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トレニックワールド彩の国100mile&100km備忘メモ【③North】

Northの概要

 彩の国100mileの1周目、Northはサンピアの北西部を走る54km、累積標高3,319mD+のコース。
 この大会で最も標高が高いカバ岳(標高896m)を含む800m前後のノコギリ状のアップダウンが連なる前半と、金嶽(539m)・新柵山(490m)・雨乞山(340m)を登っては降りる後半で構成されている。
 100mileでは関門が設けられていないが、一説によれば、Northを9時間台でクリアしないと完走は難しいらしい。

Northのコースレイアウト

スタート(サンピア)〜A1刈場坂峠:15.3km(1,144mD+)

 スタートは朝7時。まだそれほど暑くないが、肌寒さも感じない。
 この区間は100mileコース(100㎞も)の中で最も距離と累積標高がある。それでもスタート直後ということで皆さん元気に走っている。
 スタート直後にサンピア裏の林道を抜け、2.5㎞くらいのロードから山に入っていく。急な登り下りはほとんどなく、だらだらと登っていく感じ。

 前後の選手と軽く会話しながら、無駄な力を使わないように進んでいく。途中、追い越した方からは「頑張って!」と声を掛けられるも「後が怖いのでここでは頑張りませんよ」とか「この区間はハイキングのつもりじゃないと」と返しつつ、時計の心拍数や出力ペースを確認したり、自分の身体に問いかけたりして慎重に慎重を重ねる。

 天気が良く足元も乾いているので、皆さんのペースがなんとなく速い。ペースコントロールとして用意したタイムテーブルはあるけど、距離が長いせいで今のペースがどうなのか不安な気持ちもよぎる。

 まだ朝の早い時間帯ということもあり暑さはほとんど感じない。それでも登りが多く、これから暑くなる想定なので、ボトルの飲料をいつもより頻度を多くして摂る。登り基調なので飲みやすいが、夢中になっていると摂ること自体を忘れがちなので、いつもは15~20分間隔なのを10~15分を基準に摂っていく。

 周りに人数はいるのでコースロストはしないと思っていたら,昨年サイラー(ゼッケンの数字が黄色)の50代の方と話しているうちに標識を見落としてプチロストした。危ない危ない。

 この区間だけじゃないけど、エイド単位でも長く感じるので、主なピークを目印に2〜3㎞毎に区間を割って一つひとつクリアしていく。飯盛峠を過ぎるとロード区間も出てきていよいよ刈場坂峠。

A1:刈場坂峠エイド(15.3km地点、標高813m)

 ほぼほぼタイムテーブルどおりに到着したが、トイレ(大)に立ち寄るため、補給は最小限に。エイドの補給食は相変わらず豪華。食べ物はバナナをその場でほおばり、みたらし団子2個をポケットに入れる(これが後にちょっとした惨事に)。
 空になったボトルに麦茶を入れる。次の区間は距離が短いのでボトルの6割くらいだけにする。(もう片方もすでに半分くらいまで減っている)
 トイレは仮設の洋式タイプ。和式だと身体の固い自分としては脚がプルプルするので助かる。時間がもったいないので,なるべく早めに済ませて次の区間へ。

A1〜A2堂平キャンプ場:7.4km(460mD+)

 この区間には,100mileコース(100㎞も)で最高峰のカバ岳(896m)がある。ただし、すでに刈場坂峠で813mあるので長い登りや急な登りはなく、アップダウンを繰り返しながら登っていく感じ。登りの途中で先ほどのエイドでもらった団子を1つ口に入れる。

 暑くなりつつあるが、基本的に山の中は木陰なので直射日光が当たる区間は少なくちょうどいい感じ。目に見えて汗をかくというより、じわじわと汗ばんでいく。時々稜線上を風が抜けて汗ばんだ身体を冷やしてくれる。とても気持ちいい。

 この区間では、まだ前後の見える範囲に人がいる状況。しかし、刈場坂峠までの区間と違って抜いたり抜かれたりということはほとんどなく、だいたい同じペース・同じ間隔で進んでいく。

 カバ岳を過ぎるとヘアピンカーブのあるロード区間の高篠峠まで一旦下り基調(だったと思う)で、そこから白石峠を経て、堂平山に向けて登っていく。堂平山には観測所?があり、それをターゲットに登っていくと後はキャンプ場まで下り。

A2:堂平キャンプ場エイド(22.7km地点、標高755m)

 堂平キャンプ場以降から、手持ちのパラチノースとアミノバイタルの粉末を使用する計画。エイド到着前の登り区間のうちにボトルに投入しておく(片方のみ)。
 エイドでは粉末を入れたボトルに水を入れたのと引き続き麦茶を投入。次のエイドは事前のタイムテーブルで1時間40分くらいなので、麦茶はボトルの半分程度に留める。
 このエイドにはトマトスープパスタがある。酸味があってすごくおいしい。フルーツ(種なしブドウ)もほおばり、それもポケットに数粒入れてリスタート。
 エイドを出た直後にYTさんとすれ違う。「速いですね」と言われたけど,ここですれ違うくらいだからそんなにペースは変わらない。いずれ一緒に走ることになるだろうと思いつつ、自分のペースで進む。

パラチノースとアミノバイタルの粉末

A21〜A3慈光寺:11.1km(710mD+) →13kmくらいに急きょ変更

 堂平キャンプ場から笠山への分岐までちょっと下ってから登っていくものの、そこから腰越までおよそ4.4㎞の長い下りがある。
 昨年100㎞の部に参加したときには笠山からの下りでつまずいて転び、手をついた岩で薄手のグローブがザックリ割けたことがあったので、短パンのポケットに入れておいたグローブを着ける。

 以前、ツィッターのスペース(録音版?)で前述のTHさんや女性トップランナーのKKさんが「笠山からの下りは飛ばしたらダメ。歩くくらいでもいい」というようなことをおっしゃっていて、今回も安全第一、脚を温存するイメージで下っていく。
 普段からトレイルではグローブを着ける派だったが、今回はグローブを着けたら手のひらにすごく暑さを感じる。サウナ練で水風呂に入った際に、手のひらを太ももに付けているか放しているかで手のひらの温度感がまったく異なることを思い出し、多少のリスクを覚悟で途中からグローブを外した。その分、さらに慎重に下っていく。

 腰越で一度ロードに出て金嶽までは3㎞で380mくらいアップ。まだ前半ということもあり、そこまでツライと感じないが、自分が設定したタイムテーブルには全く余裕がない。
 金嶽の登りでポケットに残っていたみたらし団子を摂ろうとしたら、団子の皮をみたらしが突き破っていた。ポケットにはビニルケースに入れたタイムテーブルやブドウの粒も一緒だったので、それがみたらしのタレでべとつく(ちょっとした惨事!)。
 とりあえず団子を口に入れ、手に付いたみたらしのタレも舐めて何とかべとつきを抑えようとする。「まじか~」と思ったけど,まあ仕方がない。

 金嶽を越えると,都幾山とかはあるけど慈光寺まで下り。慈光寺まで残り1㎞くらいでパラチノース・アミノバイタルのドリンクを飲み切って,次の粉末を投入。もう一つのボトルに入った麦茶も残り2~3口くらい。

 トレイルを慈光寺に曲がる分岐のところで,プラスチックの箱を持ったスタッフが声を上げる。「ここでバンドをタッチしてください! エイドは1.5㎞先に変更になりました」

 正直「???」と頭にはてなマークが浮かんだが,急な法事でも入ったか,クレームが出たのかなと思いつつ進む。後からわかったのは,一旦慈光寺にエイドがセットされたが,住職さんから何らかのお叱り(理由は不明)があり,急遽エイドを移動したこと。そのため,エイドを利用できなかった選手もいること。通過チェックのために,チェッカー(プラスチックの箱)を持ったスタッフだけ,慈光寺の分岐に残ったこと。

 まあ,いろいろあるよね。それでも僕が指示どおりに走っていくと,ちょうどエイドが整ったところで,ライトチェックもしてくれたし,補給もしっかりできた。ちょっと距離は伸びたけど(多分400-500m)。

A3:慈光寺、改め道端エイド(35.5km?地点)

 このエイドではライトチェックがある。僕はザックの脇ポケットに入れていたジェントスのライト(軽い)を取り出してスタッフにチェックしてもらう。
 ターゲットのタイムテーブルでは日暮れ前にはサンピアに戻れるプランだったので、ヘッドライトに使うレッドレンザーはザックの中に、腰ライトに使うマイルストーンはサンピアに置いておき、Northはジェントスのライトを取り出しやすいところに入れて時間と重量を節約(ライト2個と予備バッテリーが必携品になっているが、僕はザックにレッドレンザーとマイルストーンの予備バッテリーを入れておいた。ちなみにマイルストーンの予備バッテリーはケーブルを使ってジェントスのライトの充電も可能)。

 慈光寺エイドが道端のエイドに変わってもエイド食の豪華さは変わらない。ここでのお目当ては稲荷寿司。時間節約のためポケットに入れる。「2個でもいいですか?」と尋ねると「どうぞどうぞ!」と快く応じてくれた。次のエイドまでの区間は短いが、その次の区間(くぬぎ村~サンピア)が少し長いので、そこで2個目を食べようという計画。

 これまでの区間で麦茶がなんとなく重く感じていたこともあり、1つのボトルは水に切り替え。次のエイドは場所が変わらず区間距離はさらに短くなったので、飲料の補給は最小限にとどめる。それでも水をちょっと多め(ボトル半分程度)に入れた。これが後ほど良い気付きにつながる。

A3〜A4くぬぎ村:6km程度(385mD+)

 慈光寺エイドの変更により短い区間(当初7.2km)がさらに短く。この区間は新柵山まで4㎞で330mのアップだけで、新柵山を越えると2㎞弱でエイドになる。

 新柵山の登りは淡々とこなすイメージ。Northはとにかく脚を使わないことに注力する。それでも少しずつ脚に疲労感を感じ始めたのもこの新柵山への登り。
 今回,某ポッドキャストで昨年の彩の国100mileを完走した方(有名ガレージブランドのデザイナー兼経営者)が使用していたという「マグネシウムスプレー」をエイドに置いていたので、それがどれくらい効果があるのか試せるかな?と思いつつ,疲労をいかに残さないかと考える。
 一方で、これまではどうしても脚を使うような登りをしている感覚があったが、このあたりから,なんとなく力を使わない(お尻を使う)登りが自然に出るようになってきたのも感じていた。

 新柵山への登りでジェル(マグオン)を投入した際,手についてベトベトしたので、余裕のあるボトルの水で流したところ、さっぱりしただけでなくちょっと冷たくて気持ちいいのがわかった。
 そこで「ボトルの水でポケットを洗えば,みたらしのべとつきも取れるのでは?」と気づき、ポケットに入れていたブドウがなくなったタイミングで試みたところ大正解。べとつきが取れただけでなく、ちょっと足の付け根も冷たくて気持ちいい。さらに応用して、トラッシュポーチにも水を注いで摂り終えたジェルでべとつく内側がさっぱりした。
 麦茶やスポドリだけでなく水を持つことで、水分補給だけじゃなく、そういう応用も効くのがわかったので、それ以降は片方のボトルをすべて水にした。
 ちなみに、麦茶は味があるし口の中もさっぱりしやすい、ミネラルも含んでいるんだけど、今回の経験として、味がある分、胃に少し違和感があったりすると入りにくくなる感じがした。逆に水のほうがどんな場面でもスルスルと入る。
 もう片方のボトルのパラチノース・アミノバイタルのドリンクを濃いと感じたら薄めたり、エイドに入る前に片方のボトルをいっぱいにすることもできるので、「これからは水だな!」と思った。これも経験。

A4:くぬぎ村エイド(41km地点、標高404m)

 このエイドは前回も豪華なサンドイッチが用意されていた記憶があり、楽しみにしていたエイド。今回も様々なサンドイッチがあったが、スタッフの方も「何が入っているのかはわからない」というロシアンルーレット状態。それでも一つ摂ったらクリームサンドだった(自分的には当たり)。
 スタッフの方とそんな掛け合いをしているうちに他の選手に抜かれたりしたけど、この先は下り基調ながら、エイドを出て2㎞くらいのピーク(250mくらいの登り)とNorth最後のピークとなる雨乞山(1.5kmで150mくらい)といったように登りもそれなりにあるので、しっかりと補給したほうがよいと判断。
 タイムテーブルでもサンピアまで2時間弱かかるとみていたので,サンピアに向けて焦らないようにした。

A5〜サンピア:13.0km(620mD+)

 この時点でおよそ13時過ぎ。最も暑くなると想定していた時間帯になっていたが、Northを通じて思ったほど暑さを感じていなかった。むしろ木陰を下っていく際は風を感じやすく、体の内部に熱がこもるようなこともなかった。

 くぬぎ村のエイドを出てすぐにピークが1つ。これを越えると比較的下り基調となる。往路で通ったシングルトラックを逆走し、なだらかゆえに走れる(走らされる)。ここはほぼソロだったが、道迷いもなく、スピードを出しすぎない範囲で気持ちよく走る。
 その中で自分の身体との対話もしていく。脚の疲労度や水分や補給の状態、足や股などの擦れや痛みの有無など。この時に気になったのは、右足の人差し指・中指・薬指の間のちょっとした痛み。靴も靴下も履いているので走っていては確認できない。次のサンピアで靴を脱いで確認してみようと判断。
 South1に持って行く補給物に考えを巡らせる。持参したジェル類は予定どおり消化しているので、何も考えずに用意したものを持って行こうと判断。
 そうこうしているうちに,North最後のピークとなる雨乞山もそこまで長い登りでもなく(160mアップくらい)サンピアが近づいてくる。

 この区間の最後のほう(ロードに出たあたり)で東北を代表するトレイルランナーTYさんと一緒になる。こちらはいつも上位にはいるTYさんを外から知っていたが、実際に直接話したのはこの大会が初めて。
 刈場坂峠のあたりで一度ご挨拶していたが、その後はずっと前に進んでいるものと思っていた。最後のロード区間で並走してサンピアにほぼ同時に到着。2週間前にろっ骨を痛めたそうで、走るのも2週間ぶりとのこと。道理で自分がこの段階で追いつけるわけだ。

 サンピアの入口から体育館までの坂はボトルにパラチノース・アミノバイタルの粉末を補充するため、そして脚を温存するために歩く。
 まだ昼間ということもあって,多くの方が応援してくれる。それを受けて「South行くぞ!」と気合がはいる。

Northは8時間10分で終了(5/18 15:10到着)

Northの計画(サブ30とサブ31)と実績

つづく(次はサンピア滞在&今回の補給食)

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