1000文字小説(56)・ハード未来な抗争⇔前世・凄スコープ⇔いつもの面メンバー(SFコメディ)
俺は、NOーBI太。
タケノコプターを頭頂部に貼り付け、猛スピードで空を飛んでいる。
DORAに、連れられてきた【未来-世界】は、超しんどかった。
【未来-世界】に来てから、激しい抗争が続いている。
いつ殺されるかわからなかった。
今日は復讐だった。手にはレーザーライフル。このライフルは、相手を瞬殺できるのが特徴である。
――いつ死んだか分からないうちに死ぬという。
今日。DORAから渡されたサングラスをしている。
『前世・スコープ』だ。
まだ操作は慣れていない。
『前世での関係が、フォログラムで○×△で表示される。〇が仲間で、×が宿敵。△は微妙な関係。これが、スコープを通してフォログラムで表示されます』
DORAの声が、蘇る。
(マズいな)
左手に撒かれた包帯から、血が染み出してくる。
搾りたてのトマトジュースのよう。
「探し出して、絶対に復讐する」
俺は、昨日、半グレに腕を撃たれたことを忘れていない。
今日、こうしてタケノコプターで、やってきたのも、彼らへの復讐が目的である。
「おい。DORA」
俺は、前を飛ぶロボットに声をかけた。
「何だい。NOーBI太君」
「アイツら、どこに潜んでいるのかな」
「アイツらって?」
「決まってるさ。GIANTとスネーク男のことだよ」
GIANTとスネーク男は、半グレを率いて、街を牛耳っている。
「ダダダダダ」
銃声が聞こえる。
「おっと」
タケノコプターを操作して、銃撃を交わした。半グレだった。アイツらの手下だ。
今日は、『前世・凄スコープ』で、あの二人の顔を、眺めて見たいという願望があった。
きっと、無数の「×」が、表示される。闘争心が駆り立てられそう。
「凄スコープ、使用開始」
スコープのスイッチを入れる。
アップになるDORAの顔。
「え」
DORAの顔の横に、『×』が無数に並んでいる。
「どういうこと。わからん」
「ボクとNOーBI太は、前世で、宿敵同士だったんです。NOーBI太は、妹・DORAーMIを惨殺したのです」
「本当かよ」
「証拠は、あるのかよ」
「僕の耳って欠けているでしょう。DORAーMIが襲撃された時、流れ弾に当たった」
「覚えてない」
「都合の悪いことを忘れてしまうのは、当時と変わっていないな」
「死ね、NOーBI太」
DORAが、マシンガンを発射してくる。
NOーBI太は、タケノコプターをつけたまま、奈落の底へと落下していった。