対人関係のパターンは変えられる〜なぜDV夫を選んでしまうのか
こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※じっくり読むと4分ほどかかります。お時間ない方は要点だけでもお読みいただけたら嬉しいです。
今回はなぜDV夫を選んでしまうのか、というテーマで実際のケースも交えながらお伝えしていこうと思います(個人の特定に繋がらないよう、詳細は伏せてお伝えしていきます)。
とある通院中のAさん。旦那さんのDVが原因で離婚し、その後別の相手と再婚したものの、その再婚相手も実はDV夫であるということが再婚後に判明したのです。よくある話、と言ったら語弊はありますが、実際同じような方は少なくないと思います。
なぜ意図せずして一度ならず二度までもDV夫を選んでしまうのか?その理由には幼少期の母親との関わり、愛着形成によるところがあると思っています。
「大人の愛着障害」、愛着障害というと狭義には子供の状態を指しますが、子供の頃に母親との愛着形成が上手くいかず、そのまま大人になり対人関係に問題がでてくる、こういったケースを「大人の愛着障害」と言ったりします。
愛着障害に関しては、YouTuberの益田先生がよく仰っている「新雪の丘」の例えがとてもわかりやすいです。真っさらな雪山(赤ちゃんの脳)にソリを滑らせると跡がつき、次も同じようなコースを辿って滑ることになります。生まれてから初めて接した人、母親との関係性、接し方と同じような道を、他の人との関係性でも反復していくのです。
愛着障害の最たる例は虐待(ネグレクト含む)ですが、他にもアンビバレント型と言って、子供の要求に応えるかどうかが母親都合で一貫せず、そのため子供は母親の愛情をとどめておくために懸命になります。幼少期にこう言った母親との関係性が続くと、大人になってから、他人が自分を完全に愛することはないのではないか?と疑心暗鬼に陥るのです。
そしてこういった「大人の愛着障害」の方々がパートナーとして選んでしまう傾向にある相手こそDV夫なのです。DV夫の特徴として、自己愛が強い(もしくは自己愛性パーソナリティー障害)傾向があり、こういった人たちは外面や世間体を気にするため一見外交的で魅力的に見えますが、
恋人や配偶者といった近い関係になると、相手を支配することで関係性を築こうとするのです。また言葉巧みに、時には直接的な愛情表現をする方も多く、まさに幼少期から愛着が揺らいでいたような方がパートナーに選んでしまうような対象なのです。
おわりに。今回お伝えしたのはあくまで一例で、幼少期から両親の愛情をたくさん受けてきた方の中にも夫のDV等で苦しんでいる方もいるかと思います。
毎回私の記事では特に当事者様からすると現状や問題点を認識できる一方で、どうしようもないという思いを抱かれる方も少なくないと思っています。
ただ今回の大人の愛着障害に関しては、ある程度修正できるものとも言われています。自分が最初に身に着けた愛着がどんなタイプかを理解・認識し、修正して別のタイプに作り直せるのです。他人の意見や行動に翻弄されず、「私はこれでいい、あなたもそれでいい」と一人でも多くの方が思えるようになれればと願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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