私が譲渡するのはペットではなく家族です。
こんにちは。泊まれる猫カフェクラシコのおかもとと申します。当店は動物愛護団体「ちばわん」からお預かりした保護猫達の家族を探す「里親募集型保護猫カフェ」です。昨年8月、同じく横浜で里親募集型保護猫カフェとして営業していた猫カフェブランをコロナ禍により閉店し、長野県筑北村へ移住してきました。
「ちばわん」は2002年に発足した関東では大きなボランティア団体で、200余名のボランティアが活動しています。私はかれこれ17年程前に、犬の預かりボランティアとして参加しました。ちばわんはシェルターを持たない団体で、保護した犬や猫は全てボランティアの自宅で里親が決まるまで生活します。我が家からも約50頭の犬が里親さんの元へ嫁いでいきました。その後、猫カフェブランを開業し、ブランからも40匹余りの猫達が新しい家族の元へ嫁いでいきました。
さて、ここで「嫁いだ」と前述しましたが、別に全ての犬猫が雌だった訳でも、子犬や子猫を産ませる為に譲渡した訳でもありません。譲渡する犬猫達は全て避妊去勢をし、繁殖できないようにしていますし、譲渡した中には雄もいました。私が「嫁いだ」と書いたのは、気持ち的には預かった犬や猫達を譲渡する時は娘を嫁に出すのと同じ気持ちだからです。時々、「一緒に暮らした子を里親に渡すのは寂しくないですか?」と聞かれます。それは当然、寂しいです。中には1年以上、一緒に暮らした子もいます。でも「うちで暮らすより幸せになれる」と思って里親さんに託しますし、逆にそう思えない方には譲渡はしません。里親さん達もそうした私の気持ちを理解してくれているので、譲渡したら終わりではなく、親戚のような付き合いがずっと続いています。
ネットで「犬猫の里親募集」と検索すれば、数多の数の犬や猫が里親を募集しています。愛護団体等は譲渡条件や飼育条件が厳しく書いてありますが、中には「差し上げます」とか「貰ってくれれば誰でもOK」という募集もあります。「ちばわん」は里親審査が厳しい団体と言われていますが、確かに「誰でもOK」とはいきません。どの子も何等かの事情で一度は処分されかけた命です。そこから救い出し、医療処置をし、日々のお世話をし、里親募集をするまでには沢山の人のお金と労力と思いが積み重なっています。最後まで愛情いっぱいに育ててくれるご家庭でなければ、譲渡できないのは当然の事です。
以前、動物福祉の記事の中でコンパニオンアニマルについて触れました。私はペットという言葉が好きではありません。ペットとは、撫でて可愛がる「愛玩動物」という意味です。コンパニオンアニマルは、「伴侶動物」と訳されます。私がお預かりして譲渡する犬猫達は、全てコンパニオンアニマルです。可愛がるだけの動物ではなく、伴侶として一緒に生きていく動物です。なので、「ペットとして飼って下さる方」ではなく、「家族として迎えて下さる方」を探しています。
今も当店には里親募集中の猫達が7匹います。横浜の猫カフェブランが閉店する際に店にいた猫達です。全て雑種の成猫でシニアの猫もいて、里親募集の掲示板では箸にも棒にも引っかからない猫達ですが、どの子も個性的で素晴らしい家族になれる猫達です。もしも猫を家族に迎えたいとお考えでしたら、是非、会いにいらして下さい。もしかしたら、貴方にピッタリのコンパニオンアニマルが、出会いを待っているかも知れません。