学力の使い道

この記事のテーマは「学力を身に着けたら何で得するか」を説明することで、「何故、高学歴なのに社会に適合できない人がいるか」というテーマについて深堀する記事である。

まず、学力の定義から。
学力の定義は「論理と知識で物事を考える能力」である。
理屈を使う代わりに丸暗記をすることで勉学を乗り切ることもできるが、
「学問の論理は理解できなかったけど表面的な知識を丸暗記したからテストの点は取れる(実は私も大学時代に何回かやったことある)」は学力の足りなさを誤魔化す方法なので、今回は学力の定義から省かせてもらう。

勉強をすると考え方が変わることがある。
例えば、都会に住んでいると物理的な制約を受けずに生活できるため「人はどんな状況にいても、意志と根性さえあれば何でも物事を成し遂げられる」という価値観になりやすい。

それが地理を勉強すると変わる。地理を勉強すると「土地によって出来ないことと出来ることが決まっていて、そういった制約の中でその土地に合わせた産業が生まれたんだな」という事が分かるようになる。

地理や産業史は制約があるなかでどうしてきたか?という話になるので、それを勉強すると「生まれた環境と遺伝によって出来ることと出来ない事が決まる。出来ること・出来ないことを整理し、自分に出来ることで金を稼ごう」という地に足の着いた考え方になる。私の知り合いの発達障碍者で地理オタクの人が居たが、彼はIQが高いくせに発達障害が発覚した瞬間、高卒でフリーターになることを選んだ。発達障害で普通の仕事が出来ないという条件下で考えれば安上がりの教育しか受けないのは(もったいない気はするが)正当性がある。自分で考えるとはこういうことを指す。

IQ20違うと話がかみ合わないというが、普通のIQでも自分が熱心に勉強した分野や、自分が異様に興味のある分野の話題は他人と話が嚙み合わない。基本的に自分が経験・知識・時間を費やしたことでたどり着いた考えは、自分がその結論にたどり着くのに時間がかかった以上、他人に説明して理解させるのも難しいと考える方が妥当である。頭が良いのに高卒でフリーターになることを選んだ発達障碍者の話なんかまず理解できない。
私としては頭良いんだから大学行けよと思ってしまう。

よって、学力が高くて得をするのは「自分で決断する権利がある事」のみになる。たとえばプライベートとかがそうで、プライベートにおいては完全に自分の判断で物事を進められることが出来るため、仕事だったら上司に制限されて出来ないようなアホ判断をやって大惨事になっている人を見かける。
例えば、日本語すらあまり上手に喋れない幼児に英語を教えて子供を言語障害にする親とかがそれである。普通に考えれば日本語を身に着けることが先だと分かるのに、8歳未満に英語をやらせてしまう親がいるのは馬鹿だからだ。

学力の有無が生活に直で関わるのは以外にもプライベートであって、学力を使って金を稼ぐとなると話が変わってくる。

学力を使って金を稼ぐことが出来るのはリスクが高いことをするときだけである。経済について分析して投機で金を稼ぐとか、世の中の需要を分析して起業するとか、転職先企業の将来性があるか分析するとか。

論理と知識・経験を使って判断し金を稼ぐことは可能だが、基本的にリスクが高い稼ぎ方になる。リスクの高い仕事か、責任の重い仕事をしたいのであれば学生のうちに学力を身に着けて置いた方が良い。

なのに大人たちは子供に勉強させるとき「大企業に入社して安定した暮らしがしたいのであれば、勉強した方が良いよ」という。とんでもない。

知識と論理を使って稼ぐというのは基本的にリスクが高いことであり、自分で考えて稼いだ人たちというのは成功者でさえ痛い目を見ている。

ホリエモンは1回逮捕されてるし、レジェンド級の相場師、ジェシー・リバモアやジム・ロジャーズは破産を経験しているし、ドナルド・トランプも破産してるし、学生で億り人になった造船太郎は何回か全財産を消し飛ばしてるらしいし、私も自分で考えて稼いだ結果1回全財産を消し飛ばしている。

学力を金稼ぎに応用したいのであれば、動じずに挑戦する肝っ玉と、痛い目を見ても立ち上がる不屈の精神力が必要である。リスクに対する適切な向き合い方は甘い汁を吸ったり、痛い目を見たりするうちに自然と身につくものであり、教育されるものではない。まずは痛い目を見るところから始める必要がある。

それなのに「大企業に入社して安定した暮らしがしたいのであれば、勉強した方が良いよ」みたいなことを大人が吹き込んでるせいで、「安定志向の高学力」という医師免許を取らない限りは生きづらくなりそうな人間が増えている。安定志向の人間が学力というリスクを取って初めて意味を成す能力を人類の上位数%のレベルまで鍛え上げてるのが昨今の受験戦争である。
安定した状況で守られながら仕事している人間は仕事に必要な資格を取る時以外で学力を使う機会が無い。仕事のノウハウも完成してるので、自分で考える必要があまりない。「偏差値68です。学力上位3%ですが残りの能力値は普通です。学力高いですが仕事であまり学力使いません。」みたいなやつがいたら「俺の居場所ここじゃない」みたいになって燻り出す。
安定した企業に限って高学力な人材を独占してる現在の状況は、色々と変。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?