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私が海外のロースクールを目指すまで - 3~『国際弁護士』の資格を取る?~

年末休みで少し家でゴロゴロする時間もできたので、何百年も動きが止まっているここらへんの記事も更新してみようと思う。

興味ない方には大して面白い話でもないので、スルーで結構です(あっ、去る🐵前にスキしてみて!)。

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日本の大学を出立ての頃(海外に飛ぶ前)、英会話スクールに通っていたことがある。

そのスクールのクラスでネイティブ講師を囲み、皆で英語で会話していた際、「ボクの夢は国際弁護士(international lawyer)になることです!」と連呼する高校生男子に出会った。
彼はしきりに「国際弁護士(international lawyer)」という単語を連呼していたので、その場に居合わせた1人(私ではない)が「君はどうやって国際弁護士(international lawyer)になるの?どうやったらなれるの?」と英語で尋ねた。

彼は「はい、今は大学受験の準備をしていますので、それは大学に入ってから考えます、、、」と英語で答えていた。
彼はあの後、国際弁護士になれたのだろうか。。。

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さて、『国際弁護士』の資格って、どうやって取るんだろう。。。
ネットでググってもヒットしないし、、、。
、、、まあ、残念ながら、頑張っても『国際弁護士資格』試験情報はヒットしないと思う。

別に日本とかアメリカとか法域(jurisdiction)ごとの「弁護士資格」のほかに『国際弁護士資格』なるものが有るわけではない。
 
国際弁護士とは「国際的な案件を取り扱う弁護士」のことなので、大雑把に言えば、日系企業の中国進出、米国企業による韓国企業の買収、日本の商社とベトナムのメーカー間のクロスボーダー取引、、、等の「国際的な案件」をサポートする弁護士は広く「国際弁護士」と言えよう。
従って、「国際弁護士」は「日本法の弁護士」かもしれないし、「米国法の弁護士」かもしれない。
または「ダブルライセンス」や「トリプルライセンス」などと言われるような「2国(地域)以上の弁護士資格ホルダー」かもしれない。
 
法制度は法域(jurisdiction)ごとに異なるので、弁護士は基本的には自分が弁護士資格を授与された法域の法律問題に対してのみ、業としてアドバイスなり、リーガルサービスを提供することになる。
 
たとえば、日本の弁護士がベトナム法に精通しているからといって、「専らベトナム法が管轄する案件」について、クライアントからフィーを頂戴してリーガルサービスを提供するのは基本的にNGである(まあ、クロスボーダー案件とかで、異なる法域の法律が絡み合う場合、細かい論点についてはグレーなことをやってるケースもなくもなくないの反対の反対な気がしないでもない気もするが)
 
日系企業がベトナムに進出し、日本法とベトナム法のどちらも絡んでくるような問題に直面した場合、原則的には「日本法弁護士とベトナム法弁護士」が協同してクライアントの問題解決にあたるわけである。
 
従って、「私は『国際弁護士』の資格を持っているので、全世界どこの法律問題も扱うことができるのだよ。ウヒャヒャ」という人が近寄って来たら、怪しいので様子を見るか、逃げるか、適当に「それは凄いですね~」と話を合わせておいた方がよい(刺激しない方がよい)。

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因みに、上に法域(jurisdiction)と何度かしつこく書いたが、見慣れない言葉かもしれない。
簡単に言うと、「法令の効力が及ぶ地的範囲」のことである。
 
たとえば、米国は州ごとに法律が異なり、弁護士資格も異なるので、同じ国(= 米国)と言えども「米国イリノイ州弁護士」とか、「米国カリフォルニア州弁護士」と言ってくれないと、どの州法の弁護士か正確に分からなかったりする。

もう1つの例として「中華人民共和国とマカオ」とか「中華人民共和国と香港」とかいった関係性を考えると、話はもっとややこしくなる。
マカオと香港は、以前はそれぞれポルトガルと英国の植民地だったため、宗主国の法律が適用されたわけである。
 
しかし、マカオは1999年、香港は1997年に主権が中国に返還された。
従って、マカオも香港も「国」としての括りは?と聞かれると「中国」になるわけである。
 
以前、(返還後の)香港で中国人と「中国語(普通語)」で会話していたら、英国人のおばちゃんに中国人と間違われて”Oh, are you from China ? (アナタ、中国から来たの?)“と聞かれたので、”I’m still in China (まだ中国におりますが)”と返したことがある。
植民地時代の名残が強い世代の英国人は、たまに中国本土をChinaと言って、未だに香港と切り離した呼び方をする人がいたように感じた(これは長年の慣習による部分もあると思うので、別にバッシングしたいわけではない)。
因みに、「香港ではなく、中国本土の話なんです!」みたいに強調したい場合、Chinaの前後の文脈に"mailland(メインランド)"とか付け足したりするとよいかもしれない。
 
要するに、香港は「中華人民共和国香港特別行政区Hong Kong Special Administrative Region of the People's Republic of China (長いので“HKSAR of the PRC”とか略されたりもする)」ということで、中国という「国」の中の香港という「地域」という位置付けになるわけである。

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脱線するが、本記事に遊びに来ていただいた方の中でマカオが好きな方とかおられるだろうか?
私はギャンブラーではないのだが、カジノという存在が大好きで、マカオが大好きである。
もっと言うと、(夜の)ネオンが好きであるので、マカオ記事もいつか機会があったら書きたい。
「だから何だ?」と言う話であるが、単なるマカオ好きな人と繋がりたいアピールである。

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脱線したが、中国の例も米国の州法の話とちょっと似ており、現時点では「中国(本土)」と「マカオ」と「香港」は別々の法制度を採用している。
聞いたことがあるかもしれないが、『一国二制度』という「1つの(中国)という国の中で、外交と防衛を除く分野においては、(少なくとも)50年間は2つの異なる制度を維持(併存)させ、(香港やマカオに)従来の制度に基づく高度な自治を認めよう」という考えにより、このような法制度の違いが可能となっている。
たとえば香港は、旧宗主国の英国の制定法(Act)をベースとした条例(Ordinance)という制定法を定めつつ、条例がカバーしない隙間に英国のコモンローという法制度が適用される。
これらのOrdinanceもコモンローも中国本土の法律とは全く異なる内容である。
 
話が少し政治的な方向に行ってしまうが、『一国二制度』にもかかわらず、香港の選挙が親中派寄りであり、制度が形骸化しているとして、2014年の雨傘運動などの大規模デモに発展したり、その後の2019年の「逃亡犯条例改正案」反対のデモが行われたり、、、といった経緯があるのも皆さまの大部分がご承知のとおりである。

そう言えば、私はコロナが世界的に蔓延する直前、日本のテレビでも香港のデモグループと警官隊が激しくやり合う映像が報道されていたあの期間に香港入りしたのだが、町は至って平和だった。
ところどころ通行止めになっており、街角に警察官が立って警備にあたっていたりしたが、香港島や九龍半島の繁華街で暴動が起こるとか、そんなことはない。
10年以上前の話になってしまうが、2012年に中国で反日デモがあったときも日本では過激な映像を切り抜いた報道が先行していたように記憶している。
 
いつも通り話がどんどん脱線してきたが、政治的な思想を発信するアカウントではないので、頑張って話をタイトルに戻す。
(因みに、私の本棚には香港のデモ関連の紙本があるので、いつか「できるだけ中立的な立場」でBookレビューを投稿するかもしれない)。

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何の話をしていたかというと、法域(jurisdiction)の話をしていたのだった。
上のような事情があるので、職業病なのかもしれないが、たまに「によって独占禁止法の内容は、このように異なります~」みたいな記事を読んでいて、「それじゃなくて、地域との比較も含まれてるのでは?」とか、「米国法では~」とあって「どこの州法の話? それとも連邦法の話をしているのか?」とか面倒なことが気になったりして、「国と地域をごっちゃにしないでくれ」と気になったりもする。
そこで、法律の話をするときにイチイチ「法制度は、国(または地域)によって異なり〜」とか書くのも面倒臭いので、「法域」という言葉が社会的にもっと認知されると便利だと思ったりする。
何か、「法域(jurisdiction)」1つのことでクドクド書いてしまった。

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ところで本記事をご覧の皆様の中に「国際弁護士になりたい」とか、弁護士資格にはこだわらないが「海外法務の仕事をやってみたい」という若い方(若くなくてもよいが)、またはお子さんにそのような仕事を勧めたいという方はおられるだろうか。
今は「弁護士も食えない」などと言われているから、あまりいないのだろうか。
 
このような仕事の善し悪しは後回しにして、上に書いたように「国際弁護士」という資格はないので、弁護士資格を取得して仕事をしていきたい方は「どこかの国の弁護士資格を取得し、国際的な案件を取り扱う」という話になる。
 
たとえば、以下のようないくつかのルートを考えてみた(自分で法律事務所や総合コンサルティングファームを開業したいみたいな人もおられるかもしれないが、それでも大抵はどこかで多少の経験を積む必要があると思う)。

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1.      日本で弁護士資格を取得し、国際的な法律案件を扱うような「渉外ローファーム」みたいな事務所に入り、海外拠点に赴任するとか、提携先の海外事務所でトレーニングを受ける。
2.      日本で弁護士資格を取得し、上の「渉外ローファーム」みたいな事務所に入り、事務所に海外留学させてもらう。
3.      日本で弁護士資格を取得し、何年か働いた後、自分で海外のロースクールに留学し、現地の弁護士資格を取得し(この場合は日本の弁護士資格を持っているので、必ずしもダブルライセンスでなくともよいかもしれないが)、帰国するか、現地に留まって仕事を続ける。
4.      自分で海外に飛び、(日本ではなく)海外の弁護士資格を取得し、帰国するか、現地に留まって仕事を続ける。
 

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恐縮ながら、本記事を読んでいる方が日本在住の日本人であることを前提に書いている。
海外での法律系の仕事の経験なく、日本で英会話スクール等に通って英語を習得し、「国際派弁護士だ!」と言っている人も探せばいるかもしれないが、あまりお会いしたことがない。
従って、上はどこかで「海外経験を積む」ことを前提としたキャリアの例である。
 
私はどれでしょう?というのは置いておいて、上の「1」~「4」まですべてのタイプの方とお会いしたり、一緒に仕事したりしたことがある。
 
「海外案件に強い日本人の弁護士」は「2」と「3」のパターンが多いと感じる。
 
ただ「1」と「2」のルートは、そもそも弁護士の中でも結構エリートじゃないと大手のグローバルファームに入るのが難しい。
中規模の弁護士事務所で「国内案件が中心だが、海外案件も扱ってます」みたいなところに入れればよいのかもしれないが、海外案件の比率がどれだけあるのか、入ってみないと分からない場合が多いし、未経験でそこらへんの事務所に入るのもなかなか難しいと思う。
 
私は働きながら自費で海外のロースクールに通ったのだが、「2」の「事務所に海外留学させてもらう」というのは、結構ラッキーな話と思うかもしれない。
大手の法律事務所のホームぺージで、たまに弁護士のプロフィール欄に「米国留学中」とか書かれていることがあるが、正にそういうケースである。
 
これもいくつかパターンがあって、本当に「事務所にお金を出してもらって、留学させてもらう」という弁護士もいる。
ただし、事務所のお金で留学するというのは当然のことながら、「海外でスキルアップし、可能であればダブルライセンスホルダーとなって、事務所に戻ってきて貢献してくれ」という話なので、「帰国後〇〇年は他の事務所に移籍してはならない」みたいな契約書にサインさせられたりすることがある(どれだけエグい契約条件に同意させられるかは事務所次第と思われる)。
また、それだけ事務所から高く評価(信頼)される人材にならなければならないとも思う。
 
「自分のお金で1年間米国に留学し、給料も発生しないが、事務所が退所扱いにせず、籍を残しておいてくれる」というパターンも見たことがある。
いずれの場合も、ただの留学ならまだしも、米国のニューヨーク州とかカリフォルニア州みたいに「1年間のLLM留学の後、現地のBarを受けて弁護士資格取得すること」まで事務所から期待されているような場合、結構大きなプレッシャーだと思う。
 
因みに、日本人が海外の弁護士資格を持っているといった場合、米国ニューヨーク州またはカリフォルニア州の資格である場合が圧倒的に多い。
これは、これら2つの州が単純に人気があるという話ではなく、年数が少なくて済むのである。
 
細かいルールはちょくちょく変わるみたいだが、大雑把に言うと、米国の多くの州では「JD(Juris Doctor)」という3年制のロースクールを卒業しないと司法試験(Bar Exam)を受けることができない。
一方、ニューヨーク州とカリフォルニア州では、他国で法学部を卒業していたり、他国の弁護士資格を持っている場合、「LLM(Masters of Laws)」という約1年制のロースクールを出るとBarの受験資格を得られるといったように所要年数が他の州より短くて済むという背景がある。
 
恐縮ながら、私はこれらの州のBarを受験したことがないので、チャレンジしたい方は自分の今の学歴やキャリアで「LLM→Barの受験資格」のルートでいけるかどうかは、ご自身で再確認いただければと思う。

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上に書いた「4」のルート(海外に飛び、(日本ではなく)海外の弁護士資格を取得し、、、)だが、、、これはそこそこに勇気が必要かもしれない。

一刀両断で恐縮だが、どこの国の弁護士資格も保有せず、法律系の仕事の経験もない状態でいきなり海外に飛んで、ローファームのポジションを見付けるとか、かなり至難の業だと思う。
よほど幸運でない限り、少し回り道(現地で違う仕事やりながら、チャンスを窺うとか、、、)をすることになると思う。

ただ法律の仕事に限らず、自分にやりたい仕事があり、国内でその仕事に就くこととか競争力を付けるのが難しいと感じた場合、仮に「+海外経験」で付加価値が出て理想的なキャリアを歩むことができる可能性が高まるのであれば、思い切って海外に飛び出してみるというのも若いウチは大いにアリだと思う。
 
率直なところ、海外に飛び出すことについては、できるだけ若いウチにやった方がよいと個人的には思っている。
「いずれ海外に住みたい/海外で仕事したい」とか思っていても、年を取るとともに(個人差はあれど)気力や体力が衰えてくるし、変化を恐れるようになってくるかもしれないし、家庭を持ち始めたりするとますますハードルが上がってくる。
 
何よりも、若いウチって「あまり失うものがない」というのが強みだと思っている。
海外に出て失敗しても、もともと大したものは積み上げてなくてハングリーだったりするので、「ダメ元でやったるか!」みたいな挑戦がしやすいと思うのである。
これが、国内でキャリアを積み重ねてきて年齢も積み重ねてきたりすると、「これまで積み上げてきたものを失うかも、、、」とか、「今海外に出ても、間違いなく収入は減るだろう、、、」とか色々考え、なかなか踏ん切りがつかなくなるかもしれない。
 
あと特に海外志向が強い方は、若いウチに海外で生活していると、帰国後に心が落ち込んだときに「ここではなく、海外に出れば桃源郷があるかも!」みたいに、海外に対して見当違いなファンタジーを抱くことがなくなるのも利点だと思う。
当然のことながら、何らかの問題を抱えているときに「海外に出ればすべてが解決する」なんてことはない。

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ダラダラと書いていたら長くなってきた。。。
7,000文字だって!
いったん、今回はここらへんで終わろう。
ロースクールでの勉強話が全然進んでいない。。。
 
ところで、仕事の延長みたいで億劫だというのもあるけど、ここらへんのリアルな仕事系の話を頻繁に更新していると、私のことを知っている人が見ると特定されそうでもある。

まあ、そのときは諦めるけど、リアルで私を知ってる人が「コイツは法律系の記事も書かず、何ピヲピヲ🐦🐦やってんだ?」と、私の憩いのピヲピヲアシスが脅かされても困る。
別にいーじゃんね? 皆が皆、noteでリアルな仕事のこと書いてるわけでもないじゃんね? 本業以外のことで後半の人生ヲ楽しんでも、別にそんなの勝手だよね?(←私は架空の誰に対して抗議してるんだ?^^;)

万一、知っている人が覗きに来ないように、今後もたま~に更新するかもしれないし、しないかもしれない(知ってる人が来たら、記事ごと削除するかもしれない^^;)。。。。

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