なんとなく書いた801小説
俺は詩人だ。誰が何と言おうと詩人なのだ。で、今んとこ詩じゃ食ってけないからバイトしてる。惣菜屋のバイトである。商店街にあって、今どきの商店街の店にしちゃけっこう繁盛している。
「春くん、そこのきんぴら100グラムちょーだい」
「了解です! ちょっと待っててくださいね」
きんぴらをプラケースに入れる。若干こぼれた。俺は世界をだいたいで把握しているからこういうことになる。
「はい、どーぞっ」
「ありがとー! 明日も来るよ」
「ぜひぜひ!」
はぁ……疲れる……いや、俺は社交的なふりをした内向型なので……。このテンション保つの辛いわ。もっと低めてこうかな。とは思いつつも、好かれたいのでむりやりテンションを上げる日々である。まぁ社会人だったら普通だよね……。俺社会人のあぶれ者だけど……。
と、そんなこんなで、アパートに戻る。リビングで寝そべった。はぁ。早く売れたいな。バイトやめたい。できれば。俺の詩才があれば……売れる……はずなのに……。と、ケータイが鳴った。
「もしもしぃ?」
「よ。元気してるか」
声の主は堤である。堤は大学生の頃のサークル仲間であり今でも続く友達。こうしてたまに電話をくれるのだ。
「元気じゃないい……疲れた……」
「そうかそうか」
なんでそんな嬉しそうなんだ。
「今度飲みに行こうぜ」
「ウン……」
「いつもの居酒屋でな」
「分かった」
「お前昔から体力ないもんな〜」
「うん……いやそんなことない……」
「あるだろ〜いっつも疲れてたもんな」
「そう……?」
「まぁ飲めよ」
「弱いからいい」
「そっか」
おいしそうにビールを飲む堤。
「大学時代、楽しかったな」
「まあね」
「お前がいたから楽しかったのかも」
「そう?」
「うん。お前、なんか小動物みたいで庇護欲掻き立てられたんだよな」
「なにそれ」
「可愛いってこと」
「そんなことないよ」
「あるんだって」
堤が相好を崩す。
「どんな女子よりお前が可愛かったよ」
「なに……口説いてんの……?」
「へへ、そうかも」
えっ。俺口説かれてんの??? なぜに???
「俺、男だよ?」
「知ってるって」
「ええ〜……」
「残念ながら俺は恋愛感情……詩にしか感じないので……」
「知ってる知ってる。変態ヤローだな〜」
「変態じゃないもん」
「そうか〜」
頭をヨシヨシされる。なんだよ。
「オネンネだもんな、春は」
「ぶぅ」
「膨れるなって〜」
もう俺が何言っても笑い転げるタームになっている堤。怒るぞ。