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本と音楽と演劇が好きです。 アイマス全ブランドを楽曲中心に楽しんでいます。

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最近の記事

千字七話:スナドケイ

上下おそろいのスウェット。未開封のワイシャツ。青いネクタイ。 別れた恋人が部屋に残していった荷物は、思ったよりも少ない。 段ボールどころか、紙袋ひとつに収まってしまうほどに。 それなのに部屋が広くなったように感じるのは、きっとそれらの一つ一つに思い出が詰まっているからだろう。 上下おろそいのスウェットは、毎回持ってくるのが大変だからと私の部屋に置いていったもの。 未開封のワイシャツは、平日の夜に急に泊まることになった時にとネクタイとセットで置いていったものだ。 それらが部屋を

    • 千字六話:セツナイロの空

      「マジックアワーか……綺麗だな」 さっきまでオレンジ色に染まっていた空が、今はグラデーションのように紫色に染まっている。 ネクタイを緩めるために首元に伸ばしていた手を下ろして、そのまま足を止めて空を見上げた。 魔法のように綺麗で、限られた時間しか見られない空の色。マジックアワー。 その名前を知らなかった子供の頃、私はこの空の色を刹那色と呼んでいた。 理由なんて単純で、刹那が短い時間を指すこと。それに何だか名前の響きが良いと思ったから。思えば実に子供らしい理由だ。 何より、あの

      • 千字五話:二人のための卒業式

        「それにしても不思議な気分だよな」 「不思議って何が?」 「もう10年以上も二人で通ってたのが、明日からなくなるんだぜ?」 「だから?」 「だから……寂しいよなって」 「そうだね。でも、幼稚園から小学校、中学校、おまけに高校まで一緒な人の方が少ないでしょ?」 「それはそうだけど……やっぱ寂しいよ」 そう言うと彼は両手を頭の後ろで組んだ。その拍子に、少しだけあごが上がる。子供の頃から変わらない、彼の歩く時の癖。この姿も今日で見納めだというのに、どうしても視線はボタンがひとつ欠け

        • 千字四話:朝の連続ボトル小説

          朝起きると、二度寝を決めることなくベッドを抜け出して玄関へ向かった。 朝の10分というのはとても貴重だ。二度寝をすることも、メイクに時間をかけることも、朝ごはんを豪勢にすることも出来る。 それでも私が躊躇なくベッドを抜け出せるのは、それを上回る楽しみが玄関の先に待っているのを知っているからだ。 「はぁ……あのあと二人はどうなるんだろう? 最初から全部ウソだったなんて……」 玄関の扉を開けてすぐ左側の壁面。そこに設置された専用の保冷ケースの蓋を開けると、そこにはコーヒー色をした

          千字三話:気分屋の彼女

          僕の彼女は気分屋だ。 「私、モンブランが一番好き」と言っていたので翌日に買って帰ったら、「今日はチーズケーキの気分だったんだけどな」と言われるくらいは日常茶飯事。 「猫は気分屋だっていうけど、彼女はお前以上だな」 毎日飽きもせず同じキャットフードを嬉しそうに食べてくれる飼い猫の青い瞳が、「そうでしょう」と語りかけるようにこちらを見上げる。 これが彼女だったらご飯を食べるのに夢中で、こちらに一瞥すらくれないかもしれない。 「だったら私にしたらどうですか?」と誘うように、食事を終

          千字三話:気分屋の彼女

          千字二話:メモリーセラー

          指紋認証で重厚な扉を開けると、目の前に広がっているのは巨大なワインセラーのような部屋。 正面と左右、下から上までボトルで埋まった壁面。 その栓はどれもこちらを向いている。その光景に、最近観た古い映画のワンシーンが思い浮かんだ。 大勢の敵に囲まれて銃口を突きつけられた主人公も、きっとこんな気分だったのだろう。 いや、実際このボトルの中に収まっているものを考えれば、それは銃撃を受けるのと変わらないようなものかもしれない。 「若気の至りとはいえ、よくもまあこれだけの苦い想い出を…」

          千字二話:メモリーセラー

          千字一話:手紙にならない一人言

          「地球の面積の7割以上は海なんだってさ」 浜辺に座って潮風を浴びていると、いつもキミの声を思い出す。 いつも潮風の匂いに混じって聞こえたキミの声を。 「そんなに?」 「うん。だから、どこにいるかわからない相手に手紙を出すのなら、海に流すといいかもしれない。だってこの世界の7割に届くのだからね」 「えー……それなら何らかの手段で住所を聞く方が早くない?」 「相手の連絡先を知っているなら、ね。でも、全く連絡の取れない相手に手紙を出したいのなら、これほど有効な手段はないと思うんだ」

          千字一話:手紙にならない一人言

          voices -LIVE FUN!!- ノクチル特集

          FUN INTERVIEWそれでは、まず最初に自己紹介をお願いします。 usk:uskです。元々他のアイマスをずっとやっていた流れでシャニマスがリリースされた当初から始めました。きっかけとしては、月岡恋鐘役の礒部花凛さんが声優としてデビューしたアニメ作品で歌っていた ED曲とc/w曲が好きだったのもあり、この方がアイドルとして歌うなら始めようと思ったことが大きかったです。なので始まりはアンティーカと月岡恋鐘Pでした。その後ノクチルと樋口円香に出会い、今まであまりなかった曲調

          voices -LIVE FUN!!- ノクチル特集

          voices -LIVE FUN!!- Team. Stella 特集

          FUN INTERVIEW(取材・文:蜷川) それでは最初に簡単に自己紹介をお願いします。 usk:uskと申します。アイマスの入り口は星井美希の『relations』で、それから楽曲を中心に全ブランドをまんべんなく追っています。リスアニ!の音楽大全も全ブランドを読んでいまして、面白い企画があるなと思い参加させていただきました。 ぶくま:ぶくまです。アイマスは中学生の頃からそこそこ歳の離れた兄と姉から伝え聞いているくらいの認知度の時期がしばらく続いていました。その後、高校

          voices -LIVE FUN!!- Team. Stella 特集