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排外主義者への対応は適切か
排外主義者(河合悠祐氏)が、家登みろく氏(共産党の運動員)の対応を記録した、この投稿。
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https://x.com/migikatakawai/status/1889440216060142046
少し議論になってますので、私の意見を述べたいと思います。
(追記)
2月23日に、共産党側の候補者(むとう葉子議員)から、説明文の提示がありました。
https://www.mutou-youko.com/
家登みろく氏の行動が、選挙運動とは別に行われたこと、選挙スタッフの当惑など、率直に綴られています。また、前後の様子を記録した動画のリンクもあり(後述、蒲生諒太氏が検証したものと同一と思います)、当日の様子がより明らかとなりました。
「暴行」と言えるか
(別資料により、当初の認識と記述を全面的に改めました)
前述投稿よりも後から出た動画で確認すると、家登みろく氏は相手との口頭での応酬中に自ら相手のスマホをつかんでいます。「不法な有形力の行使」との理解は可能であり、「今のは暴力行為やで」との指摘が「嘘」という私の指摘は不適切でした。
ただし暴行であったとまでは判断できません。また、相手が「ああっ壊れた」「痛い痛い」と言っているのはどう見ても不自然であり、被害を装う芝居ではないかと思います。
まず、丁寧に事実を確認する必要があると思います。「手をかざしただけ」との説明は事実と相違しており、当初それを信じて「暴力行為がなかったことははっきりしている」と断定してしまったのは、軽率でした。引用して論じる側がきちんと確認するべきであり、この件で家登みろく氏の責任に言及するのも不適切であると、スプラ坊主氏の論考が教えてくれました。ありがとうございます。
https://x.com/bulletshower/status/1893660701425909791
(後述、蒲生諒太氏による事実検証は、参考になると思います。)
あの行動は適切か:世論喚起の視点
現にヘイトスピーチが行われている場面であれば、それを止めるための行動が必要です。しかし、問題の場面は、ヘイトスピーチが行われている現場ではなく、家登みろく氏が選挙違反であると指摘されているものでした。
やり取りの中で、相手側(河合悠祐陣営)に詰め寄って、相手側からの通常の音量の応答を、かぶせるように大声で遮る行動、また、相手のスマホを掴んだ行為は、「必要な対応」を超えていると思います。第三者からは、「共産党の人が、わざわざ言いがかりをつけている」としか見えないでしょう。
排外主義者に対して、必要なことは、彼らを論破することではありません。「彼らは間違っている」という世論で包囲することであり、そのために、広く市民に理解してもらうことです。選挙はその大切な一構成です。あの行動が、選挙にネガティブな影響を与えなかったかと懸念します。
ヘイトスピーチは、基本的人権にかかわることなので、仮に自分たちが多数派にならなくても、止めなければいけないし、マイノリティーの人権は守らなければいけません。しかしそれでも、世論に訴え理解を広げることの大切さは変わらないと私は考えます。
あの行動は適切か:防衛の視点
もう一つ、防衛的な視点からも批判されています。「わざわざ切り取られて批判に使われるような行動をした」「手を出したのはこちらの落ち度になりかねない」という指摘です。私もこの主張は、おおむね同意します。かつては、共産党に入党する人は、違法行為をしないのはもちろん、相手に揚げ足を取られるようなことをするな、市民に理解される行動に徹しろ、と教育されたものです。今はしないのでしょうか。
もっともこれは、相手に揚げ足を取られないための「自戒」であって、組織内で認識の共有を図ればよいので、この場でこれ以上の言及はしないでおこうと思います。また、軽率との批判はあっても、それは暴行があったこと、相手側に道理があることを意味しません。ここは特に強調しておきます。
なお、批判している人も、SNSとは別の見えないところで、党に直接に苦言したり意見を上げていることは、付言しておきます。
候補者を巻き込むな
中心になった家登みろく氏は、選挙運動のスタッフではありません。これについては当人が述べています。
あの日は通りかかって、あいつらの排外主義スピーチに腹立って、いきなり参加したので、あの場に誰も知り合いはいなかった。そりゃ党の皆さまも「なんか金髪が来て、その後なんかケンカ始始まった」と思ったらそりゃビックリだよね。私が1人でやったことです。戸田の皆さんには申し訳ないと思ってる。
— 家登みろく@森の座(旧・萬緑) (@miroku_cat) February 12, 2025
実際に、選管から支給される腕章をしていないこと、選挙チームとは別に独自の判断で動いていること(後から止めに入った人もいたが、最初は全く別行動で、むしろ当惑しているのが、動画から見えます)から、選挙チームの指揮下にないことが分かります。要するに「選挙に便乗して何かの宣伝をしてた人」です。
これに対し、河合氏は選挙運動とリンク付けようと、執拗に候補者に迫ります。
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そして、河合氏の狙い通り、候補者を巻き込む人が出てきました。
むとう氏、笑って見てたらあかんやろ!ここは貴女が率先して止めるとこ!
— Canochin (@Canochin1) February 11, 2025
たとえ心の中でもっとやれと思ってても政治家なら止めないと
これだけで政治家の資質皆無
戦争反対の共産党が暴力行為を見て見ぬ振りはダメやろ
自分達の暴力行為はスルーするむとう氏
旗持ちもボーッとしてたらあかんよ
これは、むとう葉子が止めていない所も見ると。むしろ、わざとやらせているのか、最初からそそのかしていたのか、責任が問われますね
— あっ晴れ (@PAPAPA111) February 12, 2025
英雄かどうか知らんが、クズの河合ゆうすけに嫌がらせされた党員をヘラヘラしながら見てた候補者のむとう葉子@youkomuto (今は当選して戸田市議)は、イジメを傍観したのと同じだよね。 https://t.co/1kV8inO0zw
— たいる (@szktailu) February 12, 2025
どこが的外れなの?議員が責任ある行動しろってことだよ。むとう葉子@youkomuto さん、嫌がらせされた党員が立ち向かっているときに、ご自身がヘラヘラ笑って傍観していたことはどう思いますか? https://t.co/H6rhyc5wVH
— たいる (@szktailu) February 13, 2025
繰り返しますが、問題となった場面で河合陣営はヘイトスピーチをしていません。なので「候補者はヘイトスピーチを止めようとしなかった」との批判も失当です。
さらに言うと、これは選挙の実務的な話になりますが、仮に自陣営にトラブルがあっても、候補者は対応しません。他党は知りませんが共産党は選挙運動の現場の責任者は、候補者とは別にいますので、その責任者が対応します。もし、候補者が対応して時間を取られたら、その間の選挙運動に支障をきたしますから、「候補者をトラブルに巻き込ませて選挙運動を妨害する」という嫌がらせが、うまくやれば合法的に、できてしまうのです。運動員は誰かに代われても候補者は代われません。当の候補者(当選して今は議員)も「トラブル対応はスタッフに任せろ」と言われていると思います。
百歩譲って共産党を責めるならまだしも、ここで候補者を責めるのは道理に合わないと思います。
余談:党の利益とは
動画に映っている家登みろく氏の行為は「共産党が損をする」ものとの投稿が、「ヘイトへの対応を党利で判断するのか」と見当違いな批判に晒されています。
これについては、議論の前提が間違っていることを、二つ指摘しておきます。
一つは、あの行動が「ヘイトを止める」ためのものだった、という前提です。
「損になるからヘイトスピーチには反対しないぞ!」 https://t.co/nK0i5FDQjY
— 上原潔 (@UeharaKiyoshi) February 12, 2025
目の前でヘイトスピーチが行われているとき、自分や党の利益だけ考えて行動するのはクズです。ちゃんと対抗言論を発して、相手のビデオに残すべきです。ヘイトスピーチの被害者は、党ではなくマイノリティなのだ。 https://t.co/KqJ4DMMlC5
— C.R.A.C. (@cractyo) February 12, 2025
既に述べたようにあの場面はヘイトスピーチに対抗したものではありません(その中のやり取りで、「お前、日本人じゃないだろ」という発言はありました)。なので「ヘイトスピーチを止めるための行動」は事実誤認です。クズだのと他人を貶める前に、事実をきちんと確認するべきです。
もう一つの間違いは、「党の利益」が、何か利己的な損得勘定みたいに捉えられていることです。
なんや「損」って。貧乏臭さすぎやろ。 https://t.co/y9JlmLuiv0
— 麺屋どうげんぼうず (@nabeyokoDGBZ) February 13, 2025
損をしてでも正義を通すしかない時もあることを共産党(あえて共産党と書く)は知っている。 https://t.co/cndoOngZCY
— 片岡ちとせ🍉🏳️🌈🏳️⚧️日本共産党葛飾区議会議員 (@c_kataokaJCP) February 12, 2025
以下は、共産党員でないと同意できないと思いますが、「党は人民のためにあり、人民の利益に奉仕する」と考えます。それを踏まえれば、ここでの「損」が利己的なものとの理解は、短絡にすぎます。党の利益が正義と別にあるという前提での物言いは、共産党員として未熟だと思います。
(「党の利益が人民の利益」とは、尊大な考えだと思われるかもしれませんが、党員は「そうなるように行動する」という自覚が求められるのです)
どうげんぼうずさんはビジネスをやってますので、「損」という言葉で金勘定を連想してしまったのかもしれませんが、「人民に奉仕する運動を進めるかどうか」という損得もあるのだと、この機会に知っていただきたいです。
さらに別の視点を追記します。これは選挙期間中です。数日間の運動次第で、その後4年間、議会で活動することができるかどうかという重要な時期です。もし、党が大きな「損失」をこうむり議席を失ったらどうなるか。排外主義者が当選し議席を持った今なら、その意味が分かるのではないでしょうか。
追記:蒲生諒太氏による事実検証
立命館大学の研究者の蒲生諒太氏が、今般の件で事実関係の検証をしています。
全体として、家登みろく氏と共産党幹部に厳しい内容となっていますが、事実を詳しく、丁寧に検証しているその価値を損ずるものではありません。努力に敬意を表します。
内容に、いくつか主観と憶測が入っていると思い、コメントします。
●「みろく氏は嬉しそうな声で「おっ、ヘイトスピーチでました!」と叫ぶ」
→確かに、はっきりした声でそれを言ったのは確認できますが、「嬉しそうな」は主観を含む表現だと思います。なお、家登みろく氏は終始はっきりした大きな声を出しています。
●「河合陣営としても、当初この出来事を大々的に発信する気はなかったらしく、選挙終了からしばらく経って映像を公表した。」
→「大々的に発信する気はなかったらしく」の根拠が、時期的なもの以外は示されていません。時期で言えば、2月20日から始まる議会の前にけん制する狙いとも推測でき、「発信する気はなかった」は憶測の域を出ません。
●(背景として示したうち)「日本共産党と暴力との歴史的イメージ」
→ネットだけ見ると大きいかもしれないが、現実に市民が共産党を目にするのは議会活動と街頭宣伝が多く、暴力との結びつきは弱いのではないかと思います(私見)。
●(映像内で家登氏が話している内容が)「論理的な証拠や具体的な政策的根拠に基づいたものではなく、断片的な主張が中心」
→駅頭での宣伝は「通過する人」向けなので、論理性より短さ重視になるのが普通です。そのことをもって妥当性・正当性を問うことはできないと考えます。内容から「選挙応援ではないこと」の傍証ということは可能でしょう。
なお、検証の中で、家登みろく氏の行為について「常軌を逸している」と厳しい評価をしていますが、組織行動の中での挙動を事実として示した上で、自身の評価として述べていることから、不当とまでは言えないと考えます。また、排外主義者への対抗としての評価は、おのずと別の話です。
(2025.02.17 修正。発端の動画とは別の動画・静止画を確認し、記述を改めました。「暴力」ではないとの私の判断に変更はありませんが、暴行であるとの主張が根拠ない言いがかりとは言えないと考え、「嘘」呼ばわりは撤回します)
(2025.02.19 修正。別動画を確認し、「暴行ではない」との断定は改めました。蒲生氏の考察へのコメントを加えました。当人が自身で名乗り出ていることから、「共産党の人」から名前表記に変えました。)
(2025.02.23 追記。共産党の候補者(むとう葉子議員)の説明文が公開されたので、紹介しました。事実の確認について、家登みろく氏の説明責任に言及した部分を削除しました。スプラ坊主氏のすぐれた論考によります。https://x.com/bulletshower/status/1893660701425909791 )