電車のドアの、反射越しの君
一文30秒ほどかけて噛み締めて読んで頂けると幸いです。
急に乗り込んできた君は、どこへ向かうの?誰と会うの?
何も分からないけど。
それにしても、そのジーパンみたいなジャケット。ものすごく似合ってる。
ファッションに疎いから、話題にもできないけど。
こんなにみつめても、君は全く気づかない。
そんなに僕の影は薄いかい?まぁ向いている方向が違うものね。ドアに移る、反射越しの君は幽霊みたい。
いや、僕の存在が幽霊かな。距離にして50センチ。とっくのとうに、パーソナルスペースに入っている。心の中までは知らないけど。
毎回分かる、お別れの時間。もう残り10分だと、アナウンスは告げる。
降りるのは僕、さみしいね。君の色気には降参だ。明日になれば、やっと君の心を通過できるかな。