伊岡瞬 代償
本日は表題にある通り、
伊岡瞬の代償を読んだ感想を投稿します。
こちらは母からお勧めされて手にしました。
私と母の読書傾向は似ていて、お勧めしたりされたりしていますが、今回もなかなか面白い本を持ってきてくれました。
私はこの本に出てくる達也という男が、元彼に思えてならなかった…。
去年半年弱くらい付き合っていた(?)男とリンクし、達也の生き様を読み進めながら、やはりあの男とは別れて正解だったと思わざるを得なかった。
達也という男はある意味天才で、他人の心を操り、目には見えない形で人を傷つけ、弄ぶ。
何年も生きているとこういう男に出会うことはままある。
恐らくこれは幼少期に母親からの愛情を受け取れなかった子供か、またはその逆で愛情をかけられすぎた子に多いと思う。
男の子を育てるのは以外にも大変だということだ。
話が脱線したが、伊岡瞬の小説は大どんでん返しがあるタイプではなく、静かにクライマックスへと持っていく。
そして少しの疑問を読者に与えつつ締めくくる。
そう、正直読んでていて気分が良くなるストーリーではなく、読者は最後にスッキリさせてくれるんでしょ?と期待を込めて読んでいくが、読み終わっても爽快感はそこまでない。
この本のレビューは辛辣なものもいくつかあるが、わたしはこれが現実っぽくて好きだ。
圭輔の幼少期から大人になっても意気地のない性格も、現実味がある。
作り話には、幼少期はまるでいじめられっ子だった子が大人になって突然垢抜けて、仕事がデキる男に成長したりするが、そんなふうに成長ができる人間は実際問題数パーセントだろう。
圭輔にイライラするという声も聞こえてくるが、世の中そんなもんだろ、と私は思うのだ。
しかし、達也のような男は俗に言うサイコパスなのだろうが、どうしてこういう男には魅力があるんだろう。
この男に魅力を感じる私も相当に頭がおかしいけれど、実際に達也と会ったら、多分わたしは惹き込まれると思う。
まるで映画を観ているかにように吸い込ませる文書の書き方と進め方、食事中でもつい本を広げてしまうのは本当に久々だった。
そしてこの本をきっかけに伊岡ファンになってゆく。
次は「本性」。
それでは。
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