Enter the blue spring(小説)#1

第一話 並行世界

並行世界には、不思議な人間が存在している。とある未来の世界には、人間かどうかも分からないような、強大で個性的な生態を持つ生物が、並行世界を使ってゲームをやっている。
彼らのゲームを受けて、滅んでしまった文明も存在した。
これは、青春が存在する世界を舞台に繰り広げられる、とあるゲームのお話………

未来世界 教室
プロジェクターによって、黒板に動画が映し出された。

ツブエス「皆様こんにちはー!株式会社ツブエス代表取締役のツブエスです!突然ですが、皆様にアップデートのご報告がございま~す!今までのenter the blue springは、『青春』という概念が存在する世界を訪れ、ミッションやその世界の住人を通して、『青春』を体験する素晴らしいRPGでした!このコンテンツは当然称賛を受けましたが、一方で『マスターゲットレイダーを他の世界に持ち込んだら、秩序が乱れてしまうのではないか。』とか、『アクティビティ要素であるレイドモンスター、レイダーは大変危険なのに、それを他の世界で実装するのはどうなのか。』とか、『そもそもこの世界の仕様を無理矢理他の世界に押し付けたら、迷惑ではないのか。』などの批判を浴びることにもなりました。そこで!今回から新たなレイドモンスター、『世界の理』を配置し、秩序を乱さず!皆様が安心してゲームを進められるように、アップデートしたいと思います!これからもenter the blue springをお楽しみください!学生の皆さんは勉強も大事ですが、一番は楽しむことです!論文頑張ってください!」

ピッ(動画が終わる。)
先生「とのことだ。皆は彼らからすれば『未来人』になるわけだから、羽目を外して他の世界の人に迷惑かけないようにな。」
一同「はーい。」
???「何だよ、こりゃ動きにくくなったな~。」
???「下らん、俺は野球をする。」
???「ええ。私もそうさせてもらうわ。」
???「俺は発砲できれば、それでいい。」
???「ただでさえ難しいのに…面倒事が増えますね。」
???「本当だよ。はあ~、早くおうちに帰りたい。さっさとログインして、2000年前の家でダラダラするか、帰宅するかしたいなー。」
???「まあまあ皆、世界は僕らの思い通りな訳じゃないんだから。」
???「ケッ、いけ好かない奴らが介入してくるとはな。」
???「ま、取り敢えずログインしましょ。」
???「そうだな。」
???「おう!」
ログイン!

2019年 二次元世界
快人の家
快人「うーん、いい朝だ。いってきまーす!」
(ナレーションを快人に交代、進○ゼミ風に)
やあ、僕は清聴快人!
清秀沢高校1年、生徒会長だ!
何で一年で生徒会長なのかって?
うーん、よく分からないけど、票がものすごく集まって、尊敬されたからかな?僕もよく分からないんだけどね(笑)
お、学校が見えてきた。今日も1日、頑張るぞー!

enter the blue spring!
はじめから
つづきから←決定

現代世界 教室
快人「うーん、授業終わったー。」
快人は伸びをした。今はお昼休みだ。たくさんの人が友達と会話をしたり、お昼を食べたりしている。隣の人も友達と廊下へ行ってしまい、今は僕一人だ。快人「暇だなー……。そうだ、時間もあるし、課題を済ませてしまおう。」
お昼を食べて課題をやり、僕はこの時間を消化することにした。

放課後
快人「やっと授業全部終わったーー。今日はお仕事もないし、完全にoffだー!」
…とはいえ、実は気がかりなことが一つ。実は僕の友達が、何やら夜中に学校でたむろしようとしてるんだよねー。いや、そういうのは警備員がどうにかすると思うんだけどー……ぶっちゃけあの人達警備員殺しかねないからな。
快人「仕方ないなー…夜見に行くかあ……。」
今から気が重いけど、僕は早めに帰って仮眠を取ることにした。

快人宅 午前2時
快人「彼らが行くとしたら、この時間帯だな。」
まあ間違いなく人がいない時間に移動してPVPをするのが彼らの腹だろう。
あ、PVPというのはplayer VS playerという意味です。僕らはこの世界に来るときに、レイドモンスターというモンスターを呼び出して、それらを狩るという遊びもしています。その狩る時の武装が「レイダー」というもので、お互いにそれを纏って戦うプレイヤー同士のバトルが、このゲームのPVPです。
分かりにくくてすみません。
というわけで、この事態を打開すべく、まずはこちら。

(ドラ○もん風に)テッテレー🎵
マスターゲットレイダー❗

これを使うと、世界の法則をねじ曲げて、色んなことができちゃうよ♪︎あ、ちなみにとあるミッションをクリアしないと使えません。あしからず。

レイダーon、瞬間移動

快人は家から学校へ瞬間移動をした。

清秀沢高校
快人「ふう…まずはここだな。」
僕は校門前に移動するのではなく、まず校舎内の生徒会会議室に場所を設定した。
友達が凄腕のスナイパーなので下手な真似はできない。
まずは窓から校庭の様子見だな。でもその前に、まずは紅茶を飲んで落ち着こう。
僕は家から持ち出した紅茶を飲む。この瞬間が好きなんだよね。もう、1日のね、ルーティンと言いますか、あのーもはやこれが1日の本タ

バリーン!(ガラスが割れる音)

……最後まで言わせてもらえなかった(モンスターが現れた。)

(そしてここでCM)

モンスター「ギューオーガががガ!」
快人「まあ、現象的には有り得なくはないんだけど…確かこのモンスターって…」
確かにこの「ゲーム」において、モンスターが現れるのは何ら不思議ではない。しかし、このモンスターは快人の友達が所持しているモンスターと同じ見た目をしていた。
???「おーい、そっちじゃないってばー!」
快人が声のした方に目をやると、それはこのモンスターの持ち主だった。
???「ダメじゃん、スカル忍者。ちゃんと三棟行ってくれなきゃ。」
スカル忍者「ナンダト!まさか騙したのか!?」
???「誰も騙してないってー。」
快人「はあ…やっぱり君か。スカル忍者なんか召喚して、いったい何をしてるんだ?一花。」
彼女の名前は泉 一花。僕と同じ未来人だ。
一花「何って、見れば分かるでしょ?PVPしてるんだよ。」
なるほど。
レイダーという武装はレイドモンスターの生体エネルギーを力に変える。
それを応用すれば、生体エネルギーからモンスターの肉体を生成し、戦わせることが可能だ。
快人「つまりモンスターと手分けして敵を探しているというわけか。」
一花「そうそう。」
快人「あのねー……広いからってここを戦場にしたら、校舎が壊れることくらい分かるよね?」
一花「別に壊れたってマスターゲットレイダーで直せば良いじゃん。」
快人「じゃあ誰が直すんだよ。」
一花「いや、それは知らないけども…。」
快人「ちゃんと責任取って処理できないなら、別の場所でやりなさい。」
一花「ちぇ、はーい。」
快人「さて、皆がどこにいるかは分かるかい?」
一花「校庭で何人かはまだ戦ってるけど…」
快人「分かった。ありがとう。」
快人は急いで校庭へと向かった。

昇降口
零斗「はあ!」
玲奈「何の!当たらないわ!」
TURUGECHARGE!
快人「ちょーおと待ったー!」零斗「おおっと!」
零斗はレイダーの背中の拡張武装であるラビットダガーで突進していたので、急に飛び出してきた快人に驚いて校舎に突っ込み、柱にヒビを入れた。
快人「あっ」
玲奈「急に何なの?快人。」
零斗「やれやれ。急に飛び出してきたらびっくりするだろ。」
快人「ここでしれっとこういうバトルするのやめてもらえます?」
零斗「安心しろ。そこら辺はしっかり気を遣っている。」
快人「たった今ヒビ入れたよね君。」
零斗「……」
玲奈「これでも気を付けてるから。」
快人「はあ…ちゃんと直しといてよ、それ。あ、まだ君たち以外にも戦っている人はいるかい?」
玲奈「ああ。校庭でまだ二人が戦ってるけど。」

校庭
未来「オラ!」
奈義子「まだまだ!」
未来「ぐぬぬ…思ったよりしぶといな…なら」
レイダーon、強化 対象 電気
未来は自身の拡張武装を強化した。
未来「どうだ!」
奈義子が武装したトリチファイターレイダーの装甲でも、流石に手痛いダメージが入る。
奈義子「く、なかなかやりますね…」
未来「へへっ(笑)だろ?」
未来はマスターゲットレイダーの中に入っているカードの入った箱からカードを取り出し、そのカードをもう一度箱の中に入れた。出し入れのみでカードが読み込まれ、必殺技が発動可能になる。
未来「これで終わりだ!」
必殺技の発動と同時に召喚が発動し、未来の所持モンスターである火山竜が現れる。
火山竜「アーギュギュオン!(鳴き声)」
火山竜は翼の代わりに生えている電気を纏った蛇を、滑り台のような形にして未来をのせる。
未来「くらえー!」
未来は電気を纏って勢いよく滑り、飛び蹴りを放った。
奈義子「確かに強いですが」
レイダーon
快人「ちょっとあれ止めないと、威力でグラウンドが吹き飛ぶよね。」
零斗「まあ吹き飛ぶって言っても、まだ手に負える範囲で済むはずだろう。」
奈義子「マスターゲットレイダーを使えるのは私も一緒です!」
ベクトル操作
玲奈「えっ!?それはまずいわよ!」
今使ったのは物体の運動方向を自由に変えられるベクトル操作。
つまりこの後未来は奈義子とグラウンドではなく、校舎かバックネットに蹴りを入れることになる。その威力は地面に当たれば半径5mのクレーターができるほど。
未来「わわ!?ちょっと、事故るって!うわー!?」
未来は校舎の壁を派手に突き破って、校舎の中に突っ込んでいった。
快人「……」
玲奈「これはひどい。」
快人「『未来人』のくせにこういう事態を起こすなんて呆れるよ、つくづく。」

一方その頃、グラウンドの隅の茂みから様子を伺う人物がいた。
音邪「そろそろぶちかますか。」
清聴快人の弟、清聴音邪である。
音邪は拡張武器のサタンブレードに、アイテムであるサタンプラグを取り付ける。
ブールアア! サタンブレードスラッシュ!

快人「とにかく、協力して校舎を直して、学生にバレないようにするよ。」
零斗「そうだな。」
未来「痛っててー、校舎壊しちまった。ん?」
未来に向かって、巨大な斬撃波がとんできた。
未来「ええ!?待って!なになになにな」
ログアウト!
HPが0になったので、未来はこのゲームから退場した。

事務室
警備員「うー、疲れた。帰ってご飯食べて風呂入って寝よ。」
ゴゴゴゴゴゴゴ…………………………
警備員「ん?何だこの音?」
ドガーン!

校舎は音を立てて崩壊した。

音邪「よし、これで未来の命は尽きたな。」
音邪くーん……………
音邪「ん?」
ちょうど校舎の方から声がしたのでそちらを向く。するとそこには快人の姿があった。
快人「ちょーっとお話があるんだけどいいかなー音邪君!」
音邪「ゲッ!快人!?何でここに?」
零斗「御愁傷様だなー音邪。」
音邪「いやマジでなんで?どうやって気づい」
快人「いいから来い。」
音邪「は、はい……」
快人は遠くの方にいる音邪を呼び出して説教をする。
快人「お前さ、校舎が壊れること分かってて必殺技撃ったよな?しかも必殺技で壊れかけてるのに撃ったよなお前。」
音邪「未来が壊してたし、どうせ直すなら別に良いかなと。」
快人「何?じゃあ責任取ってこれ、お前が直すの?」
音邪(露骨に目をそらす。)
快人「目をそらすな目を。はあ…」
壊すだけ壊しておいて、自分は直す気がないというね。心底呆れてしまう。
快人「音邪だけじゃないぞ。お前ら、PVPをやるんだったら周りの建物とかの被害も考えろ。それと、ここでするのは禁止だ。死んだ未来君にも伝えておけ。」
???「待てよ。それじゃあ俺のスナイパー戦法ができないじゃないか。」
零斗「レオン…お前生きてたのか。」
中塚 レオン。彼も僕らと同じ、ゲームにログインした未来人だ。
レオン「高台が崩れることも想定しておく。スナイパーの基本だ。」
快人「ほう。何でここじゃないとダメなんだ?」
レオン「ここは俺が戦う上で有利だ。」
快人「へ?」
レオン「ひたすらバンバン撃って相手にダメージを与え、自分は攻撃されないーー最高だとだと思わないか?この戦法をとるためにも禁止はやm」
快人「嫌ならライフル射撃部は
廃部」
レオン「誠に申し訳ございません金輪際ここでは戦わないようにします。」
一花「変わり身はや!?」
快人「よろしい、今後は自分たちで場所を作って安全にPVPをしたまえ。」
一同「はーい…」
こうして彼らをしつけ、何とか校舎を直し、僕は安心して眠りについた。
翌日、あろうことか彼らが公園でPVPをしようとして、何もない土地に三階建てパーキングエリアを作ったのはまた、別のお話………

ゲームルール
ミッションをクリアすると、レイダーへの変身が可能になり、プレイヤー間のPVPも可能になる。
ご自由にお楽しみください。

次回予告
快人「そういえばさ、音邪が学校の名前を考えたんだよな?あれってどういう意味なの?」
音邪「『清』聴音邪は優『秀』!下北『沢』の略だぞ。」
快人「何か聞いて損した…」
次回 enter the blue spring
第2話 ride on
音邪「俺を崇めよ!称えよ!」
快人「ちょっと黙ってくれる?」

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