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塔12月号 三井修欄好きな歌
塔12月号三井修さん選の中から、好きな歌を書き留めておきます。敬称略です、すみません。
しんけんに働き方を迷ひをり夢のわたしはまだ働ける/阿蘇礼子
→早期定年退職をして数年。まだ働くこともできたかな、と、私も折々に思います。初句、ひらがなに開かれているのがいいです。
子供らの膝に囲まれほたほたと線香花火のしづく落ちゐる/小平厚子
→「ほたほたと」が!! 大好きです。
「難病の僕に貼られたレッテルでオレの人生決めるなよ」と夫/弟子丸直美
→「僕」と「オレ」この違いに、夫さんの葛藤を感じるお歌でした。
四百年溶けない罪を背負わされペットボトルは海を漂う/則本篤男
→そんな罪を背負わせたのは人間なんですよね
熱帯夜明けて新聞とりに出で青松虫の初の「り」を聞く/倉成悦子
ささやかを見過ごして雨、麻の葉の産着にのぞくちいさな爪よ/増田美恵子
人伝に訃報を聞く日の来るだろう会うのをやめた親友がいる/丸山かなえ
悲しみに安心感のまさるときありて驚く父を亡くして/宮脇泉
わが途を歩み出だせる吾子なれば節目となりぬ決別の季/和花
歩車lー分離式信号機 忘れてもいいことばかり話し続けて/真栄城玄太
病床の母去りぎわの吾の背に「こんなおかあさんでごめん」/赤田文女
生きたいのに死ぬ 死にたいのに生きる それを絶望というのだきっと/安藤密豆
こわごわと大きな腹に手をあてて「おさかなはねた」と児ははしゃぎ回る/成瀬真澄
今回は以上になります。最後までお読みいただき、ありがとうございます。