らぐ様に接する。
何でも話してもらえる雰囲気作りに心がける。

区分変更申請も、ケアマネさんによっては状態が悪化しただけで行われるケースがある。
状態が変化したのみで区分変更を出しても、逆に利用者と調査員の負担が増えるだけで今しなくても良いのではないかと思えるケースもある。

介護度には、軽い方から数えて、要支援1から要介護5までに分かれる。

認定結果に不服がある場合、不服申し立てができるが、時間がかかることもあり、こういったケースは少ないのではないかと思う。

人によっては、あからさまに調査員の調査の仕方についてクレームを訴える。

このクレーム対応は疲弊する。

だから少しでもこの時間をなくすために、説明が大事になる。

「大体、介護〇ぐらいになるでしょう」とは、絶対に言わない。

そうならなかった時の責任が負えない。

「サービスは、〇〇が必要ですね」とは、絶対に言わない。

それはケアマネの領域。私もそうだったがケアマネ経験のある調査員は、とかくサービス内容が自然と頭に浮かぶ。
でも、それはケアマネが本人、家族と話し合っていく事。

「こういう事でお困りなんですね。またケアマネさんと相談されるといいですね」に踏み止まる。

2.認定調査のこれから

今の制度では、申請後認定調査が必ず必要になっている。

ケアマネによっては、要介護5、寝たきりで回復が見込めない方に調査をする必要があるのかと思う人もいるだろう。

私もその1人だ。

ただ最近は有効期間が延長され、3年、4年と長くなって来ていることはありがたいが、本来、認定調査そのものが必要なんだろうかとも思っている。

ただ、認定調査をせずとも、利用者の望む暮らしに向けてケアマネが支援できるかと言えば無理だとも思う。まだまだそこまでの実力は少ないと思う。

過不足なくサービスが入らないといけない。
サービスありきになってしまう事も良くない。

現時点で介護度は利用者や家族を支える目安になっている。

介護度は、あくまでも介護の手間を調べた結果。
病気が重いから軽いからで判断されるものではない。

病気が重くても、介護度が軽くなっているケースも数多い。
介護度が重くても、在宅で懸命に介護している方もいる。

その時は、本人や家族の労をねぎらう。

必要のないと思われる方についての認定調査のあり方については検討が必要ではないかと思う。

私たち、ケアマネや調査員は現場でその声を聞いている。

3年に1度、介護保険の改正があるが、見直すと言う事は利用者、介護者のためであるが、介護に従事する者のためでもある。

だからこそ、すぐに解決出来ない事でも、気づいた事は「どうせ無理だ」とか「仕方ない」で放置しない方がいい。

ケアマネに戻って働いている今思う事は、調査員の仕事の大変さだ。
だからこそ、認定調査員の業務内容についても負担の軽減につながる取り組みは必要だと思う。

認定調査員の仕事は地道なものだ。
でしゃばり過ぎず、引っ込み過ぎず。

そして今、介護保険を支える縁の下の力持ちだ。








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えんじゅ
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