第5話 潰瘍性大腸炎で入退院の繰り返し28歳の3回目の入院で起きたマドンナとの奇跡的な再会?
「おはようございます」
「今日4人部屋に引っ越しね」
と看護師さん。
私には持病がある
潰瘍性大腸炎だ
安倍首相も患っていた病だ。
安定している時期と下痢しながら血便を繰り返す。
悪化すると便器は血の海で1日に20回もトイレに駆け込むそんな病気だ。
当時は治療法が確立してなく全て対処療法。今でも完治は難しいが、薬の進歩で症状をコントロールできるようになっている。
今日は入院して10日目
大部屋から4人部屋に引っ越しする日だ。
この病院の大部屋は20人で4人部屋と1人部屋がある。
4人部屋に行くとその部屋には3人が入院していた。
挨拶してまた入院生活を続ける。
治療は完全禁食で胸からの点滴、そして投薬だ。
薬はステロイドとサラゾピリン。
最初にステロイドを大量投与して、その後週毎に減量して行く。副作用が強く喜怒哀楽が激しくなったり、顔がかなりむくむ。
減量が始まり歩行の許可も出たので、喫煙所に向かう。
病院での楽しみは、食事と患者同士のお話しだ。
禁食なので、お話しに花が咲く。
若い看護師さんもいるので、それも入院生活の楽しみの一つになっていた。
ある日、喫煙所で隣のベットの松田さんと話していた。 松田さんは60代で胃潰瘍で入院、サラリーマンで定年が近い。世間話や会社での話を聞かせてくれた。
私の入院生活では年配の人と話す事が多く、それは人生にとってプラスになった事が多い。先週話していた方が亡くなる前に話してくれた事など、弱ってい者同士で何も利害がなく皆親戚のおじさんみたいだった。
松田さんは優しくてちょっと天然ぽい。
会社のバス🚌社員旅行で、高速のパーキングで置いてきぼりにされ迎えに来なかった経験を持つ。
携帯も無い時代、
「どうやって帰ったのですか?」
聞いたら、とりあえずパーキングの裏口から外に出て、駅のある所まで歩き電車で帰って来たと。
「お金は持ってたのですか?」
「持ってなかったんだよ」 え、
「どうしたんですか」「改札を飛び越えたりすり抜けて帰って来た」
え、「どこからですか?」
「埼玉の上里」
と笑って話している。
そんな天然な優しいおじさんでした。
そんな繰り返しの入院生活、いつもの様に世間話の中で
松田さの自宅は板橋の大山であるらしい、大山といえば私が高校でバイトしていた所。
「私、大山の〇〇でバイてしてたんですよ」
「そういえば私の娘も〇〇でバイトしてたなあ」
と松田さん。
「娘さん何歳ですか?」
「今年30歳だったかなあ」
嘘でしょ!
もしか まさか
「娘さんの名前松田由美子さんですか?」
「そうだよ知ってるの?偶然だね」
この時
この親にしてこの子あり
と思った。
私にとってのマドンナ、あの優しい感じと、人に対しての接し方はこのお父さんから受け継いでいるんだと。
偶然に対しての驚きと、家族の大切さやしつけの大切さを感じた。子は親の背中を見て育つというくらい、由美子さんとこのお父さんの関係性が感じ取れた。
今の自分の子育てにも影響している。
第6話
着替えを持って現れたマドンナとの再会
つづく