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立ち退きバトルその10!ー家主との静かなるバトルが始まった!ー

前回は、アポなしで訪問してきた家主を仕方なく家に上げて話し合いを開始するところまで書きました。今回はその続きです。

まさか対面で交渉に臨むとは思ってなかったので、何の準備もしてませんでしたが、まずは向こうの出方を見るのが肝心。
家主の見た目は、墓参りとかで見かけそうな普通のおじいちゃんなんですが、一度もしゃべったことがないので為人が不明。せめてまともな日本語を話してくれればいいけど、怒鳴って威圧とか妙なマネをしだしたら、すぐお引き取り願おう、と決意して家に上げました。

愛想を振りまく必要も感じなかったので、作り笑いを貼り付け居間に案内し座布団を勧めます(我が家の居間は和室)。もちろんお茶なんか出しません。

黙って待っていると、ちょっと向こうも戸惑った様子。そりゃ大家で多分地主でもあるのだから、今まではビジネス相手が機嫌を取るように会話を進めてくれたのでしょう。でも私は今回、どっちかと言うと家主側に機嫌を取ってもらう立場ですからねー。スマイルしながら待つこと1分。

しびれをきらしたのか、家主がやっと話し出したんですが…。
だけど会話のしょっぱなに、こう言ったのはどうかと思うんですよ。
「実はああいう条件を出されたのは初めてでして。私さんは不動産関係のお仕事をされてるんですか?」

質問って人のを思考を暴きますよね。だから会話って恐ろしいんですが。
この質問は2つの意味を含んでいること、ここまで全部読んでくださっている方なら分かると思います。
1つ目は、この家主は借主から立ち退き料を請求されるとは全く思ってなかったということ。ホントーに、更新しないから出て行ってと言えば、すんなり出て行くもんだと思ってたのでしょうね。
これが昭和ならまあ、分からないでもないですが、今時代は令和。はっきり言って家主の権威なんて屁のようなもの。命令したって言うことをきくはずないじゃないですか。
2つ目は、不動産関係に詳しい人だけが立ち退き料請求できることを知っていると思い込んでいること。80歳オーバーの方なので、しょうがないかもしれないですが、インターネットが普及してもう20年以上経ってるんですよ。立ち退き料のことなんて、ちょっとネットで調べれば分かると思いつかないもんですかね?

ちなみにこの時点で、管理会社と家主代理の仕事のできなさ加減も判明。だって管理会社には賃貸契約を結ぶ際に私の職業を告げてるんですよ。だから私が不動産関係者じゃないことは当然ご存じ。なのにこんな質問を家主がしてきたってことは、まったく情報共有がなされてないことを示しています。ホウレンソウって言葉も知らないのかもー。
そういう事前情報も与えないまま、家主を私に突撃させた、ということは、管理会社と家主代理はきっと、直接家主が行けば、私が恐れ入って言うこと聞くだろう的な流れしか想像してなかったんでしょうね。水戸黄門の世界じゃないっての!

たったひとつの質問から色々見えてきたのですが、まだこの家主が何しに来たのかは未知数。だから私は発言を最低限に抑えるよう努力しました。もともとおしゃべりでサービス精神旺盛な私には、結構な苦行でしたが!
「いいえ、違います」
と答えて後は無言。でも顔はスマイルをキープ。
また家主は戸惑ったようでしたが、普通はあんな金額出てこないとか、法定更新をご存じとは、などとツルツルと喋ってくれたので、私の推測が当たっていたと分かりました。

家主はこっちの反応の少なさに困っていたようですが、やっとこっちが積極的に話すつもりはないと分かったようです。いきなり本題に入ってきました。
「〇万でお願いできませんか?」
〇万というのは、以前管理会社と家主代理が減額してきた立ち退き料の金額です。メールではっきりとノーって言ってるのに、まだ粘るのか…と思いつつ、首を横に振る私。
「でもこれしか出せないんですよ」
って困った表情を作り、頭を下げるおじいちゃん家主。
「ではこのままここに住みますね」
とにこやかに答える私。

この時点で、やっとおじいちゃん家主の頭にも私が引き下がらないようだ、とインプットされたようです。安く住まわせてやったのに、みたいな恨み節は出ましたが、なんとか私の提示した金額を支払うと納得してくれました!やっとかよ!

ちなみにここまで3時間ぐらいかかってます。途中最近は異常気象で困るとか、昔はこの地域一帯で車屋をやっていて、なんていうおじいちゃんの昔話もはさみましたが、基本は金額を下げろ下げないの連続交渉。金持ちほどケチだっていうけど、本当だなぁと私は実感しました。だって向こうが言う〇万と私が提示している金額の差って十数万くらいしかないんですよ。なのに理由も言わずただ下げろと言うばかり。本当に交渉をしたことがないんだろうなぁと思いながら、私は耐えてました。もはや我慢比べに近い感じ。こんな非生産的な時間は二度とごめんです。

「じゃあ家主代理から覚書を送らせるので、それにサインしてもらえますか?」
と心配そうに言う家主。立ち退き料払ってから出て行かないって言われたら困りますもんね。こっちを信用してないのが丸わかりですが、私も家主&家主代理&管理会社を信用していないので、お互い様です。
「届いたら目を通して、問題なければサインします」
と作り笑いで答える私。ここでやっと3時間ガチバトルが終了したのでした。

こうして家主との直接対決は比較的なごやかに終わったのですが、この後ポンコツ家主代理がまたやらかしてくれたおかげで、私は再び怒りを爆発させることになるのでした。家主代理はなぜ私を怒らせたのか?続きはまた明晩。

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