見出し画像

こんなことが許されていいのか

ええ。
そうです。
僕ちんは何も知らされておりませんでした。

母は病院に入院しておりまして、家には父と3つ上の兄と3人で過ごしています。
あ、いえいえ 母は病気ではなく出産後の入院で明日には退院すると聞いております。
僕ちんはお兄ちゃんになったらしいですね。
淋しいですが、まぁなんとかやってます。

家では 兄はおもちゃを貸してくれないし、父は何だかバタバタと動き回っているし僕ちんはTVでピタゴラスイッチを見てキャッキャするしかありません。

まぁでもそんなことはどうでもいいのです。
特におおきな不満はありません。

しかし、今朝事件は起きたのです。
僕ちんはいつも通り起床して朝食をいただきました。
まぁ少し残したのですが。
父は食べなさいと口うるさいです。
僕ちんが本気を出せばすぐに諦めますがね。

ここまではいつも通りの朝でした。
でも、少し父と兄の雰囲気がいつもと違うのです。
何かコソコソしているというかソワソワしているというか…上手く表現できませんが そんな感じでした。

父は言います。
「ぼちぼち保育園いこか〜」と。
はい。
僕ちんはもちろんおもちゃで遊んでいるのでイヤイヤと伝えました。
積み木最高です。
いつもなら兄もイヤイヤと言うはずなのに今日は言いませんでした。
むしろワクワク楽しそうな表情をしていたのです。
僕ちんは理由がわからずに泣きました。

そんな僕ちんを父はひょいと持ち上げ玄関へ連れて行きます。
靴下、ジャンバー、靴を装備してクルマに乗り込みます。
ここまで来れば 僕ちんも保育園にいくモードになっていました。
ここでも僕ちんは違和感をおぼえました。
いつもより荷物が少ないのです。
明らかに少ない。
2歳児の僕ちんでも気が付きます。

クルマでは父は運転席、兄は助手席、助手席の後ろの席に僕ちんが座るのが常です。
前の2人が何やら会話をしておりました。
上手く聞き取れませんでしたが
「ねぇ…ほいく…え……や…むって連絡した?」
「ん?あーしたした」
みたいなことを言っていました。

すぐに保育園へ到着しました。
いつも通り僕ちんが先にお部屋に行きました。
でもね…僕ちん見ちゃったんだ。
普段なら兄は2階のお部屋に行くはずなのに玄関へ一緒にいくではありませんか。
そう、兄は父と一緒に帰っていったのです。
僕ちんを置いて…。

淋しさ、不安、疑念が僕ちんの中に渦巻いていきました。
なぜ?という問いが頭をグルグルとしていました。
でも優しい先生と魅惑のおもちゃの前ではそんなものは些末な問題でした。
僕ちんはしっかりと保育園を満喫しました。
夕方には母の病院へ行くことも満喫できた理由のひとつだったでしょう。

そして夕方に父と兄が迎えに来ました。
いつもなら先に僕ちんを迎えに来てから兄のお部屋に行くのに。
僕ちんの頭にはまた疑念がムクムクと膨らんで行きました。
そのまま母の病院へ行きました。

母の病室に着くと兄が大きな声で言いました。
「ママー!アークの映画見たよー!」
聞き間違いでしょうか。
アークとは兄のスキなウルトラマンの名前です。
3人の話を総合的にまとめると
父と兄は僕ちんを保育園に預けて2人で映画を見に行ってランチを楽しんだ ということらしいです。

こんなことが許されてもいいのでしょうか?
たしかに僕ちんはじっとは出来ないし 映画なんて興味はありません。
でもね、妹は母とふたりきり 兄は父とふたりきり。
僕ちんは…。

この仕打ちはいつか必ず精算してもらいますからね。
たべっ子どうぶつぐらいじゃ許すことはできません。

病室で 両親は何やら言い訳めいたことを言っていました。
映画券が今月までで〜とかなんとか。
僕ちんにはなんのことかわかりません。

とりあえずたべっ子どうぶつ食べます。



今日はまだ文章を書けない僕ちんの こころのこえ を父に代筆してもらいました。
それとも父の罪悪感が見せる幻か…。
まぁ深いことは考えないでおきましょう。


ん〜たべっ子どうぶつめちゃうまッ☆






本日のプチ情報(ホント)
「たべっ子どうぶつ映画化だってさ」




いいなと思ったら応援しよう!