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「フランスのロマネスクとゴシックにおける西洋建築様式について」


「サン・ピエール大聖堂」と「サン・ドニ修道院聖堂」

サン・ピエール大聖堂

 ロマネスク建築の美は、 その地方特有の材料と技術が優先され風土にマッチして建設されている。パリ近郊の採石場から運ばれた石材, 東部の特有の砂岩, 中部地方の火成岩、花岡岩,凝灰岩などが利用され, 石材の乏しい南部付近では煉瓦が多用されされる。

次にフランスのロマネスク建築を身廊天井の構造から3つの類型に分けてみる。第一のタイプは,身廊天井にトンネル・ヴォールトまたは交差ヴォールトを架け,側覧上にトリピューンのあるもので, 巡礼路教会堂の形式はここに含まれる。第二のタイプは、トリビューンがなく、 身廊に外の先を直接採り入れるため身院側壁に高を開けた教会堂てある。第三のタイプは、連続してドームを架けたもので、ピザンティンやイスラム建築の影響を多く受けたものである。三葉アーチや白と黒の縞模様の迫石が特徴的でイスラム様式の刻印が色儀く見られる。

ペリゴール地方のドーム式教会堂は周囲の地方に伝播し, ポワトゥー地方にも同じタイプのものがある, 単廊式十字形プランて, 外陣に直径11メートルのドームが3つ架けられたアングレームのサン・ピエール大聖堂もその例として挙げることができる。大聖堂の建築が始まったのは1434年で、完成は1891年。できあがるまで457年もの歳月を要したにもかかわらず、1944年には大空襲で大被害を受け、修復を経て現在の姿になった。

サン・ドニ修道院聖堂

 ゴシック建築の発生に大きな影響を与えたのは、シュジェールによるサン・ドゥニ修道院付属聖堂内陣だった。そこで用いられたリブ・ヴォールトは西正面のナルテクスと内陣においてであり,不整形なプランの上に石造のリブ・ヴォールトと尖頭アーチを巧みに組み合わせた天井を架け, ゴシック建築の要素の長所を建築家がすでに会得していたことを理解させてくれる。

また柱形や付柱でピアを覆い隠し,線による垂直性の追求を予感させる手法やステンド・グラスによる光の世界の表現などゴシック建築の初めての作品とするのは,間違いないだろう。サン・ドニ大聖堂はパリ北郊の町サン・ドニにある旧フランス王室修道院。現在は付属聖堂のみが残り、1966年以降はカテドラル(大聖堂)となっている。

475年ごろパリの初代司教聖ドニの墓の上に聖堂が建造され、メロビング朝の王ダゴベール1世時代に修道院となって、聖堂も建て直された。大聖堂の名前はパリにキリスト教を伝来させたサン・ドニという人物に由来する。これまでのキリスト教建築は静かな暗い空間を作り出すために、窓が無く重厚な造りとなっていたが「神の光を浴びる空間」を目指したシュジェールという修道院長の想いから、多くの神秘的なステンドグラスが中へ光を取り入れている。この大聖堂を離れて全体を見てみると、左右非対称のいびつな外観となっている。元々は左右対称になるよう建築されていたのだが、落雷や嵐といった自然現象によって崩壊してしまった。

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