【毎週ショートショートnote】ほんの一部スイカ
今日は孫が来ているので、家に帰る途中でケーキを買った。
スイカの果汁が、ほんのりとするチョコケーキだ。
スイカにチョコ? と思ったが、試食したら、思いのほか、おいしかったので、みんなで食べたくなった。
そろそろ、おやつの時間だし、孫もよろこんでくれるだろう。
「おじいちゃん、おかえり」
「おかえりなさい。ちょっと早いけど、おやつよ」
孫は、スイカを食べていた。
八分の一にカットされたスイカに、かぶりついている。
机の上には丸玉のカットされていないスイカが、二個ごろごろ転がしてある。
「そのスイカ…」
「お隣の川井さんにもらったのよ。息子のイヨさんが、仕事先からもらったんですって」
「夏はやっぱり、スイカだね!」
私は、そっとケーキを冷蔵庫に隠す。
「あら、なにか買ってきたの?」
「いや、これは…」
「ケーキ買ってきたのね。あら、スイカケーキなの? 間が悪いわね」
「なんで、わかった?」
「パッケージがスイカのモチーフじゃない」
妻には勝てない。