ソクラテスの問答法
生徒: 哲学者ってなんとなくかっこいいよね。ソクラテス、プラトン、アリストテレスとか聞いたことはあるけどどんな人たちだったのかな?
先生: いい質問ね!ソクラテス、プラトン、アリストテレスは古代ギリシャの有名な哲学者たちで彼らは師弟関係にあったの。ソクラテスはプラトンの師匠、プラトンはアリストテレスの師匠だったのよ。ソクラテスは「無知の知」を大切にしていて、プラトンは「イデア論」を展開し、アリストテレスは現実的な観察や経験を重視したの。順番に活躍したけど、それぞれ違った視点を持っていたのよ。
生徒: 彼らはどうして「哲学」者になったんだろう?背景とかあったのかな?
先生: ソクラテスが哲学に深く関わるきっかけは、「デルフォイの神託」よ。あるとき、ソクラテスの友人が「ソクラテスより賢い者はいない」という神託を聞いてきたの。ソクラテス自身は「自分は何も知らない」と考えていたから、この神託に疑問を持って、自分が本当に賢いのかを探るためにアテネ中の人々に質問を始めたのよ。それが彼の哲学的な探求の始まりだったの。
生徒: ソクラテスさんはどんな出自の人だったのかな?
先生: ソクラテスは庶民階級出身で、お父さんは石工、お母さんは助産師だったの。彼自身も石工の仕事をしていたんじゃないかと言われているわ。でも、ソクラテスは物質的な豊かさにはあまり関心がなく、知恵や「徳」を追求することに重きを置いて、簡素な生活を送っていたのよ。
生徒: そのころの教育はどうなってたんだろう?考え方とかはどこで学んだのかな?
先生: 当時のアテネでは、裕福な家庭の子どもたちは個人教師やソフィストと呼ばれる専門家から読み書きや弁論術などを学んでいたわ。でも、哲学的な考え方は特定の学校ではなく、公共の場での対話を通じて学ばれていたの。ソクラテスも街中で対話を通じて多くを学び、他人との議論や問いかけを通じて思索を深めたのよ。
生徒: 読み書きはできたのかな?
先生: ソクラテス自身が書物を残していないから、はっきりとはわからないけど、アテネの多くの市民と同じように、基本的な読み書きの能力はあったんじゃないかと考えられているわ。彼は書くよりも対話を通じて真理を追求することに重きを置いていたから、書物は残さなかったのよ。
生徒: そんな中、ギリシャでソクラテスはどういう風に哲学を追求していたのかな?
先生: ソクラテスは、問答法を使って哲学を追求していたのよ。この方法は、質問を通じて相手の考えを引き出し、徐々にその矛盾や曖昧さを明らかにしていくものなの。たとえば「徳とは何か?」という問いに対して、相手が「勇気だ」と答えたら、「勇気だけが徳なの?」とか「勇気は常に正しいの?」とさらに掘り下げていくの。こうして相手に考えさせ、自分の知識や価値観を深く見直す機会を与えたのよ。
生徒: 面白そうだね!試してみたい!ソクラテス風に質問をし続けてみてくれない?
先生: いいわね。じゃあ、まずこんな問いから始めるわ。「友達って何だと思う?」
生徒: 友達は一緒にいると楽しいとか居心地がいいとかだけど、客観的に考えてみると社会との大事な接点の一つかな。承認欲求や所属欲を満たしてくれる存在?
先生: 承認欲求や所属欲を満たす存在だとすると、友達がいないとその欲求は満たされないと思う?もし友達がいなくても、別の方法で満たすことはできるのかしら?
生徒: たとえば会社の仲間とかでもいいと思うよ。でも友達の線引き自体も曖昧だから場合によっては友達と言えるかもしれない。
先生: そうね。じゃあ、仕事仲間と友達の違いは何だと思う?どんな点で「友達」と「仲間」が区別されるのかしら?
生徒: 関係性の深さと良好さだと思う。関係が深くて良好なら友達だけど、苦手な人とは友達になれないよね。
先生: 関係性の深さと良好さがポイントなのね。それじゃあ、良好な関係って具体的にどういう状態だと思う?それはどんな条件で成り立つのかしら?
生徒: コミュニケーションがうまく取れることかな。
先生: なるほど。じゃあ、もし意見が対立したり誤解があっても、うまくコミュニケーションができたら友達でいられるのかしら?
生徒: 意見が同じである必要はないよ。むしろ、意見を尊重できることが大事だと思う。押し付ける人とは友達になりにくいかな。
先生: そうね。じゃあ、もし相手が自分の意見を尊重してくれなかった場合、その人とは友達になれないの?それとも、関係が変わる可能性はあるかしら?
生徒: それは相手と状況によると思う。内容が軽いものなら気にしないこともあるし、大事な問題なら難しいかもね。
先生: なるほどね。じゃあ、友達として本当に大切な意見の違いって、どんなものだと思う?どんなテーマで意見が尊重されないと、友達として難しくなるのかしら?
生徒: たとえば、譲れない価値観の違いかな。店員さんに暴言を吐くような人とは、価値観が違って友達になれないかも。
先生: そういう譲れない価値観が関係を左右するのね。じゃあ、友達とどれくらいの価値観を共有できていれば、良い関係を保てると思う?全てが一致していなくても、友達としてやっていけるバランスはどこにあるのかしら?
生徒: なるべく価値観を共有できた方がいいけど、全部じゃなくても、違う考え方を楽しめる関係もあるよね。
先生: そうよね。価値観を共有できることも大事だけど、違いを楽しむのも友達関係の魅力かもしれないわね。今日の対話、すごく深い話だったわね!ソクラテスも、こうやって毎日対話を通じて自分や他人の思考を深めていたのよ。
生徒: そうだね。このやりとりは自分の考えをより深めることに役立った気がする。普段考えていなかった「友達ってどういう存在か」という自己認識が深まったよ。ソクラテスもこうやって日々の会話を通じて思索を深めていたのかな。
先生: その通りよ。ソクラテスは相手と対話しながら、問いかけを通じて自分自身も考えを深めていったのよ。今日の会話みたいに、日常のテーマを深く考えることが、哲学の始まりなんだと思うわ。
注意書き
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