大人になる

大人になることは真に中身まで大人になる必要はなく、必要な時に大人らしく振舞うことができたならそれで大人と社会からみなされると思う。
大人らしくというのは相手に求められたふるまいをするということだ。

生まれてすぐのころ、人間は自分の本能だけで生きているがそれをだんだんと理性で隠していって自分が所属する社会単位(家族、学校など)によって自分のみせかたを変えることを覚える。こうして子供は大人に成長していく。

僕が働くことを始めた当時僕は大人としてふるまうことができない子どもだった。大人の人に怒られたり、自分でもたくさん悩んだり、バイトを転々としたりして、試行錯誤した。

そのうち僕は大人の殻を被った暫定的な大人となった。

ありのままの自分なんて社会に対して出すわけない。
誰にも言えない秘密なんて一つや二つある。
ありのままの自分なんて自分から見たら醜すぎて出せない。
未熟すぎて出せるわけない。

本当に何を考えてるかなんて顔に出すわけにもまして声に出すわけにもいかない。
多分、みんな、いろんな格好つけた服だったり言葉だったりで自分のそういう部分を隠している。

そうして大人になったね、成熟したねと褒められる。
僕がまさしくそういう経過をたどっている。
あまりにもだめな僕をできるだけ隠して建前だけでもまともな大人に見えるように。

本当の自分というのはだれにも見せないで自分の深層心理だけにある存在になっていくのだろうか。
いつの間にか僕の真の中身の部分まで大人の殻に飲み込まれてしまうのが恐ろしく思う。
それが僕が昔思っていた「大人になりたくない」の正体だと思う。


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