別れのパエリアと、お礼のおかき(エッセイ)
今年も8月の処暑が過ぎた。
少しは、涼しくなるかと思われたが、予想を裏切り、夏の暑さがぶり返した。 あまりにも、暑い❗️
朝から、部屋の温度は、30℃越えである。 私は、なるべく午前中は、冷房をつけないようにしている。(冷え性と、電気代節約)
外出して、夕方に汗だくで帰ると、友人から残暑見舞いの葉書が
届いた。8月初めに、私が暑中見舞いを出したので、そのお返事だった。
「夏の風物詩、パティからのお便り、来た❗️来た❗️ありがとう。」
と冒頭の文で、
「LINEは便利だけど、 おハガキって感動だよね。」と最後に書かれていた。
実は、この友人もメールやライン交換をしていない。
(家の電話は、既知) だから、
葉書を時折、送っている。筆マメな人で、大抵返事をくれる。
友人は、10年以上前に、結婚して、旦那さまと共に、海外へ
引っ越しする事になった。
その引っ越し前に、彼女は、
自宅に友人数人を招待して、
「皆に、今回のお別れと、今までのお礼に、私たちの手作りの、料理でおもてなししたいと思います。よろしければ、ぜひお出でください。」と書かれた、手書きの招待状をもらった。(郵便で)
この友人は、結婚式もあるオルゴール博物館❗を貸し切りにして、
旦那さまと2人で企画するような人だった。結婚式当日は、彼女は、
お母さん手製の、ウェディングドレスを着て、本人とお姉さん手製のウェディングケーキを、会場に持ち込み、招待客全員で食べた思い出がある。
とにかく、マメな人である。そして、美人だ(と、私は思う)。
ここまで読んで、女の子らしい人だなあと、思われる人も多いと思うが、彼女は、バスケ部❗だった。スポーツも好きで、上手だった。(体育系の、私の友人?だから)
私とちがうのは、マメで料理が好きなところだ。
後日、春のうららかな午後に、
友人の家へ出かけた。
初めて、友人の新居に行くので、
駅まで迎えに来てくれた。
「待ってたよ。さあ、うちへ行こうか。」と、笑顔で言われた。
彼女の結婚式から、しばらく
会ってなかったので、久しぶりの再会だった。
少し広めの、フローリングのリビングにフカフカの絨毯が敷いてあり、長い机の上に、いくつかのお皿とティーセットが置いてあった。 もう、私以外の、彼女の友人が数人、到着して待っていた。
実は、皆、小中学校が同じの、
同級生である。 皆とも、再会❗の場になったなあと、私は、内心、感激していた。
友人は、隣のキッチンから、巨大な大皿に山盛りになった、海鮮たっぷりのパエリアを運んできた。
「朝から、2人で一生懸命作ったんだよ」「皆に、食べてもらいたかったんだ。たくさん、食べてね。」 旦那さまも同席して、
「みなさん、食べてください。」
とすすめてくれた。
カレー味で、エビやホタテや、野菜なども少し入っていて、あまり辛くなく、とても美味しかった❗。 私も招待された、友人たちも、皆、手土産に洋菓子などを持ってきて、食後に、皆で紅茶と
一緒にたべた。
辛いものの後に、甘いもの。
最高❗の組み合わせである。
食べながら、昔の、小中学校時代の話、今の仕事の話、好きな趣味など、話題は尽きなかった。
ちなみに、招待客は、全員女子で、旦那さまが一人男子、だったが、全く違和感がなかった。
夕方になり、お開きとなり、友人は、旦那さまと2人で、駅まで、
皆のお見送りをしてくれた。
遠方から来た、ある友人には、
地元特産のお菓子を手土産に渡していた。(私も、他の友人も比較的、近郊)
「今日は、皆来てくれてありがとう。海外へ行っても、元気でがんばるね。皆のこと、忘れないよ。」と、友人は、最後にまた笑顔で話していた。
私こそ、ありがとうと伝えたかったが、なにか、最後?なのかと思うと少しさびしかったし、照れ臭いなあと、思ったので、私は、
「元気で、がんばってね。また会おうね。」と、別れ際に手を振り、伝えた。
数年後、彼女は、旦那さまと共に、帰国した。今度は、
彼女の子供たち3人と、5人家族での帰国だった。
子供たちの誕生は、知っていたので、(年賀状で)、
「日本に落ち着きました。」と、文面にあったので、私は、
友人の子供たちに、何か贈りものをしようと思いついた。
あのパエリアの、お礼も兼ねて。
(遅いけど)
子供たちは、当時、3人が幼児や小学生だったので、絵本が良いなと思い、選び、クリスマスカードを同封して、イブに送った。
絵本は、島田ゆかさんの、
「バムとケロのおかいもの」
(文溪堂)にした。
犬のバムと、カエルのケロちゃんの、カラフルで楽しい絵と、愉快なお話の絵本である。
私は、この絵本が好き過ぎて、自分用に1冊買い、別の友人にも、
プレゼントしたくらいである。
(その友人も、女の子のお母さん)
彼女は、クリスマスの次の日に、
すぐにお礼の電話をくれた。
「サプライズの、プレゼント、ありがとう。子供たちと一緒に、楽しんで見てます。」と伝えてくれた。
彼女が喜んでくれて、良かったと、ホントに思った。
そして、新年明けたある日、
私の家に、「おかき」が届いた。
彼女からだった。
「絵本のお礼です」との、
メッセージ付きだった。
いろんな種類が小分けに袋に、入った、上品な味のおかきセットだった。 私は、すぐに電話でお礼を伝えた。
「おいしいおかき、ありがとう。味わって、食べるね。」
私は、人との想い出に食べ物の、場面が印象的に残る。後は、
自分の好きな本だ。
友人として、彼女に会えたことを
ささやかな幸せの1つだと想う。
最後に、人の温かさが伝わる歌を。
ただ 気をつけてと伝え
帰りを待ちわびてた
あなたの優しさには
もう 用はない わがままだけ
聞かせて 夢や生きがいって
馬鹿でかい 絵空事の中
あなたがいなくちゃ
何もないのと同じ
「ただいま おかえり」
のくだりが やけに響く
(Official髭男dism🎵Sharon)
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