私小説 アルジャーノンには花束を、愚か者には1本の煙草を。
特徴的なタイトルの一冊の本を読んだのは真夏の暑い盛りの事であった。当時の私というのは今の私から見れば怠惰極まる生活を送っていたように思える。最も大前提として今の私が怠惰ではないか、と問われれば反論の言葉すらなく「はい!怠惰です!」と自信満々に言える程度には怠惰の自覚はある。
相応に大学生活を謳歌していたものの、だからといって劇的な何かがある訳ではなく、サークル活動に勤しんでいた訳でもない。只管に生産性のないモラトリアムな日々を過ごしていた。
今にして思えば、あの日の空は暗