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「昆虫MANIAC」に行ってきました。

上野の国立科学博物館で開催中の特別展「昆虫MANIAC」に行ってきました。

私は虫なら何でもWelcome!ってわけでは決してありませんが、子供の頃から虫が好きでした。

特に好きだったのがダンゴムシ。

外からの刺激に反応して見事な球体になるのが面白くて、毎日のように庭にいるダンゴムシを捕まえ、手のひらに乗せて遊んでいました。ダンゴムシにしてみればさぞかし迷惑だったろうなと思います。

さてさて、「昆虫MANIAC」です。
ここからは虫(標本)の写真のオンパレードなので、苦手な方はどうかスルーをm(_ _)m


まず、前提として昆虫類は種類がべらぼうに多い!
そして体の大きさは他と比べ遥かにミニサイズ。

種数は実に100万種以上
未確認のものもまだまだいます。

ちなみに我々を含む哺乳類は6631種(2023年)です。
昆虫類は、脊椎動物(哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類)を合わせた種数の約14倍もいます。

メインとなる展示は、大きく5つのゾーン
1 トンボ
2 ハチ
3 チョウ
4 クモ
5 カブトムシ
に分けられています。

最初のトンボエリアでは、トンボ以外にもバッタやセミなど不完全変態昆虫(サナギの時期がない)の謎に迫ります。

面白かったのは「擬態」。

ナナフシの仲間は「隠蔽擬態」のプロだそうな。
隠蔽擬態は、周りの植物などに体を似せ、襲ってくる相手に見つからないようにする擬態です。

コノハムシの色使い、ほんと葉っぱそっくりでため息ものです。

こちらはカマキリの攻撃擬態。
攻撃擬態はこれから食べるために襲おうとする相手に気づかれないようにする擬態です。「羊の皮を被った狼」と喩えられることもあるとか。

ただ、隠蔽擬態か攻撃擬態か判断が難しい場合もあるそうです。いずれにしても、見つけにくく、見つかりにくいんですね。

右上のバイオリンカマキリ、よくまぁそんな形になったね、という感じです。

前に私が記事にしたことのあるハルゼミがいました(左上)。

セミといえば、
2024年はアメリカのイリノイ州で素数ゼミが大発生した年でもあります。
素数ゼミとは13年周期で大発生する「ジュウサンネンゼミ」と17年周期で大発生する「ジュウシチネンゼミ」のことです。前者は4種、後者は3種います。それぞれ地理的に重ならない地域で棲み分けをしており、集団ごとに大発生の年が違うそう。

今年、地理的に近い場所で発生予定のジュウサンネンゼミとジュウシチネンゼミの集団がいたのがイリノイ州付近でした。この2つの集団、前に発生がかち合ったのが1803年。それから221年後(13と17の最小公倍数)の今年2024年、再び両者の発生がぶつかる年がやってきたというわけです。

ジュウサンネンゼミ
ジュウシチネンゼミ

その数数十億(1兆匹とも)!
取材班は今年5月の終わりからイリノイ州シカゴに入り調査したそう。
そのときの映像も流れていました。

ところで、今年はまだヒグラシの声を聞いていないなぁ。


続いてはハチ🐝です。

ハチ🐝とハエ🪰の違い、ご存知でしょうか。分類上もハチ目とハエ目で分かれていますが、大きな違いは翅の数だそう。ハチは4枚、ハエは2枚です。
そして意外なことに、アリ🐜はハチ🐝の仲間です(ハチ目アリ科)。


その名もパンダアリ🐼。もふもふした頭部のせいか、やけに3頭身が目立ちます。アリのような見た目ですが、翅を持たないハチ🐝(アリバチ)です。ややこしい。

仰天したのがこちら。地下に広がるアリのスーパーコロニー。
北海道のエゾアカヤマアリは10km、アルゼンチンアリに至っては、イタリアからポルトガルの地中海〜大西洋沿岸の約6000kmにも及ぶものがあるそう。

調べた人たちもすごいです。

もう一つ驚いたのが、約15万種いるハチの仲間は半数以上が「寄生バチ」なんだそう。寄生相手に卵を産みつけ、孵化した幼虫は寄主から栄養を摂ります。中にはウイルスも一緒に送り込み、寄主の免疫を操作して排除されないようにするものもいるとか。

続きまして、華麗なチョウ🦋

このエリアはとにかく美しかった!

ちなみに、チョウとガの違いは止まる時に翅が開くか閉じるか、活動時間(昼と夜)などがありますが、例外が必ず存在し、バシッとした明確な基準はないそうです。
日本ではチョウとガ合わせて6500種以上が知られています。そのうちチョウは250種ほどで、ガの方が圧倒的に多いそう。

右下はサツマニシキというガです。
どれも美しすぎて、しばし見惚れました。

こちらはタナバタユカタヤガ。粋な柄ですね〜
まるでモダンアートのよう。

アルファベットのAみたいな模様も面白いですね。

3段とも全部ガです。
中段、いちばん大きなガは「ヨナグニサン」。
与那国さん?どなた?
ではなく、与那国蚕。
世界で2番目に大きい蛾だそう。
こんなでっかいのが飛んできたらウギャー😱って腰抜かしそう。

嫌われがちのガですが、よく見るとみな美しい

ここからはチョウです。
タテハチョウ科の面々。

アゲハチョウ科

ミイロシジミタテハ。
シジミタテハ科は日本にはいませんが、南米に多く生息し、ミイロシジミタテハのように美しいものが多いそう。


ここからはクモ🕷️なのですが、私がクモ苦手で写真がほとんどないのです(笑)。大切な生き物仲間なのにごめんなさい、クモ。

こちらはオオナガトゲグモという、すごく硬そうなトゲを持つクモの大きな模型。東南アジアなどに生息しています。

巣に引っかかり、食べられるムシの気持ちになれます



最後は昆虫界の花形、カブトムシです。

カブトムシはコウチュウ目(甲虫)。コウチュウ目は世界で約35万種が知られており、全昆虫の約4割を占めるそう。食性や生息環境、大きさも様々で、世界中で繁栄している生き物です。

小さなものから大きなものまで

甲虫の見事なコレクションも多数展示されていました。
ハネカクシコレクション。

よく「玉虫色」と表現されますが、甲虫の特徴としてその発色の美しさがあげられます。

発色の仕組みとして、メラニンなどの色素による「色素色」と、表面のごくごく細かな構造によって光の反射具合が異なることによる「構造色」があるそうです。構造色にはさらにいろいろなメカニズムがあるそうですが、専門的すぎてよくわかりませんでした。


なんじゃこりゃ〜
となった標本。
上はニジイロクワガタ、キンイロクワガタの仲間。
下はプラチナコガネの仲間です。
「多層膜干渉」という構造色だそうです。

ISSEY MIYAKEのBAOBAOシリーズみたい。

こんな見た目だと捕食者に狙われやすいんじゃないかとか、密猟されるんじゃないかと心配になります。

「フォトニック結晶」と呼ばれる構造色を持つ、ホウセキゾウムシです。ほんと、動く宝石ですね。ニューギニアなどに生息するそう。


こちら、一般には無名ですが、研究者たちには密かに注目されている甲虫だとか。甲虫とひとことで言ってもカブトムシのような王者の風格すら漂う人気者から彼らのような存在までいて、格差が激しいみたいです(笑)。

上から2段目はシロアリの巣に同居するというシロアリカクマグソコガネ。その形から研究者の間では「どーもくん」(NHKのキャラ)と呼ばれているそう。

実物は写真の横のちっちゃい子です。
下の段の子たちも丸っこくてかわいい。
その名もマンマルコガネ


『風の谷のナウシカ』に出てきそうな大きさのムシの模型。
オオセンチコガネです。
背後に牛がいるのは、彼らが牛や馬などの大動物の糞を食べるからです。

絵本作家であり、コガネムシ研究者でもある舘野 鴻(たての ひろし)さんの絵本『うんこ虫を追え』ができるまでの特集コーナーもありました。
面白そうだったので、帰宅後に絵本買いました。


コガネムシの仲間(写真に写っているのは糞虫)、よく見るとみんな丸っこくてかわいいんです。

丸は最強のフォルムですね。


日本国内で見られるようになった「外来種」たち。
害虫と呼ばれる虫も。


最後は博士たちがキラキラした目でお見送り。
ど根性ガエルやねんも一緒に。
1階の展示室の最初と最後の方に巨大なスクリーンがあり、ど根性ガエルやねんのショートコントが流れていました。結構面白くて、笑いました 笑

ムシマニアの博士たちですが、全てのムシを愛するというわけではなく、やはりそれぞれに苦手なムシがいるそうです。チョウチョの鱗粉無理〜!とか。

図録も購入しました。この図録、今までに見たことがないほど文字が多く、詳しい内容盛りだくさんでした。もちろん美しい写真もたくさんです!

表紙も凝っています。

番外編

特別展を見た後、日本館の展示を見ました。
日本館の名の通り、日本にまつわる自然科学の展示がメインとなっています。

日本館で見たかったのがこちら。
第一次越冬隊の時に南極に取り残され、奇跡的に生き残っていた樺太犬のジロの剝製です(上段右がジロ)。ちなみにタロの剝製は北海道にいます。
下段の白い犬はハチ公です。
タロとジロの本には小グマのようだったと書いてありましたが、本当にクマみたいでした。

ジロの隣は甲斐犬

タロとジロについては前に記事にしました。

タロとジロについては何冊も本が出たり、映画も作られ、様々な意見や批判もあります。

その中には「肉食性の外来種」である犬を南極に持ち込んだことに対する批判もあります(犬たちは無防備なペンギンを襲ってしまいました。今では南極への動植物の持ち込みは禁止されています)。

こちらも日本館の展示。
奄美諸島でハブを駆除するために導入したマングースが、肝心のハブではなくアマミノクロウサギを捕食するようになってしまったそうです。

現在は駆除によりマングースはいなくなっているそうですが、いずれにしても原因は連れてきた人間にあって、犬やマングースは生き物として当然のことをしただけです。

地球環境や生態系は絶えず変化していくもので、ずっと同じであることはあり得ません。昆虫展でも外来種についてのコーナーがありましたが、近年の人間活動がその変化をすごい勢いで加速させていることは確かです。

長くなるのであれこれ書きませんが、以前外来種に関する本を読んで記事にしたことがあります。


重い話になりましたが、気を取り直しまして。

フタバスズキリュウの骨格標本!
子供の頃大好きだった映画、『ドラえもん のび太の恐竜』に登場していたピー助ですね。

白状しますが、恥ずかしながらワタクシ、フタバスズキリュウって他の恐竜と同じく地上をのっしのっし歩いていたのかと思っていました(映画の記憶も曖昧で)。
しかし、腹部や足を見るとどう見てもカメみたいにしか見えません。
それもそのはず、フタバスズキリュウは海生の爬虫類(首長竜)で、体の特徴は恐竜とは異なります。彼らは海中をスイスイ泳いでいたのです。


日本館は建築も見どころの一つです。ネオルネサンス様式の建物で、内部は細かいところまで凝った装飾が美しく、特にステンドグラスのデザインと色使いは必見です。

鳳凰
色違いの鳳凰
植物モチーフ
光がさすと本当にきれい


地球館へ移動しました。

こちら、マレーシアの熱帯林にある高さ50mの1本の木に生息する昆虫とクモたちです。
約1700種、数は約12000匹だそう。
すごい数!
森全体ではどれだけの昆虫がいるのでしょうか。哺乳類などさらにもっと大きな生き物たち、もっと小さな菌類や土壌微生物も含めためちゃくちゃすごい生態系が存在していることが想像できます。熱帯林に限った話ではありませんが。
こういう展示があると、森林が失われていくことの重大性を考えさせられます。

この調査はフォギングという手法で行われたそう。フォギングとは、霧状にした殺虫剤を樹冠に向けて噴霧し、落ちてきた虫をネットで受け止める方法のこと。一度フォギングをするとどれくらいで生態系が復活するんだろう。

地球館の屋上にハーブガーデンとスカイデッキがあるそうなので行ってみることに。
行ってみると、、、とにかく暑い。40℃くらいありそう。日傘をさしていても焦げそうだったので早々に退散。

デッキからは上野駅やスカイツリーが見えます。

帰りに上野駅のホームから見上げたらこのスカイデッキがよく見えました。

最後に売店で国立科学博物館が発行している情報誌milsilミルシルを購入しました。「冬眠」特集です。
ハムスター、クマ、コウモリ、シマリスの冬眠について書いてありましたが、冬眠についてはまだよくわかっていないことが多いそう。

昼も食べずに5時間歩き回り、へとへとに。
でも「昆虫マニアック」展、かなり面白かったです。
こんなに小さな生き物たちが同じ地球の上で生きている。
彼らの逞しく、美しく、驚きに満ちた生き方を垣間見ることができました。

あと、虫が苦手な人が多いからなのか?
ど根性ガエルやねんのショートコントを取り入れたり、アンガールズのお二人が公式サポーターになっていて(山根さんは番組ロケ中に新種の昆虫を発見したそう)、音声ガイドの最後に収録された二人の掛け合いが面白く、随所に笑いも取り入れた楽しい展示になっていました。

次回の特別展は「鳥」です。
行ってみよう!


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