投球における胸を張る事の重要性
胸を張る動きは専門用語では最大外旋角度と言われています
そして、よく論文ではMERと記載されています
1. MERとは何か?
MERとは、投球動作の際に肩関節がどれだけ外旋するか、すなわち上腕がどれだけ後方にねじれるかを示す角度です。
これは投手がリリースする直前の「コッキング」フェーズにおいて観察されます。
大きなMERは、肩関節が極限まで外旋されることを意味し、その結果、リリース時に強力な回内運動を生み出します。
これにより、腕とボールに加えられる力が最大化され、球速が増加します。
2. MERと球速の関係性
松尾ら(2001年)の研究では、投球速度の高い投手は、低い投手と比べて有意に大きなMERを持っていることが報告されています。
この研究により、MERは球速を向上させるための重要な要因であることが明らかにされています 。
また、Wangら(1995年)も、MERが増加することで前腕の直線的および角度的な変位が大きくなり、結果として球速が増加すると主張しています。
一方で、Stoddenら(2005年)は、MERと球速の関係性が明確ではないとし、他の要因も影響を与える可能性があると指摘しています。
これにより、MERは確かに重要な要素であるものの、単独で球速を決定するものではないことが示唆されています。
肩関節の最大外旋角度(MER)と投球速度の関係については、研究により異なる結果が報告されています
投球速度には、体幹の回転速度や運動連鎖の効率といった他の要素も大きく影響するため、MERだけで球速を決定づけることは難しいとされています
最大外旋が大きい選手の方がボールの軌跡が長くなり球速が上がりやすいですが、下半身からのメカニクスを効率よくボールに伝えていくという投球メカニクスが伴っていないと必ずしも急速に還元されるというわけではない
という事です。
また、MERを大きくしようとして肩関節【肩甲上腕関節】のみで角度を確保しようとすると肩関節には負荷が異常に加わり関節唇損傷の原因メカニクスとなりかねません
肩甲骨や胸郭と連動したMERの拡大がケガを防ぎつつパフォーマンスを上げるには重要です
そして、そのための適切なトレーニングやケアが重要です。
3. MERを用いて球速を向上させるトレーニング
ここから先は
¥ 500
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?