CASE 15 レオナルド・ダ・ヴィンチ 痛風 ヒトはDNAを食べて尿酸を作る
(この記事は3分で読めます)
ダ・ヴィンチ痛風説
痛風のポイントは食事です。
彼の好んだ食事内容に注目。
CASE 15 レオナルド・ダ・ヴィンチ 診断:痛風
【症例】67歳男性(1452-1519)
【主訴】不明(一般には足関節や足の指の関節痛)
【現病歴】
ルネサンス期を代表する芸術家。芸術のみならず、科学者としても多岐にわたる分野で業績を残している超天才。
宮廷画家として宮廷で生活をしていた。彼の食事は宮廷暮らしにしては質素であった。彼は魚(特にうなぎ)、子牛、野菜、パン、チーズなどを好んでいた。
そして彼はある日足の関節の痛みを自覚し、風が吹くだけでも痛むものであった。
【診断】
#痛風
#高尿酸血症(当時は血液検査の技術がないためあくまで想像)
【経過】
彼は晩年に転倒で神経麻痺を起こし絵が満足に描けなくなっていた。
今回の痛風や高尿酸結症は関係ないが、一説では脳卒中で死亡したとされている。
(参考 Wikipedia)
考察
・・・の前に
問題
ダ・ヴィンチが好んで食したとされる魚(特にうなぎ)、子牛、野菜、パン、チーズの中で尿酸の元であるプリン体が含まれているのはどれでしょう?
答え:全部
そうです。量の違いはあれど、全部プリン体が含まれています。
だけど全部が全部悪いわけではない。常識だけどプリン体の含有量が多い食べ物を知る必要があります。
この中で特に多いのが、魚と肉です。
プリン体は尿酸の原料となり、関節内に結晶を作って
関節炎を引き起こします。
ダ・ヴィンチはきっと魚と肉を
食べすぎたんですね!!
✅プリン体ってなんぞや???
超簡単に言うと細胞の核の中に存在する
DNAやRNAなどの核酸の一部です。
当然魚にも牛にも、野菜にもパンにもDNAありますよね。
(チーズのプリン体はちょっとわかりませんが、発酵微生物の一部でしょうか??)
そうです。私たちはDNAを食べて肝臓で尿酸を作り続けています。
✅プリン体が多い食べ物は?
ある種の魚(アンコウやマイワシ)には特にプリン体が多いとされています。その他レバーやビール、肉類にも注意が必要です。もう知ってますよね!?
魚は体に良さそうですけどね
プリン体の含有量の詳細は他の書物やネット情報に譲ります(書き出すと文字数が多くなりますので)。
以下の両国東口クリニックのウェブサイトが見やすく詳細にまとまっていると思いますので参考にしてください。
✅高尿酸結晶が引き起こすのは痛風だけではない
尿管結石を引き起こすことも・・・
Haruくん自身は経験ないが、かなり痛いらしい
✅高尿酸結症が動脈硬化のリスク?
まだまだ研究が必要な段階ですが、尿酸値が高いほど心血管死のリスクが高いことが確認されています(W Zhang, et al: J Atheroscler Thromb. 23 (6): 692‐703, 2016)
尿酸による結晶が血管へダメージを与えることがわかっています(日本生活習慣病予防協会)
✅痛風の治療は?
痛み止めの内服薬です
痛みが落ち着いたら再発予防に
尿酸を下げる薬剤を開始します
✅ついでに
”偽”痛風という痛風とは異なる病気もあります。
今回は割愛。
ダ・ヴィンチと私からのメッセージ
日々の外来でも尿酸が高い患者さんは多いです。
彼らには連日薬を飲んでもらっていますが、
やはりいつも思うのは、
「酒とか肉を減らせば薬も減るのになぁ・・・」
の一言です。
個人的には患者さんをあまり薬づけに
したくはないので生活習慣の改善を
頑張ってもらいたいです。
ですが患者さんによっては薬に頼りつつ
食べ物を我慢しない人生を望む人もおられます。
(怒られるかもしれないけど
それはそれでアリなのかも・・・。)
Haruくん葛藤の毎日です。
皆さんも今一度食事、飲酒の見直しを!!!
次回予告
腹部大動脈瘤で死去した天才物理学者
アルベルト・アインシュタインです。
お楽しみに!!