「君たちはどう生きるか」感想、考察
公開からかなり経ってようやく観ました。
他の人の考察をほとんど見ずに僕が思った感想と解釈書いていきます。ネタバレすごくしてます。
なんで眞人はケンカで負けた後、頭を石で傷つけた?
眞人は大叔父に「これは悪意だ」と言った。
では、誰に対する悪意?
父かな?
このケンカの時点での眞人にとっての主要人物は父くらいしかいないと思われる。ナツコさんは出会って数日、悪意を抱くような相手ではないと思う。
金持ちアピールのせいで酷い目にあったんだぞと。
だけど、父は何がダメだったかじゃなくて「やった相手は誰だ」と仕返しを考えていて、前を向いている。なんか違う。ってなってそう。
眞人がナツコと初対面の日もそのまま仕事に行くし。
悪い意味で前向きすぎる父という印象。
どうして父の好きな人としか表現しないのに、ナツコさんを必死に連れ帰ろうとするのか。
ナツコは赤子が生まれるの嬉しい。
眞人は母を好きだったから面白くない。
まだ、前を向けていない。
ナツコに対して無口で冷たい態度をとってしまう。
ナツコも眞人がそうだったように、何か声に導かれて塔へ行ったんだろう。
「眞人に母として認識してもらうには」とか
「眞人には私はいない方がいいとか」
眞人はナツコに対して戸惑いの気持ちはあるが、いない方がいいとかそこまでのことと思っておらず、いなくなったことに少し責任を感じている。
で、探しに行くってわけ。眞人は好奇心ある方だと思うし、キリリとした顔して少しワクワクしてると思う。
ナツコはそんなにお腹出てなかったし、まだ妊娠初期だと思う。つわりもあったし。産屋にはいたけどまだ産む時期じゃないと思う。
妊娠初期で産屋にいたのならおろすつもりだったのかもしれない。眞人がまだ前向きになれていないことを感じ、その上赤子まで出来たら眞人にとってよくないと思ったのかもしれない。
ナツコが「大嫌い」とか「なんでここまできてる」とか言ってたのは眞人を危険に合わせなくないから。ナツコは眞人の父から眞人のことは聞いてただろうからもう既に母の気持ちはできてる。眞人からすればまだ会って数日で、誰やねん状態。
その直後に母さんと呼べたのはナツコの母らしい気持ちに母(ヒサコ)の片鱗を感じたから。「ナツコさん」と「母さん」と何度か呼んで最終的に「ナツコかあさん」ってなってる。
悪意と石
なんで夏子は連れ攫われた?眞人を呼ぶため。眞人を地獄の後継者にするため。大叔父の意図はこれ。眞人が上の世界をそんなにいいものと思ってないから大叔父は眞人を選んだのだろうが。
悪意のない世界って言ってた。
でも、たぶん悪意だけじゃなくて善意もない。相手のことを思ってる人はその世界にいたのか?だから人間ではなく鳥が描かれていたのかと思う。でも、キリコさんにはあった。キリコさんはどっから来た人なんだという疑問が生まれるが。
たぶん大叔父が作った世界なんだろ。大叔父が本の読み過ぎで頭がおかしくなって塔に迷い込み、そこにあった世界の権力者になった。その時の条件として悪意のない世界って言ったんじゃないかな。もしもボックス的な感じで。確かにたくさん本を読んでいると人間の悪意などに嫌気がさすときがあるから大叔父の気持ちもわからなくはないが。
塔は降ってきたと言ってたから、またどこかに発生して、誰かの意図で新しい世界(地獄)を作っているかもしれない。
現実は火の海になると大叔父は言った。それでも眞人は現実を選んだ。
金持ちというのでケンカになった。妬みとかいう悪意をどストレートに受けて世界が嫌になった。だけど、自分も悪意を持っていることに気づいた。たぶんその時はカッとなって石で頭を傷つけたかもしれないが、よくよく考えると父を困らせてやろうっていう思いがあったと自覚した。
悪意も善意もないただ生きるために生きているワラワラやペリカン、インコがほとんどの中で、人間という意思を持ったアオサギ、ヒミ、キリコと関わった。相手に対して何かを思う。それが悪いものではないと思えたから上の世界に戻ろうと思ったんじゃないかな。
眞人が人間としてどう生きていくのかを前向きに捉えた作品だった。
余談 火と水
アオサギが言った。母の遺体はみてないだろが回収されていない。
あの世界であったヒミは神隠しにあった頃のヒサコであって、火事の後のヒサコはどうなったんかわからない。炎耐性もこっちの世界でもあるかもしれない。どっかの地獄でまたヒミとして活動してるかもしれない。というちょっとした救い。
火は神聖なもの 鳥を追っ払ったり キリコが念仏を唱えながら使っていたり
水は亡霊のもの 下へ落ちていくとか偽物の母、黒い顔の奴らがいっぱいいたり
みたいなイメージがつけられた。
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