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ウィリアム・ジェームズに学ぶ!習慣が人格を変える哲学

生徒
先生、今日はウィリアム・ジェームズについて教えてくれる?

心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

という言葉で有名な人だよね?
何をやってた人なのかな?


もう一人の心理学の父、ジェームズ

先生
ウィリアム・ジェームズについて知りたいのね。
彼はアメリカの哲学者であり心理学者なのよ。特に「プラグマティズム」という考え方を広めたことで有名なの。プラグマティズムっていうのは、物事の価値や真実は、それが実際の生活の中でどんな結果をもたらすかによって決まる、という考え方なのよ。

それから、ジェームズは「心理学の父」とも呼ばれていて、意識や習慣についてたくさん研究したの。彼は、人間の行動や習慣がどれだけ人生に影響を与えるかを深く考えていたのよ。だから、君が言った「心が変われば行動が変わる~運命が変わる」みたいな考え方にも通じる部分があるわね。

でもね、実はその言葉がジェームズのものかどうかは、はっきり分かっていないのよ。他の哲学者や自己啓発の分野でも似たような表現がよく使われているの。とはいえ、ジェームズ自身も「考え方や習慣が人生に与える影響」を強く信じていたから、彼の考え方に通じるものがあるのは間違いないわ。

彼の有名な著書には『心理学原理』や『宗教的経験の諸相』などがあるの。これらの本では、心の働きや人がどんなふうに物事を信じるのかについて詳しく書かれているのよ。

生徒
そうなんだね!
以前↓の授業で教えてもらったヴントも心理学の父と呼ばれていたと思うのだけど、同じ時代の心理学者だったのかな?

先生
そうね、ヴントも「心理学の父」と呼ばれているわね。
ウィリアム・ジェームズとヴントは、ほぼ同じ時代に活躍していた心理学者なのよ。ジェームズはアメリカ、ヴントはドイツで、それぞれ心理学の発展に大きく貢献したの。

ヴントは1832年生まれで、ジェームズは1842年生まれだから、ジェームズのほうが少し後の世代だけど、二人とも19世紀後半から20世紀初めにかけて心理学を発展させたのよ。

ヴントは心理学を「科学」として確立しようとした人で、実験を通して人間の心の働きを研究したは覚えている?それに対して、ジェームズはもっと実用的な視点を持っていて、心理学を日常生活にどう役立てるかに注目していたの。

生徒
なるほど、心理学に対する捉え方が違ったんだね。
ジェームズはより実用的なものとして捉えていたんだ。

さっき言ってたプラグマティズムについてもう少し教えてくれるかな?

プラグマティズムとは

先生
プラグマティズムっていうのは、簡単に言うと「物事の真理や価値は、それが実際の生活において役に立つかどうかで決まる」という考え方なのよ。つまり、「本当に大事なのは、考えや理論がどれだけ現実の問題を解決できるか」という実用性を重視する哲学なの。

ウィリアム・ジェームズはこの考え方を広めた人のひとりで、「真理は固定されたものではなく、状況や経験によって変わる」と考えていたのよ。例えば、ある考え方が今は役に立たなくても、状況が変わればそれが価値を持つこともあるわけね。だから、真理というのは「使えるかどうか」がポイントになるの。

ジェームズは「考えや信念は、それを持つことで人生がより良くなるなら意味がある」とも言っていたの。例えば、「自分は成功できる」と信じることで、実際に努力して成功に近づくことができるなら、その信念には価値があるってことね。

プラグマティズムの考え方は、今でもビジネスや教育、心理学の分野で使われているのよ。実際に役立つことを優先する考え方だから、現実的な問題解決に向いているのよね。

生徒
すごい合理的な考えの人だったんだね。
プラグマティズムっていうのは、心理学や哲学に限った話ではないと思うんだけどその理解で合ってるかな?
ジェームズはどうやってその考えに至ったんだろう。

先生
そうね、その理解で合っているわよ。プラグマティズムは心理学や哲学だけじゃなくて、政治やビジネス、教育、さらには日常生活の考え方にも応用されているのよ。「実際に役に立つかどうか」が大事な考え方だから、どんな分野でも活かせるのよね。

ウィリアム・ジェームズがどうしてプラグマティズムにたどり着いたのかについてだけど、彼の人生経験や学問の背景が大きく影響しているのよ。

まず、彼は医学を学んでいたことがあって、人間の心と身体の関係について深く考えるようになったの。医学を通じて「理論だけではなく、実際に患者の役に立つことが大事だ」と感じたのかもしれないわね。

それから、彼は人生の中でけっこう悩んだ時期があったのよ。特に若い頃は、自分の人生に意味があるのかどうか悩んで、かなり深刻なスランプに陥ったこともあったの。でも、そのときに「自分の考え方を変えれば、人生も変わる」という気づきを得たの。この経験が、「考えや信念が人生にどんな影響を与えるか」を深く考えるきっかけになったのよ。

また、同じ時代に活躍していた哲学者のチャールズ・サンダース・パースという人からも影響を受けたの。パースは「概念の意味は、それがもたらす実際の効果にある」という考えを持っていて、ジェームズはそれをさらに発展させて、プラグマティズムの考え方を広めていったのよ。

つまり、彼自身の経験や当時の学問の流れが合わさって、「役に立つことこそが本当に価値がある」という考えに至ったのね。

生徒
すごい合理的でわかりやすい考え方だし、身近に感じられるね。
当時は画期的な考え方だったのかな?

先生
そうね、当時としてはかなり画期的な考え方だったのよ。19世紀の終わりから20世紀の初めごろって、ヨーロッパの哲学では「真理とは何か」とか「人間の本質とは」といった抽象的で理論重視の議論が主流だったの。例えば、カントやヘーゲルみたいな哲学者が考えていたのは、普遍的で絶対的な真理を探求することだったのよ。

でも、ウィリアム・ジェームズやチャールズ・サンダース・パースが提唱したプラグマティズムは、そういう伝統的な哲学とはちょっと違ったの。彼らは「真理は固定されたものじゃなくて、私たちの経験や実生活の中でどれだけ役に立つかによって変わる」と考えたから、かなり実用的で新しい発想だったのよ。

特にアメリカでは、この考え方が「実際に行動してみて、結果が良ければそれを信じる」という、アメリカの国民性にも合っていたこともあって、広く受け入れられたの。合理的で分かりやすいから、ビジネスや教育にも応用しやすかったのよね。

でも、最初は「真理に対してそんなに柔軟でいいの?」っていう批判もあったのよ。ヨーロッパの伝統的な哲学者たちは、「真理は変わるものではない」という考えを持っていたから、ジェームズの考え方はちょっと軽く見られることもあったの。でも、時代が進むにつれて、プラグマティズムの「実際に役立つことを大切にする」という考え方が、現代社会にどんどん受け入れられるようになったのよ。

だから、当時としては新しくて画期的な考え方だったし、今の私たちにとってもすごく身近に感じられるんじゃないかな。

生徒
そういう流れだったんだね。
ジェームズは哲学者でもあったと思うんだけど、彼の哲学的思想はどういうものだったのかな?

ジェームズの哲学思想

先生
ウィリアム・ジェームズの哲学的思想について、もう少し詳しく説明するわね。彼は心理学者として有名だけど、実は哲学の分野でも大きな影響を与えたのよ。

彼の哲学の考え方は、主にプラグマティズム実存主義に近い部分があるのが特徴なの。特に彼は「経験」と「行動」に基づいた実用的な哲学を展開していたのよ。

1. プラグマティズム(実用主義)

さっきも話したように、ジェームズは「真理は固定されたものではなく、経験を通して実生活の中で役に立つかどうかで決まる」という考えを持っていたの。彼は「アイデアや信念の価値は、それがもたらす結果によって評価されるべきだ」と考えたのよ。

例えば、「神は存在するか?」という問いに対しても、ジェームズは「その信念が人々の生き方に良い影響を与えるなら、それは“真”として受け入れる価値がある」と考えたの。この考え方は、厳密な証明よりも「役に立つかどうか」を重視するところがポイントね。

2. 多元的宇宙論(Pluralism:多元論)

ジェームズは「世界はひとつの絶対的な真理によって説明できるものではなく、たくさんの異なる視点や経験によって成り立っている」と考えたのよ。これは「多元的宇宙論」と呼ばれていて、彼は「世界は一つの法則やルールで説明しきれない」という立場を取っていたの。

つまり、私たちの世界は人それぞれの経験によって違って見えるし、それぞれの立場からの「真理」があっていい、という考え方なのよ。これも、彼の「実際にどう役立つかを大事にする」哲学とつながっているのね。

3. 意志の自由と選択

ジェームズは「人間には自由な意志があり、自分の行動や信念を選ぶことができる」と考えていたのよ。彼は、人生の意味は「自分の選択によってつくられる」と信じていて、これは後の実存主義哲学にも影響を与えたと言われているの。

例えば、彼は「ある信念を持つことで、自分の生き方を前向きに変えることができる」と考えていて、人はただ流されるのではなく、自ら積極的に道を切り開いていくべきだと言っていたのよ。これは、現代の自己啓発の考え方にもつながっているわね。

4. 宗教と経験

ジェームズは哲学の中で、宗教にも深い関心を持っていたの。彼の有名な著書『宗教的経験の諸相』では、「宗教的な信念や体験は、実際に人の生き方に影響を与えるから、それは科学では説明できないけれど、無視するべきではない」と考えていたのよ。

つまり、彼は「宗教的な信念を持つことで心の平安を得られたり、前向きに生きることができるなら、その信念には意味がある」と言っていたの。これは、信仰を心理学的な視点から分析しようとした、ちょっと珍しい考え方なのよ。

生徒
なるほど、世界は一つの法則やルールでは説明できないというのは、当時の哲学という真理を追求する学問へのアンチテーゼみたいなところがあったんだね。
実存主義哲学というのはどういうものなのかな?

実存主義哲学

先生
実存主義(じつぞんしゅぎ)は、簡単に言うと「人間は自分自身の生き方や意味を、自分の選択によって決めるべきだ」という考え方なの。もともとは19世紀の哲学者、キルケゴールニーチェがその基礎を作ったとされていて、20世紀に入るとサルトルハイデガーといった哲学者が広めたのよ。

実存主義の基本的な考え方

  1. 「存在は本質に先立つ」

    • これはサルトルの有名な言葉なんだけど、「人間は生まれながらにして決められた意味や目的を持っているわけじゃなく、自分の選択や行動によって、自分の存在の意味を作り上げていく」という考えなの。

    • 例えば、「自分の人生はこうあるべき」と決めつけるのではなく、何を大切にして生きるかは自分で決めるもの、という考え方ね。

  2. 自由と責任

    • 実存主義では、人間は自由に自分の道を選ぶことができると考えているのよ。でも、その自由には責任が伴うとも言われているの。

    • たとえば、「何をするのも自由だけど、その選択の結果を引き受けるのは自分自身」ということね。

  3. 不安や孤独との向き合い

    • 「自分の人生は自分で決める」となると、人は迷いや不安を感じることもあるわよね。実存主義では、この「不安」や「孤独」も人間にとって大事なものと考えていて、それを乗り越えてこそ本当の自分になれると考えるのよ。

    • ニーチェの「超人思想」なんかも、自分で自分を高めていくことの大切さを説いているのよね。

  4. 他人の価値観に流されず、自分らしく生きる

    • 実存主義では「他人がどう思うかではなく、自分の生き方を自分で決めること」が大事だとされているのよ。例えば、世間の常識や価値観に縛られず、自分にとって何が大切かを考えて、それに従って生きることが理想とされるの。

ウィリアム・ジェームズと実存主義のつながり

ジェームズは実存主義の代表的な哲学者ではないけれど、「自分の信念や行動が人生を形作る」という考え方は、実存主義の考え方に近い部分があるのよね。特に、「人は自由に信じるものを選び、その信念が人生を良くするなら、それを大事にすべきだ」という彼の考え方は、後の実存主義にも影響を与えたと言われているのよ。

実存主義が広まるのはジェームズの時代より少し後だけど、彼の「自由意志」や「経験を通して人生を変えられる」という考え方は、実存主義的な考え方と共通点が多いのよね。

生徒
時代の考え方を取り入れて哲学もどんどん変化していったんだね!
最後にジェームズが考える習慣の力についても少し教えてくれる?

習慣の力

先生
ジェームズの考える「習慣の力」について、プラグマティズムとの関連性を意識しながら説明するわね。

彼は「習慣は人生を形作る大きな要素であり、それを意識的にコントロールすることで、自分の人格や運命を変えることができる」と考えていたの。これはまさにプラグマティズムの「実際に役に立つことを大切にする」という考え方と深く関わっているのよ。つまり、「理論を考えるだけじゃなく、日々の行動を変えることで現実が良くなる」ということね。

プラグマティズムの基本的な考え方は、「どんな考えや行動も、実際に役立つかどうかが重要」というものだったわよね。ジェームズにとって「習慣」は、まさにこの考え方を日常生活に適用するための具体的な方法だったのよ。

彼は「習慣とは、考えたり努力しなくても自然にできる行動の積み重ね」であり、これを上手に使えば生活を効率的で充実したものにできると考えたの。つまり、「良い習慣を身につけること」が、人生を良くするための最も実用的な手段だったのね。

ジェームズの習慣に関する主な考え方

彼の考えをまとめると、以下のようなポイントがあるわ。

  1. 「習慣は人格を形成する」

    • ジェームズは「人間の人格は、日々の小さな習慣の積み重ねによって作られる」と考えたの。例えば、毎日コツコツと努力する人は、努力家としての人格が形成されていくし、怠ける習慣を持っている人は、それが性格の一部になってしまうのよね。

    • これは「良い習慣を持てば、良い人生を築ける」という、プラグマティックな視点につながっているのよ。

  2. 「新しい習慣を身につけるには、まず小さく始める」

    • 彼は、習慣を作るためには「最初は小さな行動から始める」ことが大切だと考えていたのよ。例えば、運動を習慣にしたいなら、いきなり毎日1時間やるのではなく、5分から始めることが大事なの。

    • これは、プラグマティズムの「理論より実践を優先する」考え方とピッタリ合っているのよね。

  3. 「継続こそが鍵」

    • ジェームズは「習慣は、繰り返し行うことで強化される」と考えていたの。続けることで脳がその行動を覚え、自動的にできるようになるのよ。逆に言えば、良い習慣を続ければ、それが自分の人生を変える大きな力になるということね。

    • これも、「行動の積み重ねが最終的にどんな結果をもたらすかが大切」というプラグマティズムの考え方に通じているわ。

  4. 「悪い習慣は意識的に断ち切る」

    • 悪い習慣が無意識のうちに根付いてしまうと、人生に悪影響を与えることもあるのよね。だから、ジェームズは「悪い習慣を断ち切るためには、意識的に新しい行動を取り入れることが大切」と考えていたの。

    • これは、「自分の選択や行動を変えれば、結果も変わる」という彼の実践的な哲学に基づいているのよ。

ジェームズの考えをどう活かせるか

ジェームズの「習慣の力」の考え方は、現代にもすごく役立つのよね。例えば、こんなふうに応用できるわ。

  • 目標達成のために、毎日少しずつでも続けることを大事にする

  • 良い習慣(運動、勉強、早寝早起きなど)を意識して身につける

  • 悪い習慣をやめるために、新しい良い習慣に置き換える

ジェームズは、「人生の成功は大きな変化よりも、日々の小さな習慣の積み重ねにかかっている」と考えていたのよ。これは、まさにプラグマティズムの「結果を生み出す行動を重視する」という考え方そのものよね。

生徒
日々の習慣が人格を形成するって逆説的だけどその通りな気がするね。
今日もとっても勉強になりました!どうもありがとう!


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