「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容
『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻誠司・牛腸茂雄』千葉市美術館 富山県美術館 新潟市美術館 渋谷区松涛美術館編 赤々舎 2023年
「ヴァルター・ベンヤミンは~アジェがそれまでの写真から「アウラ」を剥ぎ取り、」「一方、アジェの写真に対象そのものの「一種の物のけ」を感じた瀧口は」「瀧口がベンヤミンと同時期にほぼ同じことを感じ取っていたことは驚きである。」
アウラを剥ぎ取ったら一種の物のけも剥ぎ取られるのでは? いえ、まずアウラって何?
アウラ:機械的複製によって芸術作品のコピーを大量生産することが可能になった時代において、オリジナルの作品から失われる「いま」「ここ」にのみ存在することを根拠とする権威のこと。(artscape Artwordsより)
アウラが剥ぎ取られることにより、一種の物のけが残るということか。
ウジェーヌ・アジェ《日食の間》1912年
一斉に日食メガネをかざし見上げる人々の後ろにある西洋の城のような建物、「BASTLLE」?と看板が。バスチーユ? バスチーユ監獄ではないようだ。 BASTLLEの前にPHARESと見える。検索→Aux Phares de la Bastille→(グーグル翻訳) バスティーユ灯台にて→?→(Wikipédia)「 バスティーユの灯台で:Aux phares de la Bastilleは、1875年にオープンしたパリの衣料品百貨店で、バスティーユ広場とサンタントワーヌ通りの角、4区と12区の境界にあります。第一次世界大戦中に閉鎖されました。」おお、当時のポスターと写真の建物が一致する。
ところで、「バスチーユ監獄」、現代語では「バスティーユ牢獄」のほうが主流? (wikiより)一般に、バスティーユは残虐非道な監獄であると誤解されているが、実情はかなり異なる。
牛腸茂雄 桑沢デザイン研究所所属時代の課題「空」(白黒写真)
《cat.nos.104》 「3/4を空にすること」という指示があったにもかかわらず、正方形の画面左右9割がた真っ暗、べったりと真の黒。中央に上から細い白い隙間、その下に真っ白い天窓、その下の格子の隙間からは木のような影も見える。さらに下の隙間には細い電線らしき線が。
これ以外に情報はないが、仮に倉庫の中から撮ったとすると、中で作業をする人は(当たり前すぎて考えることもしないが)この隙間から空(外界)が見えることで、閉じ込められてるんじゃない、外に出ようと思えば出れるんだという意識を持つことが可能になる。
《cat.nos.105》 空に向かって階段が柱に沿って伸びている。何だ、下にある黒い箱のようなものは。 《cat.nos.104》とは逆にこれ以外は空。
?(違和感)(本をさかさまにしてみる)おっ、何じゃ、天地が逆になっている。実際は箱のような操作室?に上るために柱に沿って階段が付けられているのだが、そのままでは、画面の上に黒い面積が多くなり重くなるので、あたかも下からクレーンが伸びているかのごとく、天地を逆にしているのであった。階段の横にある細いひものようなものは、天地を逆にすると、手すりだと分かる。
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