小説無題#10昨日見た夢
前日にちゃんと用意した甲斐もあって身支度にはそれ程時間が掛からなかった。冷たい水で顔を洗い、電子レンジを使って蒸しタオルを作り、それを頭に乗せた。元々寝癖が付きやすい体質ではあったので蒸しタオルには長いことお世話になったし、それが柳にとって儀礼的な意味も含むようになっていた。特に物事の節目など重要な局面では蒸しタオルを頭に乗せる事が験担ぎの儀式と化している。実際、初めからニット帽を被るつもりだったので寝癖を直す必要はあまり無かった。しかしここ最近立て続けにおこる不気味な出来