柴崎友香『わたしがいなかった街で』

 この前の『週末カミング』が気に入ったのでほかの本を適当に図書館で借りた。決して悪くはないんだけど、主人公にちょっとイライラしたのと、脇役たちがこの前の作品よりも嫌いな人、というか、私にとっては魅力がない人が多かった。よく出てくる貧しいけれど自由人な中井はいいけど、たとえば主人公の友達の有子のお父さん。主人公の言うことにいちいち厳しいことを言う。それはいくらなんでも失礼なんじゃないの、と何度も思った。この人たちは本音で語り合うからこうなるのかなあ、私は家族やごく親しい友達以外は表面でしか人と付き合わないからなあ、などと思ったりしつつも、私だったら、こういう人からは、なるべく遠ざかる。最後に、有子が遠くに引っ越すのにもかかわらず、主人公が、お父さんのところに遊びに来させてください、という気持ちがまったくわからなかった。

 あと、この主人公は戦争のドキュメンタリーをひたすら見続ける人で、そこの描写が読みたくなかったのでその部分は斜め読みになってしまった。