わらう
娘が図書館で、おもむろに一冊の本をひっぱりだしてきた。
可愛いピンクの表紙
題名は「わらう」
たぶんきっと微笑みもせず他の絵本とともに借りた。
その日の夜、寝かしつけの読み聞かせで5冊目に選ばれた「わらう」
最後のページの「あしたもたくさんわらえますように たのしいゆめみておやすみなさい」という文を読み終えた時
私は泣いていた。
あーこのままじゃだめだ
そう思った。
この本を見つけてくれた娘とこの本をうみだしてくれた作者のさこももみさんには感謝しかない。
素敵な絵本、好きな絵本は何冊も何冊も出会ってきたけれどビビッときた絵本は初めてだったし、映画でもテレビでも涙しない私が絵本で泣くなんて衝撃だった。
間違いなくこの絵本は私にとって勇気を与え、大切なものを思い出させてくれた。
笑顔でいられない事を続ける代償、笑顔の大切さ、いまだにうまく笑えないけど、この本に出会わなければきっともっとおかしくなっていた。そんな気がする。
娘がこの本を選択したおかげで私は長年続けた仕事を辞める選択をした。
思い入れのある大切な職場だと思っていたし、同僚もまた大切な人たちだった。
長年働くうちに上司が代わり、上司の上司も代わり、色々と変わり出した。
休憩もないのが当たり前になり、人間として集中力、体力が持続しないだろうという業務内容になり、できないのはできない人が悪い、おかしいという空気になっていた。
頼っているというのは都合のいい言葉でとりあえず丸投げ、押し付け、何かあればあなたの責任ですよと言った感じだった。
個人的な事だけならまだどうにか周りに助けてもらいながら乗り越えられたかも知れないがパワハラが日常的に存在するようになった
個人的に上司にあからさまにターゲットにされることはなかったが人が怒鳴られる姿を何度も目撃し、組織のトップであるはずの人が人を見下し、陥れる姿に疲れていった。
それでもなかなか辞める決断ができないまま日々を過ごしていた。
どこかで期待や希望、未練を断ち切れなかったのだと思う。
しかし、この絵本に出会った事で笑えてない自分に気づき、家族のためにも笑いたい。そう思う事ができた。
やめる選択をして、まず寝れるようになった。慣れない仕事をするのは緊張と戸惑いと失敗だらけではあるが当たり前に働くということを実現することができた。
もしあのまま辞める選択をせず続けていたら今頃どうなっているのか考えると恐ろしい。
これからも、自分が笑える方の道を選択していきたいと思う。