本交渉の結果について
PLUMは2月14日福岡県教育委員会と本交渉を行いました。
結論としては、思い描いていた「交渉」とは程遠い内容でした。ただ、交渉の中で今まで曖昧だった部活動顧問の働き方について県教委がはっきりと明言した部分もありました。
順を追って説明していきたいと思います。
この記事を既にご覧頂いている方・時間がない方は「福岡県教委の回答」からご覧ください。
PLUMの要求内容
以下の1~6がPLUMの要求書の内容です。
1.福岡県運動部活動の在り方に関する指針(以下「指針」という。)の1.(3)アにある通り、週末は少なくとも一日以上の休養日を設定しているのか教職員の勤務時間の実態を確認するため、県内の状況を明らかにすること。
2. 指針において、朝練に関する記載がない。県教育委員会は朝練の禁止を指針に盛り込むこと。
3.指針には、部活動指導における顧問の立ち会いが必要であると受け取れる記述があるが、給特法の下、勤務時間外の部活動指導は自主的・自発的勤務と整理せざるを得ない状況下でこの記述は不適切である。削除すること。記述を削除しない場合、勤務時間外に顧問立ち会いのもとで行われる部活動指導は職務命令によるものと認め、勤務時間の割振り変更の対象とすること。
4.部活動指導の命令や委嘱について、表1〈勤務時間内に部活動指導を適法に命じるための条件〉および表2〈部活動指導の委嘱・お願いが強制に該当しないための条件〉の通りであると認め、県立学校の教職員および市町村教育委員会に周知すること。
5. 県内(政令指定都市を含む)すべての部活動の活動時間について、県が今まで行ったすべての調査結果をインターネット上に速やかに公開すること。
6.部活動ガイドラインを公表・策定していない市町村について調査し、早急にガイドラインを策定させインターネット上に速やかに公開させること。
以下要求内容に対する福岡県教委の回答である。
福岡県教委の回答
1.福岡県運動部活動の在り方に関する指針(以下「指針」という。)の1.(3)アにある通り、週末は少なくとも一日以上の休養日を設定しているのか教職員の勤務時間の実態を確認するため、県内の状況を明らかにすること。
・県の回答
休養日の設定状況の公表は管理運営事項であるためできない。また、交渉内容は職員の勤務条件に直接的に影響を及ぼすとは考えていない。
・情報提供 年2回、運動部活動における休養日の設定状況を調査している。現時点で公表は考えていない。
2. 指針において、朝練に関する記載がない。県教育委員会は朝練の禁止を指針に盛り込むこと。
・県の回答
管理運営事項であるので交渉対象ではない。
・情報提供
本指針は平成30年の国のガイドラインを元に作った。本指針には朝練は記載がないため福岡県も同様の対応をしている。
3.指針には、部活動指導における顧問の立ち会いが必要であると受け取れる記述があるが、給特法の下、勤務時間外の部活動指導は自主的・自発的勤務と整理せざるを得ない状況下でこの記述は不適切である。削除すること。記述を削除しない場合、勤務時間外に顧問立ち会いのもとで行われる部活動指導は職務命令によるものと認め、勤務時間の割振り変更の対象とすること。
・県の回答
前段の「~削除すること」までは管理運営事項にあたるため交渉事項ではない。後段は交渉対象である。
・県の見解
生徒の健康・安全確保に配慮する必要があることから指針には顧問等の立会の必要性を記述している。給特法により、いわゆる超勤4項目を除き公立学校の教育職員に対して勤務時間外の業務を命じることはできないため、勤務時間外における部活動指導は割り振り変更の対象にはならない。
4.部活動指導の命令や委嘱について、表1〈勤務時間内に部活動指導を適法に命じるための条件〉および表2〈部活動指導の委嘱・お願いが強制に該当しないための条件〉の通りであると認め、県立学校の教職員および市町村教育委員会に周知すること。
・県の回答
○表1について部活動顧問を命令するのは「職務命令や校務分掌に関する事項」であり、管理運営事項なので表1は交渉事項ではない。
○表2について「職務命令や校務分掌に関する事項」、「勤務成績の評定制度の実施に関する事項」「職員の配置転換などの具体的な任命権に関する事項」なので表2は交渉事項ではない
・県の見解
法令上勤務時間の部活動指導を命じることはできないため、割り振り変更の対象とはならない。ただし、勤務条件にも部活動指導を長時間従事している実態は把握している。実態に鑑み県教育委員会は自主的自発的業務と整理される業務も含めた時間外における在校時間を把握し個々の教員の負担が過重にならないよう、校長の権限と責任により、業務分担の平準化などの業務マネジメントを適切に行うよう各県立学校を指導しており、市町村立学校においても同様の取り組みを促している。
さらに部活動指導に伴う負担軽減に関しては部活動指導員の配置や部活動休養日の徹底等に加え将来の地域以降に向けた検討を行っている。こうした取り組みを通して部活と部活動指導に伴う教員の負担軽減を図っていく。
5. 県内(政令指定都市を含む)すべての部活動の活動時間について、県が今まで行ったすべての調査結果をインターネット上に速やかに公開すること。
・県の回答
勤務条件出ないことは明らかである。交渉事項ではない
・情報提供
休養日の設定状況に関する調査の対象は県立学校のみで行っているものある。調査結果は各県立学校及び県教育委員会において把握できていることから現時点では公開することは考えていない
6.部活動ガイドラインを公表・策定していない市町村について調査し、早急にガイドラインを策定させインターネット上に速やかに公開させること。
・県の回答
市町村にガイドラインを策定させ、公表させる権限はない。また、ガイドラインの調査は管理運営事項であるため、交渉事項ではない。
・情報提供
平成30年県がガイドラインを策定した際、市町村教育委員会にお願いしており、策定した際には報告をお願いしている。令和3年10月には県内全てで策定が完了している。公開は市町村に権限がある。
福岡県教委の対応
県側はPLUMの要求書に対してほとんどすべての事項を管理運営事項であるため交渉の対象でないと一蹴し、一方的に県側の見解を述べた。
ならばと要求内容から少し譲歩した内容で交渉しようとしても「交渉の対象ではないので応じることはできない」の一点張りであった。
今後福岡県教委と交渉する際は「交渉」という言葉の意味から議論する必要がありそうだ。
今回の成果
今回の一番の成果としては要求書3番目の回答である「生徒の健康・安全確保に配慮する必要があることから指針には顧問等の立会の必要性を記述している。給特法により、いわゆる超勤4項目を除き公立学校の教育職員に対して勤務時間外の業務を命じることはできないため、勤務時間外における部活動指導は割り振り変更の対象にはならない。」である。
これはつまり、勤務時間中は部活動顧問の立会を必要としているが、勤務時間外の顧問業務は命令では無いということだ。
今まで曖昧だった部活動顧問の時間外勤務が命令では無いということを福岡県教委が明言したことは称賛に値する。
また、この発言からは勤務時間外は命令下ではないため、勤務時間外の部活指導中に不慮の事故が発生した場合は顧問個人の責任になる可能性があるということも推察できる。
県内で働く教職員としてはその旨もガイドラインにも書いておいて欲しかった。
今後の方針
第一に現場の顧問拒否をサポートすることを中心に据えている。
県教委との交渉時には予備交渉で交渉のあり方から詰めないと交渉できないということが今回の交渉でわかったので、今後は予備交渉にさらに力を入れたいと思う。
また、議員と繋がれば間接的に制度を変えたり、作ったりできるなと思い始めた。市議会議員や県議会議員と繋がりも作っていきたい。
ぜひこれを見ている福岡県内の議員さんDMください。
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