Colaboの架空の経費計上問題を、公文書管理法の観点から検証してみる
前回記事では、平成18年福井県地方裁判所で下された『福井県カラ出張返還訴訟差し戻し審判決』をもとに、Colaboが行ったタイヤ購入費などの架空の経費計上が、司法判断では違法認定を受ける可能性がある点について、記事にしました。
今回は前回記事の最後にも書きましたように、この問題を公文書の観点から検証します。
なお本記事の執筆と掲載に際し、筆者は実在する人物や団体への誹謗中傷や、名誉毀損など法令違反をする意図が無いことを、ここに宣言しておきます。
■公文書とは何か?
公文書とは役所または公務員が、職務上使用するために、その名義(肩書)で職務権限に基づき作成し、あるいは取得したする文書のことです。
『公文書等の管理に関する法律』の第2条では、次のように定義されています。
ただし官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものや、特定歴史公文書等、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として、特別の管理がされているものは公文書には該当しません。
そして『公文書等の管理に関する法律』の第1条の「目的」では次のように、公文書の重要性が書かれています。
つまり公文書とは政府や自治体などの行政運営や政策決定、その結果などを国民が後日検証できるように、事実を記録しなければならない文書であり、健全な民主主義の根幹を支えるための、国民全体の知的財産だと定義されているのです。
その上で、行政が適正かつ効率的に運用されていたかどうか、現在および後世の国民に説明するための責務を有しているのが、公文書なのです。
政府や自治体などの役所の独占物では、決してないのです。
もし公文書に虚偽を書けば、虚偽公文書作成罪などの刑事罰が課せられます。
■役所に提出した時点で、その文書は公文書になる。
そしてこの公文書は、公務員が職務上作成したものに留まりません。
『公文書等の管理に関する法律』の第2条「職務上作成し、又は取得した文書」とあるように、「取得」した文書も含まれます。
つまりColaboが東京都に提出した、若年被害女性支援事業の事業計画書や事業実施状況報告書なども、都の公文書になります。
それは東京都福祉保険局が、行政機関として組織的に利用するために、職務上取得した文書だからです。
つまり公務員や行政機関ではないColaboにも、提出する報告書などの各種書類が公文書となることを自覚した上で、事実を記載しなければならない責務があるのです。
それは事業の原資が税金であることを考えれば尚更でしょう。
ところがColabo弁護団の公式説明はどうだったでしょうか?
公文書となった令和3年度の『若年被害女性支援事業に関する実施状況報告書』の車両関連費において、架空の経費計上をしておきながら問題ないと開き直りました。
あまつさえ都には報告してるので、公文書には虚偽の記載をしても構わないという風な主張を展開し、自分達の行ったことを正当化しました。
Colaboの事業の原資が税金であるにも関わらず、公文書に虚偽の記載をしても、それが都民や都議にばバレなければいい。バレても都と口裏を合わせておけばいい。
納税者である都民を軽視する彼らの姿勢は、『公文書等の管理に関する法律』の第1条にも著しく反しており、厳しく批判されるべきと筆者は考えます。
そしてそれは事業実施状況報告書の虚偽記載を、漫然と見過ごしたまま会計処理をした東京都福祉保険局や、監査でこれを事実上不問にした、都の監査委員達にも言えることです。
■公文書改ざんで大事件となった森友学園問題
ところで公文書の問題といえば、2017年から大問題となった森友学園問題での、公文書の改ざん事件を思い浮かべる方も多いでしょう。
2018年3月2日付けの朝刊で、財務省による公文書改ざんをスクープしたのが朝日新聞です。
これにより時の安倍政権は、野党やマスコミ各社、国民からの厳しい批判に晒されました。
当時、朝日新聞は公文書の重要性と意義について、以下の記事を書いています。
森友学園問題での公文書改ざん問題について、共産党は当時から今日に至るまで、安倍政権や菅政権、岸田政権と歴代政権を厳しく追及し続けていました。
■Colaboの公文書問題は、一切追及しない共産党と朝日新聞。
ところが共産党と朝日新聞は、Colabo問題では問題を追及するどころか一転し、先述したようにColaboの会計問題や架空の経費計上問題、公文書に虚偽内容を載せた問題など一切無視して、Colaboを全力で擁護していきます。
なんと内閣府男女共同参画局担当者のコメントとして、都民の情報公開請求の権利を否定し、事業の妨害だと記事にしたのです。
しかしこの赤旗の記事のこのコメントは後日、捏造に近い歪曲であったことが発覚します。
その後、共産党はColabo問題への追求に対して、妨害を行うようになります。
朝日新聞も共産党に同調しました。
森友学園問題での公文書改ざんで、政府や自民党を厳しく批判した姿勢は完全に消えうせ、Colaboの会計問題について事実や詳細については満足に取材せず、Colaboが誹謗中傷を受けているという印象操作と問題の矮小化を図ります。
朝日新聞は2018年に、公文書の目的と意義についてとても良い記事を書いていたのに、すっかり忘れてしまったようです。
共産党もそうです。森友学園問題では財務省の公文書改ざんについて、あれだけ厳しく追及していたにも関わらず、手のひらを返したように、Colaboの事業実施状況報告書という公文書については、スルーしています。
■野党共闘が政権交代をしても、公文書の改ざんなど不正を行う側と追及する側が、交代するだけ。
こうしてみてみると、残念ながら彼らは『公文書等の管理に関する法律』の第1条の「目的」を理解していて、それを破った財務省や自公政権を追及してるのではなく、敵対する勢力の汚職や不正だから批判し、追及していたのでしょう。
森友学園問題では政権批判側に回っていた野党立憲民主党や社民党も、Colaboの会計問題では沈黙するか、擁護に回っています。
事実、社民党の副代表大椿ゆうこ氏は、次のようにツイートしてます。
野党で唯一追求してるのは維新の会だけです。
つまり共産党を含めた野党共闘勢力が、仮に総選挙で勝って政権交代を果たしても、次は彼らが公文書の改ざんや虚偽記載の問題を起こし、それに対し主要左系新聞である朝日新聞や東京新聞、毎日新聞などは沈黙するか、擁護するという展開が予想されます。
そして次にその不正問題を批判するのは、野党となった自民・公明であり、産経新聞などの主要保守系新聞となるでしょう。
事実、都議会でColabo問題を追及してるのは都議会自民党で、客観的な報道をしているのは、産経新聞(2023年1月22日)という有様です。
皮肉にもColabo問題は、政権交代の幻想もブチ壊してしまいました。
もし仮に野党共闘が政権交代を果たしたとしても、次は自公政権に代わって彼らが不正や汚職を行い、利権の居所が移るだけです。
ただ選手交代するだけで、行政の透明性や公平性の確保という、国民が求める根本解決は何も望めません。
特に共産党が不正や汚職に厳しく、公正であるというイメージは、Colabo問題で完全に破壊されました。
さてこれまで『福井県カラ出張返還訴訟差し戻し審判決』や、『公文書等の管理に関する法律』の観点から、Colaboの車両関連費(タイヤ購入費)の架空の経費計上について検証してきました。
ですがこれらはいずれも司法判断を仰いだ上で、違法や不当の是非が判断されるものです。
では具体的な法律に違反してることは無いのでしょうか?
実はそれがあるのです。
次回記事では、『一般社団法人及び一般財団法人に関する法律』(通称、一般社団法人法)を取り上げます。
Colaboは一般社団法人なので、この法律に拘束されます。
この観点から、Colaboのタイヤ購入費の架空の経費計上の問題を検証していきます。
こうご期待。
2023年2月14日:一部修正。
記事を読んでくださり、ありがとうございます。 サポートをクリックして、コーヒー1杯分でもご支援していただけると助かります。 頂いたご支援は次の記事を書くために活用させていただきます。 ぜひよろしくお願いします。