【エッセイ】"えんさん"は「塩酸・袁傪」のどちら?①
皆さんは"えんさん"と聞いて何を真っ先に思い浮かべますか。おそらく、大体の人は「塩酸」か「袁傪」のどちらかを挙げると思います。
「塩酸」といえば、理科の実験が懐かしいですよね。塩酸は電気分解などの実験でよく使われる一方、かなり危険な有毒物でもあります。私はそそっかしいので、学生時代、実験で塩酸を使う時なんかは、いつも、先生から「危険だから、気をつけて!!」と注意されていました。
それから、「袁傪」といえば、中島敦の『山月記』ですね。「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」により虎になってしまった李朝子。その李朝子の友達で、物語の語り手でもあるのが「袁傪」です。(余談ですが、私はこの袁傪を”セリヌンティウスに並ぶ人格者”だなぁと思っています。良い奴なんだよなぁ)
それぞれ「塩酸」といえば理系、「袁傪」といえば文系のワードですが、みなさんはどちらでしたか。学生時代、あまりに理系科目が苦手すぎて、常に赤点ばっかりだった私はというと、真っ先に「袁傪!!!!」と叫んでしまいました。なんなら、自分が出せる精一杯の演技力で、「その声は、我が友、李徴氏ではないか。」と言ってしまうくらいには文系です。
国語の授業ではいつも「我先に!」とばかりに、進んで挙手をしていました。また、日本文学や文豪さん方が大好きで、父に「東京に連れて行ってやる。」と言われれば、渋谷でも秋葉原でもなく、雑司ケ谷。「文豪さんのお墓参りがしたい。」と目を輝かせるような子でした。(雑司ケ谷霊園には、夏目漱石さんや小泉八雲さんなど、有名な文豪さんがたくさん眠っています。)
一方、理数科目はというと、テストのたんびに赤点を取り、先生に叱られては、渋柿を三個も四個も口に入れちゃったんじゃないかと思うほど苦々しい顔をしていました。(授業中に白衣の先生の目を盗んで、こっそり読書をするような始末なんですから、全く自業自得です。)
理系の方々からだいぶ顰蹙を買う気がするのですが…。当時の私はこんな風に考えていました。
「文字や言葉は、噛みしめれば噛みしめるほど、豊かな味を楽しめる。けれど、数式や化学式は厳しい顔の奴らばっかりよ。ちょっと舐めてみたけれど、プラスチックみたいに変な味。暗く冷たい部屋に何時間も放置された、無色透明のコップみたい。」
周りの友達の中には、「理科の実験が一番楽しいんじゃん。」と言う子もいましたが、私の場合は、理科室の薄明かりの下、私がこぼしたため息で白く濁ったビーカーを、まるでお酒の入ったグラスのように振りながら、「私、つまんないの。」と黄昏れたいくらいには嫌いだったんです。
そんなThe・文系の私ですから、大学も当然のように日本文学を専攻しました。希望した大学に合格したときは、「これでやっと理数科目を勉強しなくていい!!」と大歓喜。卒業時には、私が書いた島崎藤村の論文をゼミの代表として選出していただき、有り難い上に、自分を誇らしく感じられるフィナーレを迎え、「我こそは文系の申し子なり!」と、えっへん、エッヘン。
私はずっっっと一途な文系人間なんです。
ずっと一途な…
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んん?んん?
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あんれぇ…。
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まだある…!
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こいつ、理系の勉強してるぞ!!!!
坂井野々花、今年で23歳です。なんと、私…!”大人”になってから、理科と数学のワークを買い、毎日コツコツ勉強するようになったんです。(と言っても、今は理科のワークしか解けていないのですが。)
学生時代の私よ、そして、何度叱っても毎度赤点の生徒に手を焼いてきた先生方へ…。私、今、理数科目の勉強をしています!!!!!!
学生時代の私は、きっと言うでしょう。「理数科目って、日常で使わないじゃん。ていうか、「大人になってから勉強しても意味なくない?」と。
ところがどっこい!!!
大人になってから勉強する方が楽しい!!
学生時代の私にとって、「理数科目の勉強=苦手なピーマンを無理やり『食べなさい。』と押し付けられているようなもの。」でした。理数科目を勉強するとどんな効果があるのか、どんな面白さがあるのか…。私はそれを学生の頃に発見することができなかったのです。
しかし、大人になり、"あること"がきっかけで、「毎日コツコツ理数科目を勉強してみよう!」と思うようになりました。
果たして、そのきっかけとはなんなのか…。私が大人になってから見つけられた、「理数科目を勉強する意味や楽しさ。」とは何か…!
それは次回で書いていこうと思います。
次回‼️ 『二つの憧憬が理系の手引きに‼️』