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脳神経外科専門医試験 合格体験記 その① 試験の概要と受験資格
2024年も残すところあとわずか。今年の締めくくりとして、私が取り組んだ脳神経外科専門医試験と脳神経血管内治療専門医試験について、複数回に分けて合格体験記と試験対策をお届けします。特に、以前に取得していた救急科専門医試験との対比を交えながら記載していきます。
医療の道を志す方や同じ試験に挑む方にとって、少しでも有益な情報となれば幸いです。
今回は、その①としてまずは試験の概要と試験の難易度等についてです。
1. はじめに:医師としてのキャリアと専門医試験の位置づけ
まず、医師のキャリアについて簡単に説明します。医師は医学部を卒業後、医師国家試験に合格し、医師免許を取得します。その後、2年間の初期研修を経て、各診療科の専門医を目指します。(←最近では”直美”とかいう、初期研修をせずに美容系の世界に入る人もいるそうですが、まだまだメジャーではないと思いたいです。)
現在では、専門医の認定は「日本専門医機構」という団体が主体となり、各診療科ごとに定められた基準と試験をクリアする必要があります。
脳神経外科専門医試験は、私にとって厳しい道のりでしたが、その分得られるものも大きかったです。本記事では、この試験の概要や対策、合格までのプロセスを具体的にお伝えします。
2. 脳神経外科専門医試験とは?
専門医取得までの道のり
脳神経外科専門医を取得するには、初期研修の2年間に加え、4年間の後期研修(専攻医期間)が必要です。最短で医学部卒業から7年目に受験資格を得ることができます。しかし、この4年間はただ働くだけではなく、以下のような厳しい条件をクリアしなければなりません。
手術経験の積み重ね
脳腫瘍、脳血管障害、機能系疾患、脊椎脊髄、小児、外傷の6分野すべてで、一定数の手術経験を積む必要があります。これには実際に手術を行う「術者」としての経験だけでなく、助手や見学も含まれます。ただし、すべての分野を網羅する症例が揃う病院は少なく、大学病院の専攻医以外は、複数の病院を回る必要がある場合がほとんどです。学術活動
学会発表や脳神経外科関連の原著論文の発表も必須です。私は受験資格の申請時点で論文が掲載予定だったため、何とか間に合いましたが、この点もハードルの一つです。
受験資格のハードル
受験資格を得るまでのプロセスは非常に厳しく、症例経験や学術活動をクリアすることがまず第一関門です。これを乗り越えた後、いよいよ試験勉強が始まります。
3. 試験勉強の難しさと対策
広範な試験範囲
脳神経外科専門医試験の最大の難しさは、その試験範囲の広さです。公式の参考書として挙げられている「脳神経外科学(金芳堂)」は全2880ページ。その内容を網羅するだけでも膨大な時間が必要です。さらに、脳腫瘍の遺伝子診断や遺伝子を標的とした治療方法、脳血管障害系では、脳卒中関連の最新の研究、論文、あるいはガイドライン(例:2021年WHOガイドライン)からも出題されるため、教科書だけではカバーしきれない部分が相当あります。 ちなみに、私は救急科専門医も2021年に取得しておりますが、こちらは対照的に試験範囲は1500ページほどの救急診療指針という一冊の本でこの中から出題しますと明記されています。分厚さが段違いです。。
公開されない過去問と再現問題の重要性
試験のもう一つの難点は、過去問が公開されていないことです。そのため、先輩方が記録した再現問題が貴重な情報源となります。ただし、再現問題には以下のような課題もあります。
再現率が低い問題がある
正確な解答がわからない場合がある
画像診断や治療方針を問う問題など、再現が難しい問題も多い
試験対策は、これらの不確定要素を抱えながら進める必要があります。
この点も救急科専門医試験では、学会が過去問を公開しておりなおかつ、解答もつけていただけるので本当に試験対策がしやすかったなぁと今では思います。
4. 試験対策のポイントと心構え
脳神経外科専門医試験を乗り切るために、私が意識したポイントをいくつか挙げます。
計画的な学習スケジュールを立てる
試験範囲が広いため、早めにスケジュールを作成し、効率的に学習を進めることが重要です。再現問題を活用する
先輩方が残してくれた再現問題は貴重な教材です。ただし、すべてを鵜呑みにせず、自分で調べて理解を深めることも大切です。最新のガイドラインや研究をチェックする
特に脳腫瘍の分野では、最新の知識が求められます。また具体的な対策は別に書きますが、遺伝子や治療法などをまとめてくれている”脳腫瘍セミナー”は試験に受かりたいなら必ず受けたほうが良いと断言します。メンタルを保つ
試験勉強は長期戦です。焦らず、着実に知識を積み重ねることが合格への近道です。
5. おわりに:挑戦を振り返って
脳神経外科専門医試験は、これまでの医師人生の中でも最も厳しい試験の一つでした。しかし、この経験を通じて得られた知識やスキルは、今後の診療に大いに役立つと確信しています。同じ道を目指す方々にとって、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
この記事を読んで「役に立った!」と思った方は、ぜひコメントや高評価をお願いします。また、試験に挑む方々の体験談やアドバイスがあれば、ぜひ共有してください。一緒に成長していきましょう!
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