千字七話:スナドケイ
上下おそろいのスウェット。未開封のワイシャツ。青いネクタイ。
別れた恋人が部屋に残していった荷物は、思ったよりも少ない。
段ボールどころか、紙袋ひとつに収まってしまうほどに。
それなのに部屋が広くなったように感じるのは、きっとそれらの一つ一つに思い出が詰まっているからだろう。
上下おろそいのスウェットは、毎回持ってくるのが大変だからと私の部屋に置いていったもの。
未開封のワイシャツは、平日の夜に急に泊まることになった時にとネクタイとセットで置いていったものだ。
それらが部屋を