【毎週ショートショートnote】 愛にカニばさみ
「とあっ!」
「うわっ!」
僕の両足の前と後ろに、林檎ちゃんは横から、自分の両足をハサミみたいにはさんで、僕をうしろに倒した。
ぼすっ、と背中には、やわらかいクッションがあり、身体にひとつも傷はない。
「おもしろいな!」
「うん…。カニばさみされるとは、思わなかったよ」
僕らがいるのは、最近できたデートスポットだ。運動のあとに、お食事を…という、運動施設とカフェが合体した店だ。
店内に入ると、一面のクッションが敷かれていて、まずは、そこで運動をする。
僕らの他にも何人かカップルが、手をつないで、とんでいた。
僕も林檎ちゃんと手をつなごう…と思ってたら、カニばさみである。なんで?
「林檎ちゃん、スカートやぶれてない?」
「大丈夫だよ。じゃあ、顔をカニばさみしてやろう」
「なんで!?」
いやいやいやいや、それはだめ!
人目があるとこで、そんな、林檎ちゃんの太ももが、顔とか、だめえぇ!
「なんか、うれしそうだな?」
「林檎ちゃんは楽しそうだね!」