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原価計算からわかる価格の決め方

エステサロンを運営する上で、メニューの価格設定はビジネスの成功に直結する重要な要素です。

なぜ、運営において重要かというと図にも記した通り『価格≒○○』だからです。この○○に何が入るか気付いた人は、多いかと思いますが『売上』だからです。

『価格』ほぼイコールで『売上』ということです。
損益計算書も売上から始まる通りとても重要な数字になります。
それが唯一自分で決められる数字ということもとても奥が深いですよね。

価格設定が適切でなければ、利益が出ず、持続可能な経営が難しくなります。今回は、原価計算の重要性と、エステ施術メニューの価格設定の仕方について詳しく解説します。


1. 原価計算の重要性

原価計算とは、提供する施術にかかるコストを把握するための手法です。正確な原価計算を行うことで、利益を確保しつつ適切な価格設定が可能になります。原価を把握せずに価格設定を行うと、利益率が見えづらく、結果としてビジネスが赤字に陥るリスクが高まります。

また、原価計算を通じて自サロンの経費構造を見直すことができ、無駄なコストを削減するための手がかりにもなります。適切な価格設定は顧客満足度の向上にもつながり、結果的にリピーターを増やす効果が期待できます。

2. エステの施術メニューの価格設定の仕方

価格設定の基本は、「原価 + 利益 = 販売価格」です。しかし、単純に計算するだけではなく、以下の要素を考慮する必要があります。

  1. 市場価格の調査
    競合サロンの価格帯を把握し、自サロンが提供する施術の価値を理解しましょう。同じような施術でも、使用する商材やサロンの雰囲気、スタッフの技術力によって価値は異なります。

  2. ターゲット層の分析
    ターゲットとするお客様のニーズや支払い可能な価格帯を把握することも重要です。価格が高すぎると手が届かず、低すぎると品質が疑われることもあります。ターゲットに合った価格帯を見つけましょう。

  3. 利益目標の設定
    利益率を設定し、その目標に沿った価格設定を行います。例えば、原価に対して20%の利益を目指す場合、価格は「原価 × 1.2」となります。

3. エステの原価:商材、人件費、テナント料

エステサロンの原価を把握するためには、以下の三つの主要なコストを計算する必要があります。

  1. 商材費用
    施術で使用する商材のコストです。化粧品や美容機器の消耗品など、施術ごとに必要な商材のコストを正確に把握しましょう。商材費用は直接原価として施術メニューの価格に影響を与えます。
    「美容機器は、どうする?」についての疑問は、下記の『5.高額な美容機器の費用の計算方法』に記します。

  2. 人件費
    スタッフの給与や技術料も重要なコストです。施術にかかる時間とスタッフの時給から、人件費を算出します。高い技術力を持つスタッフが施術を行う場合、その技術に見合った価格設定を行いましょう。
    ※ひとりサロンオーナーさんの場合は、スタッフを雇い入れたことを想定した時給で算出するのが良いです。

  3. テナント料
    サロンの家賃や光熱費などの固定費も考慮に入れます。施術ごとの単価にどの程度のテナント料が含まれるかを計算し、メニュー価格に反映させます。

4. 適正価格を見つけるためのポイント

  • 利益シミュレーション
    設定した価格で、月間の施術数をシミュレーションし、実際に目標の利益が確保できるか確認しましょう。

  • 価格の見直し
    市場や経費の変動に合わせて、定期的に価格の見直しを行うことも重要です。値上げが必要な場合は、理由を明確にし、お客様に納得してもらうための工夫が求められます。

5.高額な美容機器の費用の計算方法

2通りの考え方があると思いますので、その二つを紹介致します。

1.テナント料(固定費)として

高額な美容機器は一度にたくさんのお金がかかるので、「設備投資(せつびとうし)」として考えます。これを一度に原価に入れてしまうと、メニューの値段がとても高くなってしまうので、「減価償却費(げんかしょうきゃくひ)」として少しずつ計算します。

どこに含めるか?

高額な美容機器の費用は、「人件費」や「商材費」ではなく、「テナント料や固定費の一部」として計算すると良いです。具体的には以下の方法で考えます。

計算の仕方

  1. 機器の寿命(使える年数)を考える
    例えば、美容機器が5年間使えるとします。

  2. 購入価格を寿命で割る
    もし、美容機器が50万円なら、「50万円 ÷ 5年 = 10万円」となり、1年あたり10万円の費用になります。

  3. 1年間の施術回数で割る
    1年で200回の施術を行う場合、「10万円 ÷ 200回 = 500円」となり、1回あたり500円が機器の費用です。

どうやってメニューに入れる?

このように計算した金額を、施術メニューの価格に少しずつ含めます。例えば、先ほどの計算で1回あたり500円の費用がかかるとわかったので、その分をメニューの値段に入れて調整します。

まとめ

  • 美容機器は「テナント料や固定費」に含めて少しずつ計算する。

  • 寿命に合わせて年間の費用を出し、施術回数で割って1回あたりの費用を決める。

  • その費用をメニューの価格に加える。

こうすることで、高額な美容機器の費用も無理なくカバーしながら、適切な価格設定ができます。

2.高額な美容機器を粗利益に含める考え方

高額な美容機器を「粗利益」の部分に含める考え方は、集客やサービスの価値向上という観点から非常に有効なアプローチになります。この方法では、美容機器を直接コストとして考えるのではなく、売上に貢献する投資として捉え、粗利益の中で調整していく形になります。以下にその考え方の詳細を説明します。

1. 高額な美容機器の役割
高額な美容機器は、施術の質を高めたり、他店との差別化を図るための重要なアイテムです。そのため、単にコストとして扱うのではなく、集客やリピーター獲得のための投資と考えることができます。

2. 粗利益に含める理由
美容機器の費用を粗利益の一部として扱うことで、以下のようなメリットがあります。

  • 価値を重視した価格設定:機器の費用を原価に含めることで、施術自体の価格が高くなると、お客さんにとって「高い」と感じられることがあります。しかし、機器を集客ツールとして見なすことで、施術そのものの価値を強調できます。

  • 柔軟な価格設定:粗利益の中で機器のコストを吸収する形にすることで、施術の価格に直接反映させる必要がなくなり、価格設定が柔軟にできます。

3. 計算方法の例
例えば、機器が年間50万円の投資だとします。この機器によって来店する新規客が増えると見込まれる場合、この50万円は直接施術の価格に反映せず、年間の売上目標に応じて粗利益として管理します。

  1. 売上目標の設定
    高額機器による集客効果で、年間1,000万円の売上を目指すと設定します。

  2. 粗利益率の調整
    売上に対して、必要な粗利益率を確保する中で、50万円の機器費用を吸収します。たとえば、粗利益率が50%の場合、「1000万円 × 20% = 200万円」が粗利益になります。この200万円の中から機器の費用を賄います。

  3. 利益を見ながら再投資
    機器の費用は集客効果を生む投資と考え、実際に得た利益から再投資するサイクルを作ります。

4. 実際の運用ポイント

  • 効果測定:機器導入後の集客効果をしっかりと測定し、費用対効果が得られているか確認します。

  • 価格と価値のバランス:機器導入で提供するサービスの価値をお客様に明確に伝え、適切な価格に納得してもらう工夫を行います。

まとめ

高額な美容機器を粗利益に含めることで、価格設定の柔軟性を保ちながら集客力を高めることができます。この方法は、長期的な投資視点でサロンの成長を目指す際に有効です。お客様により高い価値を提供しながら、利益を確保するための戦略的な価格設定として活用してみてください。

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