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キラキラネーム
キラキラネームが世間を賑わせている。
最近では政府の重役にもキラキラネームが目立ってきている。
鬼乃 荒亜武はその筆頭であり キラキラネームを憎んでもいた。
世間はキラキラネーム容認派と否定派に分かれてTVなどで連日議論が盛んに行われている。
誰でも名前を自由に決めることが出来るということが問題である というのが最近の流れで、政府が決めてはどうかという法案が支持を集めていた。
その法案を推し進める鬼乃 荒亜武は復讐に燃えていた。
自分にこんな名前をつけたアイツに復讐する為に政府の重要なポストに就任したのだ。
ここまで血の滲む努力を重ねてきた。
挫けそうな時もあった。
でもそんな時には自分の名前を呼ぶだけで嵐の様な復讐心が燃え盛った。
鬼乃 荒亜武を突き動かしていたのはまさに復讐心だけだった。
その復讐心はまさに鬼と化していた。
しかし、その鬼はカリスマとして世論を動かしたのだ。
政府が命名権を奪取するのは時間の問題であった。
鬼乃 荒亜武は法案に少し細工をした。
「平等性を期すため、全国民の名を政府が改変する。また、その変更を拒否することは原則不可」という一文を盛り込んだのだ。
これでアイツに復讐した後、自分の名も真面目で可憐で清楚で親切な人間になれるようなものにしようと考えていた。
かくして法案は通り、政府は全国民に対して命名権を発動した。
鬼乃 荒亜武は長野県庁に根回し、例のアイツの改名を通達した。
鬼乃 荒亜武の名付け親である荒くれ者でヤンキーなアイツ。
鬼乃 荒亜武が付けた名は
「893」
という数字で構成された究極のキラキラネームだった。
鬼乃 荒亜武は復讐を終え、自分の名前を由良 さやのと改名し政府から姿を消した。
彼女は今、真面目で可憐で清楚で親切な人間として社会に紛れているのだ。
心に鬼を秘めたまま。