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【#1】日本出発

まさか本当に、一年間海外を放浪することになるとは思わなかった。
「一年海外へ旅に行きたい」と一口にいうものの、「面倒さ」、「治安」、「将来の仕事の不安」など、行きたくない理由も多く混じっていた。事実、直前まで中途半端に就職活動をしていた。

『深夜特急』の沢木耕太郎だって、デカルトだって、若い頃に長い旅をしてきたじゃないか、という謎理論によって自分を鼓舞していく。とはいうものの、決め手となったのは渡航ワクチンの相談に病院へ行ったときのことだった。

「なるほど、それじゃ打っていきます?全部終わるの3ヶ月かかるから、早いほうが良いですよ」と言われ、その場で打つことになったのだ。「せっかくワクチンを打ったんだから、行かないのも勿体ないか」という理由をでっちあげ、諸々の要因に背中を押されながら旅にでた、というより出ることになってしまったという方が自然だろうか。

そんな感覚で迎えた出発当日。「本当におれは一年日本に帰ってこないんだな」と、ナイーブな気持ちになる。あまりワクワクしていない。

心配性だから、16:45出発なのに11:00に空港に到着した。
最後の日本食は神座の煮玉子チャーシューメンだ。


本当にうまいよね


Scootの外国人による日本語アナウンスは流暢すぎて、ネイティブには聞き取れなかった

格安航空のScootで、まずは中継地点のシンガポール・チャンギ国際空港へ向かう。ノリノリの音楽が機内に流れる。低評価のレビューもあり、本当に予約が取れているのか、飛行機は落ちないんだろうか、と心配であったが杞憂だった。韓国人の男の子が気圧で耳が痛いと言っていたときに、乗務員が丁寧に空気の抜き方を教えていた。

21:30にシンガポールへ下降していく飛行機の中で、「いよいよマジで外国じゃん!日本じゃねえのか!」とワクワクする。ペットボトルの気圧変化によるへこみがここにきて確認された。こうして一人の無職が空港に降り立った。


開けるとプシュっというよ

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