【中村先生が女子力カンスト彼女に癒される話】

※二次創作
※中村先生夢(夢?)
※名前変換機能がないため夢主の名前は「ゴマミソ」さん固定



 下のオートロックの呼び出し音ではなく玄関前のインターフォンが鳴る音がした。
「はいはーい」
 ドアを開けると少し冷えた風が吹き込んだ。外に立っていた姿勢のいい男を招き入れる。
「お疲れさま」
「つ、疲れた……」
 荷物を左右の手にぶら下げたまま白目をむいて立ち尽くしている彼の手から、ひとつずつ荷物をもぎとった。使用済みの着替えが入っているだろうひとつは洗濯機の横に置き、ひとつは手に持ったままリビングへと先導する。
「今日も遅かったねえ。ご飯まだなんでしょ?」
「途中でおにぎり1個だけ食ったけど……腹減ったな……」
「りょーかい」
 明日は彼がお休みの日だ。毎週のようにお休みの前日は家に泊まりに来てくれるけれど、ここ最近、コンクールの近い生徒を受け持っているという彼の訪問時刻はどんどん遅くなっていた。一応夕食を用意して待ってはいるが、がっつり食べるのも憚られる時間になることも増えたので、なるべく罪悪感の少ないメニューで作るようにしている。
「今日はラタトゥーユと鶏ハムでーす。あったかいのと冷たいの、どっちがいい?」
「おお……じゃああったかいので」
「りょーかーい」
 温めなおした1人分の料理をテーブルに並べ、2人で席に着く。もうスーパーでも夏野菜はいよいよ見かけなくなったとか、鶏ハムの低温調理による細菌の危険性についてとか、ぽつぽつと取りとめないことを話しながら彼が箸を進めるのを正面から眺める。彼はうんうんと返事をしながらどこか上の空で、やはり疲れているようだった。
「じゃあお風呂沸いてるから入ってきなよ」
「ああ……」
 あらかた食べ終えた彼にそう声を掛けるが、ぼうっとしたまますぐに立とうとはしない。
「……」
 私は少し思案してから自分の椅子から立ち、座っている彼の横にまわりこむ。
「大丈夫? おっぱい要る?」
「えっ」
「要る?」
 満面の笑みで両手を広げ、彼に膨らみを誇示してみせる。
「……要る」
 一瞬固まった彼だったが、すぐ吸い寄せられるように、ぽふっと私の胸元に顔を埋めた。日頃から正直邪魔に感じることが多いこの胸だが、なぜか彼には癒し効果を発揮してくれるらしいので、こんなときばかりは「ああ、おっぱい大きいのも悪くないなあ」と思ったりする。
 手癖で彼の後頭部の髪をひと房つまんでは梳くことを繰り返す。肩の力が抜けたなと思った頃合いで、「じゃ、今日の香り選ぼっか」とアロマオイルが入った木の小箱を持ってくる。浴槽のお湯には筋肉の緊張を取るため硫酸マグネシウムのバスソルトが入っているが、香りがついていないので毎回手持ちのアロマオイルから気分の香りを選んでもらうことにしている。1つひとつ小さなガラス瓶のふたを取り、香りを確かめていく。同じ香りでもその日の体調によって感じ方が変わるのがアロマの不思議なところだ。
「じゃあ、これで」
「おっ、ラベンダーですか。珍しいねー。やっぱり疲れてますよお客さあーん」
 そう言って背中をさする。そのまま手のひらに軽く力を入れると、彼もすっと立ち上がった。
「あっ服に赤いのついてる」
「えっごめん」
「あはは」
 自分のパジャマの胸元に食べていないはずのラタトゥーユの染みを発見して笑いながら、ラベンダーオイルの小瓶を持って2人で浴室へ向かった。


 彼がお風呂に入っている間にとりあえずパジャマは着替えて、マッサージ用のオイルを温めておくことにする。ホホバオイルを湯煎用の容器に流し入れ、お風呂に使ったのと同じラベンダーのエッセンシャルオイルをほんの少し香る程度に振り入れる。更に少量、ベルガモットも混ぜておいた。ヘッドマッサージはお風呂に入った後だからオイルは使わずドライマッサージにしよう。あれこれと考えながら準備を整えているうちに、ボクサーパンツ1枚の彼がお風呂から出てきた。水出ししておいたハーブティーの入ったグラスを渡す。
「早かったね。じゃあそこ座って」
 ベッドを背もたれに腰掛けてもらい、私はベッドに座って一段高いところから彼の髪にドライヤーを当てた。
「寒くない?」
「ん」
 準備中に室温は高めに設定したが、心配になって尋ねる。しかし、彼は心地よさそうに目を閉じたまま軽く頷くだけだった。
 少し癖のある柔らかい黒髪。染めていないのでキューティクルもつやつやだ。同じシャンプーを使ってるので、嗅ぎなれた匂いが彼の髪から漂った。
「ふふ」
 彼からは見えない位置で密かににやけながら、冷風に切り替えてヘアドライを仕上げていった。


 髪を乾かし終えた後は、そのまま大判のタオルを敷いたベッドに俯せになってもらう。明かりを落とした部屋の中、温まったオイルを手に取り、広い背中に滑らせていく。彼は体も大きいぶん横からだとやりにくく、いつも上から腰に跨らせてもらっている。
「あーまた腰周り固くなってますねーお客さーん」
 腰を浮かし体重をかけながら指を押し込んでいく。そもそもの筋肉の質が固いので、凝り固まっている箇所をほぐすのはなかなかに重労働だ。彼は知ってか知らずか、「あ゛ーーーー」とか「んぐう」とかいう謎の鳴き声を、抱えた枕に吸い込ませている。
「腰心配だなあ。本当無理はしないでね」
「ん……」
 くぐもった返事を聞きながら私はもぞもぞ後退し、オイルを足しながら彼の脚のほうに移った。バレエダンサーの彼の脚の筋肉は非常に発達しており逞しい。太ももの裏や、パンツを少しずらして、盛り上がったお尻の上の辺りなど、腰に作用するような筋肉を重点的にほぐしていく。ふくらはぎまで辿りついたとき、頭のほうで彼がぼそりと何か言うのが聞こえた。
「あー、ゴマミソちゃんの匂いがする……」
「やだっ、タオル敷いてるでしょ!」
 抱えた枕を更にホールドして「でもいい匂いする……」と呟く彼から、力づくで枕を取り返す。
「はい!体終わり!次、頭ね!仰向け!」
 オイルのついた体の裏面全体をタオルで軽く拭きとり、彼用に置いてあるパジャマを着てもらう。ついでに敷いていたタオル類も回収する。しぶしぶといったていで彼が仰向け姿勢になろうとしたとき、
「はい、じゃあ枕の代わりにこっちー」
と、すかさず自分の正座した膝を滑りこませた。彼の口の端が少し緩む。
「なんでちょっと笑ってるの?」
「やーいつもながら低反発……」
「太ももはムキムキで悪かったなっ」
 自慢の低反発枕の上に彼の頭部を置き、こめかみ、頭頂部と指圧していく。時折眉間に指を当て、左右にシワを伸ばすように滑らせる。
「そんなことしても直らないよ」
 目を瞑ったまま彼が小声で笑う。
「でも怖い顔はよくないよ、せんせー」
「そうだなあ……でもあいつがなあ……もうちょっとなんだよなあ……」
「潤平くん?」
「そう……なんだよなあ……」
 寝入る間際でさえ生徒のことが気になるらしい彼に、くすりと笑みが漏れた。ずっと目を瞑っていた彼の呼吸が徐々に深くなるのがわかり、そして次第に寝息に変わった。私は彼を起こさないようそっと頭を持ち上げ、膝を外した。
 掛け布団を掛け、私も彼の隣に潜りこむ。筋肉質な彼の体温は私のものよりも高く、くっつけばいつもぽかぽかと温かい。
「お疲れさま、中村さん」
 少し伸びをして彼の頬に唇を落とすと、その肩口に顔を押し付けて目を閉じた。



たぶん彼女ちゃんはジェラピケ着てる。
中村先生はメンズラインのジェラピケ入るんか?
 

いいなと思ったら応援しよう!